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特定非営利活動法人動物愛護社会科推進協会HAPP

新家 由子さん

東京都千代田区在住。ご主人と猫三匹と暮らす。
「ちよだニャンとなる会」でボランティアとして活動。

犬猫の保護活動に携わるボランティアの間で、最近よく耳にするようになった「地域猫」という言葉-。いわゆる「飼い主のいない猫」を地域で見守る保護活動ですが、この取り組みは「飼い主」がいないだけに、行政や地域住民の理解と協力が成功のカギとなります。
「この活動はできる人が自分のできる範囲で活動すればいい。でも、誰かが何とかしてくれる、自分は何もしない、ということでは解決できない問題です」
そう語ってくれたのは、地域猫活動に力を入れる「ちよだニャンとなる会」でボランティアしている新家由子さん。ご自身も猫三匹と暮らす新家さんが、地域猫活動に積極的に参加するようになった経緯についてお話を伺いました。

「不幸な猫を見たくない」その思いから始まった「地域猫」活動

実家の庭に来ていた公園猫との出会いがきっかけに

東京都豊島区にある新家さんの実家の庭に、近くの公園猫たちが来るようになったのは20年ほど前。
その猫との出会いがきっかけで、7・8年前から新家さんは、個人で飼い主のいない猫のTNRをするようになりました。TNRとは地域猫を捕獲(トラップ)して避妊手術(ニューター)を施し、元の場所に戻す(リターン)の略称のこと。飼い主のいない猫がこれ以上増えないよう、繁殖を防ぐために行われる動物愛護活動のひとつです。

「近くにとても協力的な獣医さんがいてくださったので、その先生から捕獲器を借りて、自分のできる範囲でTNR活動を続けてきました。ただ、この頃、実家の地域では飼い主のいない猫の避妊去勢手術の助成金がなかったため、手術代は全額自己負担でした」

その後、住まいを都内の千代田区に移した新家さんの興味を引いたのが「ちよだニャンとなる会」でした。同会は東京・千代田区で行政と連携・協力して「飼い主のいない猫」の問題に取り組む一般社団法人です。長年、個人でTNRを続けてきた新家さんは、すぐ会の活動に賛同し、まずは寄付という形での支援を始めました。

具体的な活動開始は多頭飼育崩壊現場から

ある日、同会を訪問すると、事務所内が多忙を極めているのを目の当たりにした新家さん。
「寄付だけではなく何か手伝いができたら、と考えました。そして、2017年春、猫の多頭飼育崩壊が千代田区内で起きているという話を聞いて、現場の活動に参加するようになったのです」
多頭飼育崩壊とは、飼っていた猫が繁殖してどんどん数が増えてしまったり、野良猫を不憫に思う気持ちから次々と猫を家に迎えて入れることで、飼い主が到底面見きれない状態にまで猫の数が増えてしまうことを言います。
この多頭飼育現場への介入がきっかけとなり、新家さんは猫の保護や病院搬送、そしてTNRなど現場での活動をするようになりました。
「保護活動だけではありません。ちよだ猫まつりの準備などもお手伝いしますし、イベント前になると連日事務所に通って事務仕事もこなします」
現場で活動を始めて一年。この間、寄付だけの支援ではわからなかった気づきも多かったと言います。
「現場で活動したことで、いろんなことがわかりました。例えば行政によってTNRの助成金制度の違いが大きいこと、また行政の対応もずいぶん違うことなどです。今後はこういった地域による格差を改善できれば、と思っています」

地域猫活動を通して感じる様々な課題とは

地域猫活動が広まっていく中、今では全国で相当数のボランティアが地域猫活動に力を注いでいます。
そもそも飼い主のいない猫も、飼われていた猫が人間に捨てられ、繁殖していった結果。ならば、その命を護ってあげるのも人間の役目と言えます。しかしながら特定の飼い主を持たない猫の保護活動には多くの課題があるのも事実です。

「私としては、実家の庭に来ている“地域猫”たちが、病気になったり高齢になった場合には、自分の飼い猫として引き取る覚悟でいます。実家にいる猫たちも、もとは飼い主がおらず、最後は看取るつもりで家に入れた子たちばかりです。まずは他人の物差しではなく、自分のできることは何かを考え、できる範囲で一所懸命やることが大切です。他人任せでは解決しません」と新家さんは言います。

現在、全国の行政機関(動物愛護センター等)で殺処分される約8割が猫。その猫の8割が子猫です。ならば不幸な妊娠、出産を防ぐことができれば、単純に考えて殺処分される命は64%減らせるということになります。
この数字からもわかるように、今いる命を「一代限り」大切に見守り、看取ることで「未来の不幸な命を減らすことができる」、これが地域猫活動の基本的考えです。
犬や猫が苦手な人であっても、その命を絶つことに喜びを感じる人はいないはず―。
ならば、地域猫活動に賛同したり、見守ることも、命を護ることに繋がるのではないでしょうか。
そういった点で、地域猫活動成功の秘訣は、行政との連携、自治会や商店街など地域住民との緊密な繋がりや理解にかかっていると言えるでしょう。

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