我が家にふさわしい避難方法ってどんなもの?

ペットと防災についてみなさんと一緒に考えていく連載コラム。第2回目は、ペットとの避難について2016年に起こった熊本地震の避難生活を事例に、一般社団法人減災ラボ 代表理事の鈴木光さんに、被災地での人とペットの現状や避難所での問題、日頃備えておくべきことをお話していただきました。

うちの子との避難生活を支えてくれた「一時預かり」

2016年4月14日に起こった熊本地震。
震度7を観測した熊本県益城町では、発災後1か月もの間、人と犬・猫が避難所で一緒に過ごしました。さまざまな人達が避難生活を長く続けるなかでは、「なぜ人間と動物が一緒にいるんだ!」と怒られたり、知らない人に触られて犬が噛んでしまうことがあったり、猫のために車中泊を続ける人など、長く続く避難生活ではペットに関するトラブルがあった避難所もありました。

  • ◀︎ 震度7の被害を受けた益城町での
    被災状況を話す、減災ラボの鈴木光さん。

そんな中、衛生上の理由から益城町が動物を室外に出す判断をし、益城町総合体育館の避難所では、5月になってNPOやボランティアによる運営のもと、一時預かり施設(ペット専用コンテナハウス「ましきまちワンニャンハウス」)が益城町運動公園に開設し避難ができた犬猫59頭は、そこで過ごすことができるようになりました。

▲ 益城町の一時預かり施設は、24時間エアコン完備。犬舎・猫舎に分けて遊び場も確保されていました。

ドッグランも併設され、動物を安心して預けられるおかげで、被災者の方々は日中の家の片付けや被災書類の手続き、仕事へ行くなどの時間が確保できました。もちろん運営には飼い主さん達も積極的に関わりました。またドッグランは、大人にも子どもにも動物と触れ合える憩いの場として、心のケアにも役立っていたようです。ペットの支援は被災者の支援にもつながると感じました。

一時預かり施設では、預かる被災ペットのお散歩・食事・慣れ具合などのきめ細かな情報を飼い主さんから伺ってファイリングされていました。

熊本地震は、行政、ボランティア、飼い主さんなどが一体となってペット同行避難が実現しましたが、実際にはまだまだ公共の避難所で各家庭のペットまで考慮されているところは少ないのが現状です。

▲熊本動物愛護センターが推進する「迷子札をつけよう100%運動」。熊本地震では、地震に驚いて逃げ出したペットも多くいました。

避難生活での愛犬・愛猫の負担を減らすためには
日頃からのしつけも大切

災害からうちの子を守るためには、犬猫のための備蓄(食料・飲料・トレイシーツ・消臭袋など)や防災袋の準備が大切。防災袋は重いと持ち運べないので持ち物の優先順位も決めましょう。
避難所という知らない場所で不安になると、いつもは人を噛まない子でも噛んでしまうことがあります。避難所で犬猫の負担を小さくし、人と仲良くできるように、普段からのしつけも大切です。

避難所の環境改善に関わってきた立場としては、特にキャリーバッグなどのクレートに入れたペットの同行避難は基本的なルールであってほしいと思います。そうすることで、周囲の人と犬猫が適度な距離を保つことができ、避難所での混乱やトラブルは最小限になると感じました。

せっかく助かったうちの子を守れるのは飼い主さんだけ

  • ▼もし、いま抱いているわんちゃんと一緒に地震に遭ったら?

今後は人間同様に犬猫の避難の在り方が重要になるでしょう。ご紹介した事例のように対応できれば、犬猫も飼い主さんもストレスが軽減されます。結局のところ、自分のペットを守れるのは飼い主さんだけです。この子は自分が守るという強い想いで、防災減災に備えていただければと思います。

鈴木光(すずき・ひかり)さん
一般社団法人減災ラボ 代表理事

減災アトリエ主宰、総務省消防庁防災図上訓練指導員、工学院大学客員研究員。建設コンサルタント退職後、フリーランスの減災ファシリテーターとして活動し、2015年5月に減災アトリエを設立。全国各地の自治体職員・地域住民・学校・企業等に、主に地図を使った防災ワークショップ(DIG)や防災講座、訓練企画などを実施。減災教育プログラム「my減災マップ®」を考案し、全国で実践中。ペットは、以前インコを飼っていた。

一般社団法人減災ラボ

「⼈も学校防災教育及び地域防災力の向上に関する減災教育プログラムの企画・実践、文化施設の減災訓練、プログラムの実践、産官学連携による防災・減災活動の実践及び調査・研究などを行っている。

https://www.gensai-lab.com