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ネコ・ディー・ケーが本音の情報をお届け!

第1回慢性腎臓病ってどんな病気?

日本一テストするネコ雑誌『ネコDK』が、ネコとの暮らしに役立つ情報をお届けします!

第1回は、ネコに多いことで知られている「慢性腎臓病」について。
回復することはなく、どの国でも死因の上位に入るというこの病気について、獣医師に教えてもらいました!

ネコ生活&ネコ用品選びのバイブル!
日本一テストするネコ雑誌『ネコDK』

ネコ・ディー・ケー

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“本当にいいネコグッズ”を発見するべく、編集部と専門家、そしてネコたちの協力のもと、あらゆる製品を“ネコ目線”で徹底検証。ネコと愛猫家さんのことだけを考えた「正直な評価」と「信頼できる情報」だけをお伝えする雑誌です。

人気のキャットフードをネコに食べ比べてもらう実食テストや、専門家にネコとの生活を豊かにするテクニックを指南してもらうなど、情報が盛りだくさん!

ぜひ、あなたと愛するネコのためにお役立てください。

「慢性腎臓病」について獣医師に取材しました!

  • 日本獣医生命科学大学
    宮川 優一先生

    獣医師。日本獣医生命科学大学・獣医内科学研究室第二・准教授。同大学の付属動物医療センターで腎臓科を担当。研究対象はネコやイヌの腎臓病・泌尿器疾患など。著書に『猫の腎臓病がわかる本』(女子栄養大学出版部)

7歳以上の死因トップ!
高齢ネコの死亡原因は泌尿器系が多い

7歳以上の死因トップ!高齢ネコの死亡原因は泌尿器系が多い

▲出典:日本アニマル倶楽部「犬と猫の死亡原因 2017年10月版」

泌尿器とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道など体内の老廃物排出に関与する器官のこと。
ネコは腎臓病、尿路結石症、突発性膀胱炎といった泌尿器系の病気にかかりやすいことで知られています。ペット保険会社の日本アニマル倶楽部によると、7歳以上のネコの死因No.1が泌尿器の病気になっています。

症状がなかなか現れず発見が遅れがち
慢性腎臓病は4つのステージがある

慢性腎臓病とは、少しずつ腎臓の機能が低下していく病気。
腎臓は血液中の老廃物(尿素など)を尿として排出しており、機能が低下すると老廃物が血液に溜まってしまいます。食欲や不振や嘔吐などの症状が出て、進行すると死に至る恐れが。

ステージ1

ステージ1

このステージで病気が判明するのはまれ。見た目や行動は、健康なネコとまったく同じです。
血液検査をしても数値に異常が見られません。
尿検査で尿比重の低下やたんぱく尿といった異常が認められることがあります。

ステージ2

ステージ2

すでに腎機能は4分の1程度になっているため、尿を十分に濃縮できず、薄いオシッコをたくさんするようになります。そのため体内の水分が不足し、たくさん水を飲むようになります。ただし食欲や元気は、まだあります。

ステージ3-4

ステージ3-4

腎機能は10%以下になり、体内の老廃物を排出しにくくなります。
おもな症状は食欲不振、激しい嘔吐、元気消失、貧血など。さらに進行すると体内に老廃物が溜まり、対症療法なしでは生きられなくなります。

症状が現れた時点で腎機能は3分の1以下

一度機能が低下した腎臓は、二度と回復しません。ただ、早めに対処することで進行を遅らせることはできます。

つまり、病気を早く発見することが重要!
ただし、腎臓は肝臓と同様に“沈黙の臓器”と呼ばれていて、機能が低下してもわかりにくく、症状が現れたときにはすでに機能が3分の1まで落ちています。

下部尿路疾患が要因のひとつ?
ネコに慢性腎臓病が多い理由

ネコの腎臓は、尿を濃縮する能力がすぐれています

ネコの腎臓は、尿を濃縮する能力がすぐれています。
これは砂漠などの乾燥地帯で暮らしていた歴史を持っているから。オシッコを濃くする、つまり少なくすることで体から失われる水分を減らし、少量の水でも生きていけるよう進化したのです。

そのため人やイヌのように水を積極的に飲むことはありません。水分は主に食事から摂取する動物です。

ドライフードばかり食べていると、さらに水分摂取量が少なくなり、ますます尿が濃くなります

ドライフードばかり食べていると、さらに水分摂取量が少なくなり、ますます尿が濃くなります。オシッコの量が少ないと、尿路結石症や突発性膀胱炎といった下部尿路疾患を発症させる要因に。

どの家庭もネコ用の給水器を置いていますが、そもそもネコは喉が渇きにくい動物。「ドライフード+水」より、「ウエットフード+水」のほうが、1日の水分摂取量が多くなることがわかっています。

まだ慢性腎臓病の原因はハッキリしていません

まだ慢性腎臓病の原因はハッキリしていませんが、下部尿路疾患は慢性腎臓病のリスクを上げると考えられるため、できるだけ水分を摂取させることが好ましいです。

病気が進行するほど出費がかさむ
慢性腎臓病の診療にかかるお金は?

慢性腎臓病は基本的に手術をせず、進行を遅らせる治療を行います。
それゆえ1回あたりの診療費は高額になりにくいですが、病気が進行すると通院ペースが早くなります。

慢性腎臓病の診療にかかるお金は?

▲出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2019」/猫の請求理由TOP 20

ペット保険会社のアニコムが毎年公開している「家庭どうぶつ白書」の2019年版によると、ネコの慢性腎臓病の年間診療回数は1頭あたり15回、年間診療費は平均約27万円。
慢性腎臓病になると、これだけの診療費がかかる可能性があるという意識を持つことが大切です。

まさかこんなにかかるなんて・・・・

診療費は、検査代、薬代、点滴代などが主なところ。必ず27万円近くかかるわけではなく、一度に数千円程しかかからないことも珍しくないです。
通院は、症状や病院によって大きく変わりますが、初期なら、3か月〜1年ごと、進行すれば1週間に1回以上通院することも。

ネコによっては1週間に何度も投薬や点滴をしたり、カテーテルで流動食を流し込む必要もあるので、平均の診療回数が増えてしまいます。

ネコにも飼い主にも負担が大きい慢性腎臓病。だからこそ、病気のリスクを下げる暮らしを送ることが大切です!

次回、第2回では「慢性腎臓病を防ぐ3つのルール」をご紹介。
ぜひ参考にしてください。

媒体概要
  • ネコDK
  • ネコDK

    定価:880円
    判型:A4ワイド
    ページ数:96ページ
    発行元:株式会社晋遊舎
    晋遊舎公式サイト:https://www.shinyusha.co.jp/

  • 竹脇麻衣(たけわきまい)

    青山学院大学法学部卒業。セツ・モードセミナ卒業。在学中にフリーでイラストレーターを始める。
    〈制作実例〉『ねこ』コラム&イラスト「necolumn」(ネコ・パブリッシング発行)、sippo(朝日新聞社運営の犬・猫などのペットの情報サイト)でのコラム連載など。
    公式サイト:https://www.takewaki.info/

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