極楽いぬ生活

好みのニオイ

 あえてニオイと片仮名にしたのは、匂いと書くべきか臭いと書くべきか悩んでしまったから。
だって、ワンの好みのニオイときたら、私たちにとっては好みのクサイと言ってもいいようなものばかりだし。
 まったく、人間の8万倍もの嗅覚を持つというのに、出たてほやほやの湯気のたったうんちに、鼻をくっつけんばかりにしてニオイを嗅げる君たちが不思議だよ、と思うのは私だけではないだろう。良いニオイの良いの基準がちがうのだ。私たちがクサーイと感じるニオイ、それこそがワンにとっては芳しい香りであることが多いようだ。
 長女のうらんは、乾燥死骸のニオイが大好きだ。死骸というと穏やかじゃないが、要はそこら辺でぺっちゃんこになって干からびているミミズやカエルなんかのことだ。たまにトカゲだったり、ヘビだったり、一度せんべい状のネズミだったことがあって驚いた。どれもみんなパキンパキンなので、怖くはなかったけどね。湖に行ったときには、まだ乾燥しきってない魚を擦り付けてきて、帰りの車の中で同乗者一同、窒息寸前の目に合った。
 そう。彼らの困ったところはここなのだ。好みのニオイを見つけると、即座にバタンッとひっくり返ってそのニオイを身体じゅうに擦り付けようとする。聞くところによると、ニオイを持って帰って群れの仲間に嗅がせてあげるためらしい。「こんなスゴイもんあってんで〜。」と。言わばお土産みたいなものか?ならば、お土産いらないから。それか、私を群れからはずしてくれ。
 ココアはイヌ以外の動物のうんちのニオイが大好きで、旅先で1日に2度もうんちを擦り付けてきたことがある。そこは鹿の出るところだった。
 その点、クーの好みはイヌばなれしている。
 彼はシャンプーのニオイが大好きだ。石鹸も好きだし、ボディーローションのニオイはもっと好き!お気に入りの銘柄だって決まっている。外でニオイを擦り付けたことはないけれど、家では毎晩擦り付けている。誰かがお風呂から上がってくるのを洗面所の外でじっと待ち、ドアが開くとともに今使ったばかりのバスタオルに突進し、擦り付ける。そして、しばしネコニマタタビ状態。
 やがて、身体中からボディーローションやシャンプーの香りをぷんぷんさせて、リビングに戻ってくる。ふわふわの外観に文字どおりの芳香を漂わせ、とってもすてきなワンに違いないのだけど、ひとつ気になる問題が残った。
クーが人間らしいのか、ボディーローションのニオイが実は乾燥ミミズ並みなのか。
ワンから見たら、私は乾燥ミミズの芳香を漂わせたステキなお姉さんなのか?
あ、「おねえさん」てところで引っ掛からないように。
   
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このコどんなコ?

プロフィール

マルヤマ ユーコ
イラストレーター
うらんとココアとクリオの姉(自称)
クリオ(愛称クー)
エアデール・テリア
オス♂ 4歳
愛されるために生まれてきた、わが家の末っ子長男。3歳をすぎても相変わらずのお日さま犬ぶり。性格のよさはピカイチ。
ココア
スタンダード・シュナウザー
メス♀ 6歳
何事につけても白黒はっきり、0か100かの極道の妻、いや、犬。3年半を過ぎて、ようやく少し落ち着きを見せはじめた。ただし、家の中限定。実はものすごい頭がいい。でも、使い方を間違うの〜。
うらん
ゴールデンレトリバー
メス♀
2006年1月、お星様になる。やさしくて大らかでちょっとシャイだけど、かなり強気なわが家の長女

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