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【獣医師監修】ビション・フリーゼの性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!

【獣医師監修】ビション・フリーゼの性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!

真っ白いふわふわもこもこの被毛をまとったビション・フリーゼ。頭部の被毛をアフロヘアのごとく強調したカットスタイルは独特です。

犬種が発展したのはフランスおよびベルギーとされていますが、遠き祖先はカナリア諸島に属するテネリフェ島出身と考えられています。明るく活発で、社交的。そんなビション・フリーゼを迎えるには?

1.ビション・フリーゼの歴史

原産国:フランス/ベルギー

ビション・フリーゼの原産国はフランスおよびベルギーとされています。しかし、それは二度の世界大戦を経て、絶滅しかかったこの犬種を、フランスとベルギーの熱心な愛好家たちの手によって再興されたからにほかなりません。

もとより、ルネッサンス時代(14世紀~16世紀)、フランスやスペイン、イタリアなどヨーロッパの国々では、王族貴族らの寵愛を受けた犬種でもありました。
出身はアフリカ大陸北西の海上にあるカナリア諸島(スペイン領)に属するテネリフェ島と考えられています。

それがどうヨーロッパに伝わったのか?という点において、一説には、もともとこの島に棲息していた犬ではなく、スペイン人がテネリフェ島に持ち込んだ犬が世紀を経て繁殖し続け、時が大航海時代(15世紀半ば~17世紀半ば)となった折に、再びテネリフェ島を訪れたスペイン人がその犬を自国に連れ帰ったのではないか?との考え方が存在します。

フランスにはイタリア経由で持ち込まれたと言われていますが、古い犬種ゆえに詳細はわかりません。フランス革命(1789年~1795年)以降は、貴族・権力者がそれまでの立場を追われたのに伴い、ビション・フリーゼも居場所を失った結果、サーカスの犬となった時代もありました。

フランスでの呼び名は「Bichon á poil frisé(ビション・ア・ポワル・フリーゼ)」。かつての名には、「ビション・テネリフェ」「ビション・フリーゼ・テネリフェ」「テネリフェ・ドッグ」「カナリー・アイランド・ラップ・ドッグ」などがあります。

2.ビション・フリーゼの特徴

当初、ビション・フリーゼはビジュアルがバルべ(Barbet/フランス原産のウォーター・ドッグ)に似ていたことから「バルビション(Barbishon)」と呼ばれていましたが、後に「ビション(Bichon)」と短縮して呼ばれるようになりました。

ビションは「小型のバルべ」を意味する一方で、「白い犬を指す」「飾るという意味」などの説もあります。そして、フリーゼは「縮れた・縮れた毛」を意味し、いずれもビジュアルに因んだ犬種名になっています。

ビション・フリーゼはマルチーズやボロニーズ、ハバニーズなどと並び、ビション・ファミリーの犬、またはビションタイプの犬と呼ばれますが、これらの犬に共通しているのは体高30cm以下の小型犬であること。そして、ハバニーズを除き、被毛が純白であること。ただ、他の3犬種がシングルコートであるのに対し、ビション・フリーゼはダブルコートである点は特徴の一つと言ってもいいのかもしれません。

ビション・フリーゼの容姿

ビション・フリーゼの体高は25cm~29cm、体重は5kg程度。軽やかでコンパクトな小型犬です。くりっとした目は表情豊かで、黒い鼻や垂れた耳と相まって、可愛らしさをより強調しています。体長は体高に対してやや長く、長方形気味で、ふさふさの尻尾を背上に上げた姿は誇らしげにも見えます。

毛色は純白の一色ですが、子犬の頃は多少ベージュがかっていることもあります。被毛はコークスクリュー状の巻き毛であり、アフロヘアのごとく頭部の被毛をふんわりと大きく際立たせるカットスタイルは独特です。

ビション・フリーゼの性格・気質

ビション・フリーゼは明朗快活で、子どもや家族以外の人、他の犬にも社交的であると言われ、家庭犬としては申し分のない気質を備えています。知能も高く、しつけのし甲斐がある犬種でもあります。

ただし、個体差もあり、この犬種はこういう性格をしていると断定できるわけではありません。最近、犬の行動特性は遺伝と関連するものの、犬種との関連はわずか9%にすぎないという研究結果が発表されました。

つまり、犬種を基に行動特性を予測するのは難しく、個々に違いがあるということ。
行動は気質・性格とも関係します。それを考えるならば、代々受け継がれたビション・フリーゼの良さをもちつつ、より望ましい性格の犬に育つかは、飼い主さんの育て方、接し方や、環境、経験などが大きく関係するということでしょう。

3.ビション・フリーゼを迎える方法

ビション・フリーゼを迎える方法

ビション・フリーゼを迎えるには、主にペットショップ、ブリーダー、動物保護団体・動物愛護センターなどのルートがありますが、その前に知っておきたいこともあります。
それを理解した上で、入手先を決めましょう。

  1. 1.「動物の愛護及び管理に関する法律」により、販売者は対象となる動物を直接見せ、飼育方法などについて購入者と対面した上で文書を用いて説明しなければなりません。これを怠る販売者は避けたほうがいいでしょう。

  2. 2.2022年6月1日より、販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。犬を購入後(マイクロチップを装着済の犬を譲り受けた場合も同じ)は、飼い主さん自身の情報へと変更登録する必要があります。

詳しくはこちら⇒

環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html

ビション・フリーゼの入手先

入手先1

ペットショップでを探す

ペットショップで販売される犬は、契約ブリーダー、自社(自家)繁殖の他、多くが生体市場経由で仕入れられた子犬です。現在、動愛法の改正により、生後56日(8週齢)に満たない子犬子猫は販売できなくなっているので(特例として天然記念物指定を受けている日本犬の場合は生後49日)、子犬の生年月日は確認するようにしましょう。

子犬を選ぶ際には、できれば親犬を見ることができると理想的ですが、ペットショップでは稀と言わざるを得ません。

入手先2

ブリーダーから購入する

真摯なブリーダーは特定の犬種にこだわりをもって繁殖しており、その犬種についての知識も豊富です。子犬の価格については、ブリーダー登録サイトは別として、ブリーダーのホームページ上では公開していないケースが多いため、直接問い合わせる必要があります。

予約をすれば見学も可。親犬を見られる率が高い点はプラスポイントです。なお、場合によっては子犬が産まれるまで数ヶ月待たなければならないこともあります。

入手先3

里親になる

行き場のない犬はまだまだ多くおり、そうした犬を迎えるのも一つの選択肢です。この場合、すでに成犬であることが多く、老犬である場合も珍しくありません。

入手先としては動物保護団体や各自治体の動物愛護センターなどがありますが、里親になるには一人暮らしや65歳以上の人は不可、その自治体在住者のみなどそれぞれ条件が設けられていることがあるのでよく確認してください。

犬は子犬から飼わなければならないということはありません。成犬でもしつけ直すことは可能です。何より、辛い思いをした分、人の愛情に飢えている犬も多いもの。時間をかけて気持ちが通じ合う一瞬が訪れた時の嬉しさは代えがたい宝となることでしょう。

ビション・フリーゼと暮らしたいと思った時、保護犬の里親になる選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。

ビション・フリーゼを迎えるときの費用相場は?

現在、子犬の価格は以前に比べて大幅に高騰しています。したがって、決して安い買い物ではなく、ましてや一つの命を預かるわけですから、熟考の後、犬をお迎えください。

その結果、ビション・フリーゼを迎えると決めた場合、おおむね以下の初期費用がかかります(商品に関しては一般的なものから少々リッチなものまで含みます)。

ビション・フリーゼを迎える場合の費用の目安

項目 費用の目安
ビション・フリーゼの子犬の価格 33万円~
狂犬病予防注射 3,000円~5,000円程度
注射済票 500円程度
犬の登録料 3,000円
混合ワクチン(5種~10種) 5,000円~1万円程度
犬用ベッド 3,000円~8,000円程度
サークル・ケージ 7,000円~3万円程度
食器・水飲み・フード(ドライフード1袋)類 4,000円~1万円程度
トイレ・トイレシート類 3,000円~7,000円程度
ブラシ・コーム・爪切り類 3,000円~8,000円程度
首輪・リード類 4,000円~1万5,000円程度
おもちゃ類 1,000円~3,000円程度
合計 およそ4万円~10万円程度+子犬の価格

※価格はあくまでも目安であり、販売者や子犬の状況、動物病院、商品などの条件によって変動します。
※狂犬病予防法により、犬を迎えてから、もしくは生後91日以上たってから30日以内に狂犬病予防注射を受けることが義務付けられています。ただし、病気や高齢など事情があって接種できない場合は、届け出をすることで免除が可能となります。接種場所は自治体による集合注射と動物病院とがあり、費用に若干の違いがあります。
※2022年6月より環境省管轄の下に新たに始まった「犬と猫のマイクロチップ情報登録」。
狂犬病予防法の「特例(ワンストップサービス)」に参加している市区町村の場合は、この新登録制度にマイクロチップ情報を登録すると、同時に市区町村にも情報が通知され、これをもって狂犬病予防法における登録も済み、マイクロチップが鑑札と見なされます(ただし、別途登録料は必要)。
詳しくはこちら⇒環境省「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく 犬と猫のマイクロチップ情報登録」https://reg.mc.env.go.jp/owner/microchip_registration_system

4.ビション・フリーゼの飼育のポイント

ビション・フリーゼの飼育のポイント

ビション・フリーゼに限らず、子犬にとって大事なことの一つが社会化です。
生後3週齢~12週齢にかけての「社会化期」にある子犬は好奇心が旺盛で、いろいろな物事を吸収しながら犬として生きていく上での基礎を築いていきます。

ビションらしい明るさを伸ばすためにも、特にこの時期には子犬にとってトラウマにならない範囲で、人や物、音、環境などいろいろなものに慣らすようにしましょう。
お手入れに関しては、毎日もしくは1日おき程度のブラッシングが必要で、好みに合わせてカットすることも可能です。被毛が白いため、目の下や口周りなど涙やよだれによって赤く変色することがあるので、こまめに拭いてあげましょう。

もちろん耳や歯、爪など一般的なグルーミングは必要になるので、子犬の頃から少しずつ慣らすようにしたいものです。

5.ビション・フリーゼのかかりやすい病気・ケガ

ビション・フリーゼは健康的な犬ですが、やはり気をつけたい病気があります。
たとえば、関節系疾患や眼疾患、歯のトラブルなど。

歯の問題は軽く見られがちですが、歯周病は他の病気にも悪影響を与えてしまうことがあります。ビション・フリーゼのような小型犬は口が小さい分、歯が密集して生えており、歯垢・歯垢がつきやすく、歯周病のリスクが高くなるので、日々の健康管理の一環として歯や口の中もチェックするようにしましょう。

若齢~成犬

子犬~若い犬では、特に以下のような病気・ケガには気をつけましょう。

  • ・ 低血糖

    糖分が著しく低下することで、元気喪失や痙攣などが見られる。

  • ・ 膝蓋骨脱臼

    膝のお皿の骨(膝蓋骨)が、本来収まっているべき大腿骨の溝から外れてしまう関節疾患。

  • ・ 外耳炎

    外耳炎では痒みや痛み、赤み、腫れ、耳だれなどが見られ、慢性化すると耳介が肥厚したり、外耳道が狭くなったりすることがある。耳が垂れた犬種は外耳炎になりやすい。

  • ・ 熱中症

    子犬はまだ体温調節も十分にはできないので、熱中症になりやすい。

成犬〜高齢犬

そして、成犬~高齢犬では、以下のような病気に注意が必要です。

  • ・ 眼のトラブル

    ビション・フリーゼは白内障や結膜炎、流涙症など眼のトラブルを起こしやすい傾向にある。カットの仕方によっては眼の周りの毛によって眼球を傷つけてしまうことも。

  • ・ 腫瘍・癌

    高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。

  • ・ 認知症

    12歳の犬の53%、13歳で70%、15歳では86%の犬に、認知症に関連する行動が一つ以上見られたという調査報告もある。食事やサプリメントで認知症予防を心がけるとともに、シニア期に入ったなら愛犬の行動にも注意を。

  • ・ 熱中症

    小型犬は体高が低い分、地面からの反射熱を受けやすいのに加え、高齢犬は体温調整がしづらくなるので、より熱中症になりやすい。

⇒【獣医師監修】犬の認知症の症状とは?予防のコツや介護方法も解説

https://www.peppynet.com/library/archive/detail/891

⇒【獣医師監修】犬の熱中症は危険!応急処置と危険な状況別の対処法

https://www.peppynet.com/library/archive/detail/645

6.ビション・フリーゼの平均的な寿命は?

ビション・フリーゼの平均的な寿命は?

ビション・フリーゼの平均寿命は14歳~15歳程度と言われます。

参考までに、一般社団法人 東京都獣医師会霊園協会がペット霊園のデータを用いて犬の寿命を調査した結果(2012年~2015年、1万3,516頭)では、14.9歳。調査対象犬種中、3番目に長寿でした。

7.まとめ

ビション・フリーゼが貴族の寵愛を受けていた時代は専属の世話係がいたなど特別扱いされていたようです。愛でるために飼われていた歴史をもつせいか、ビション・フリーゼは人といることが好きな反面、飼い主さんとあまり長く離れていると分離不安になりやすい傾向にあるとも言われます。

べったり甘やかし過ぎるのではなく、愛犬との適度な距離を保ちつつ、しつけやトレーニングにお励みください。
そして、彼らのキュートな瞳の中にいつも飼い主さんの姿が映っている、そんな信頼で結ばれた関係を築けますようにと切に願います。

(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)

※犬は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度などには個体差があります。

【参照元】
デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007) FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE (AISBL)「BICHON FRISE」http://www.fci.be/Nomenclature/Standards/215g09-en.pdf
SOCIÉTÉ CENTRALE CANINE「Bichon a poil Frise」https://www.centrale-canine.fr/le-chien-de-race/bichon-poil-frise
一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ「ビション・フリーゼ」https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/1961
AMERICAN KENNEL CLUB「Bichon Frise」https://www.akc.org/dog-breeds/bichon-frise/
ELINOR K. KARLSSON et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes. SCIENCE•29 Apr 2022•Vol 376, Issuehttps://www.science.org/doi/10.1126/science.abk0639#tab-citations
E-GOV法令検索「昭和四十八年法律第百五号 動物の愛護及び管理に関する法律」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=348AC1000000105
公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」http://nichiju.lin.gr.jp/small/ryokin_pdf/h27.pdf
水越美奈、松本千穂、脇坂真美「高齢犬の行動の変化に対するアンケート調査」(動物臨床医学26[3] 119-125, 2017)https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/26/3/26_119/_pdf/-char/ja
一般社団法人 東京都獣医師会霊園協会「犬の寿命調査/家のワンちゃんどのくらい長生きするの? どのワンちゃんが長生きなの?」https://petreien-a.tokyo/dog/

監修いただいたのは…

2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生

数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。

成城こばやし動物病院 獣医師 高柳 かれん先生

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