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ドイツ&オランダ
動物保護施設ティアハイム視察
~新しい家族と巡り逢うまで~

■日時

2018年11月8日(木)~15日(木)

■訪問都市:

ドイツ:ハノーファー、ベルリン
オランダ:アムステルダム

■主  催:

東京都獣医師会

●「ティアハイム(Tierheim)」とは?

皆さんは「ティアハイム(Tierheim)」ってご存知ですか? 今回は、ドイツと隣国オランダから、動物保護施設の視察レポートをご紹介いたします! ドイツでは、各地にある動物保護団体がティアハイム(Tierheim)を設置して動物の保護と譲渡活動を行っています。ティアハイムは、ドイツ語で「動物(Tier)の家(heim)」を意味します。ドイツ国内には、およそ1400もの動物保護団体※が活動しているといわれ、行政と民間が協力して動物保護活動に取り組んでいます。
※ドイツ保護連盟
ティアハイムを運営する740以上の保護団体と、約80万人の会員を擁する全国組織。

●ヨーロッパ最大級の保護施設
「ティアハイム・ベルリン(Tierheim Berlin)」

敷地面積18.5万m2の緑地が広がります

ベルリン市中心部から東へ約10キロ、東京ドーム3つ分の広大な敷地と設備に犬、猫、家ウサギ、猿、鳥、爬虫類など1400頭が暮らしています。持ち込み理由は、引越、離婚、医療放棄など。虐待の通報を受けて獣医局が保護した動物も移管されます。施設では、170人のスタッフと、800人のボランティアが活動し、その運営資金は、市民からの寄付や遺贈に支えられています。年間1万頭を受け入れ、およそ145日で新しい飼い主に譲渡します。譲渡率は90%。動物の世話、犬の散歩、広報活動、譲渡後の訪問など、ティアハイムの仕事は、ボランティアなくして語れません。

【犬棟】床暖房完備、太陽や風を感じて過ごせる

8名の獣医師がいる検疫室。

名前、生年月日、保護理由が書かれています。

保護された動物は、検疫を受け2~4週間後に動物舎に入ります。犬棟は、床暖房が完備され、居室に取り付けられた犬専用ドアから屋外パドックへの出入りができ、太陽や風を感じて過ごします。居室の前には、月齢、性格、犬種などの情報が掲載されており、週末になると多くの家族連れが見学に訪れます。リハビリ棟には、プールやドッグランがあり、治療やトレーニングを行います。譲渡後も施設に通って治療を続けられます。

【猫棟】広々とした室内、屋外で木登りも自由!

採光を取り入れた居室。室内から屋外パドックへ自由に行き来できます。

こちらは猫棟。タワーが2台置ける十分な高さと広さがあり、プライバシー性のある空間が用意された部屋で過ごしています。伝染病の感染を防ぐため、食器は使い捨ての紙皿を使用し、掃除道具は居室ごとに用意されています。犬棟と同様にサンルームへの出入りができるように猫専用ドアが用意され、猫たちが思い思いに木の上でひなたぼっこをしていました。高齢猫は終生飼育舎で穏やかに暮らしながら新しい飼い主を待っています。

TNRM活動

元いた環境に近い屋外飼育舎

ドイツでは、迷子犬をみかけた市民が獣医局や警察に通報しすぐに保護され、野良犬が少ないため譲渡時に不妊去勢は行われません。一方猫は、その旺盛な繁殖力を抑止するため、全ての猫に不妊去勢手術が行われます。更に、施設周辺250か所の地域猫には給餌、不妊去勢手術、マイクロチップの装着を行い、元いた場所に戻す「TNRM活動」も盛んに行われています。

譲渡率90%の譲渡システム

譲受には家庭訪問と面接があります。

企業スポンサーも積極支援!

グッズ購入が支援につながります。

現在、日本の保護動物の譲渡率は44%、ティアハイムベルリンの譲渡率はなんと90%!新しい家族を迎えたくなった時、一番身近にある出会いの場が街のティアハイムなんですね。譲渡条件には、家族構成、住居環境、勤務時間、散歩や世話の担当、十分な飼育スペースが確保できているかなどの審査など、さまざまな条件が課されて安易な譲渡を防いでいます。

ティアハイムの運営について

掃除やお世話、家庭訪問など仕事はさまざま

ドイツ全体における保護頭数が減少傾向にある中、治療放棄や高齢による引取が増えています。ティアハイムの運営は、個人や企業からの寄付や遺贈で賄われています。寄付が文化として社会に根付き、地域の動物保護に繋がっています。

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