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写真撮影:浜田一男、写真提供:佐藤美樹

ボーダーライン・オレンジドット

小さな命の保護活動-。
それは、「特別なこと」ではなく、少しの勇気があれば誰にでもできること―。

ボーダーライン・オレンジドット

愛犬との出会いが、
捨てられる命と向き合うきっかけに。

犬が大好きな両親のもとで育った佐藤さんは、生まれた時からずっと犬と一緒に暮らしてきました。その佐藤さんが愛犬・ジャンボと出会ったのは、30年ほど前。
当時ピアノの教師として東京都内でピアノを教えていた佐藤さんのもとに、生徒さんが子犬を抱きかかえて現れました。
「道端で捨てられていたのです。どうしたらいいでしょうか?」
佐藤さん一家が犬が大好きなことを知っていた生徒さんは、子犬を拾ってすぐに佐藤さんに相談しました。
「大都会の東京で捨てられた犬がいるなんて最初は信じられませんでした。すぐに警察と動物保護センターに犬を保護していることを連絡しましたが、飼い主は現われません。その時、ああ…この子は本当に誰かに捨てられたんだなと、実感したのです。」
当時、佐藤さんの家ではすでに犬を2頭、猫を1頭飼っていましたが、佐藤さんはその子犬を飼うことを決意。
秋田犬ミックスのコロコロした大きな子犬はジャンボと命名され、このことをきっかけに、佐藤さんは「捨てられた命」について、いろいろ考え始めます。


預かりボランティアとの出会いが、
保護活動への参加とつながった。

その後12年の月日が流れ、先住犬の2頭に続いて、愛犬ジャンボを天国に見送った佐藤さんは、行き場のない犬を保護して里親探しをしているボランティア団体から新しい家族を迎えようと考えました。
「その頃には便利な時代になっていて、ネットで里親募集をしている犬がたくさんいました。」
こうして、ゴールデン・レトリーバーミックスのモモを新たに迎えた佐藤さんは、その直後からモモを保護していた犬猫の保護ボランティア団体が定期的に開催する犬の譲渡会のお手伝いを始めるようになります。
「犬の譲渡会場の手配や譲渡会当日のお手伝い、それに譲渡会の告知掲載を会場場所の地元紙にお願いするなどが私の役割でした。」
佐藤さん自身も犬が大好きで、誰が見ても「犬派」でしたが、神奈川県動物保護センター登録ボランティアになった2012年に転機が訪れます。
「昨今では犬の収容数とは比べ物にならないほど猫の収容数が多い。目の前の問題を直視すると、猫の保護が最優先課題だと思いました。」
また犬ではなく猫を保護する理由は数の多さだけではありませんでした。
「自宅のスペースや住環境を考えると犬を預かるのは難しい。犬の場合は散歩も必要となるため保護に費やす時間が多くなります。自分のライフスタイルを考えると、犬を預かるのは無理だと判断しました。できないことを無理してやっても長続きはしません。まず、今の自分は何ならできるのか、それを行動に移した結果が猫の引き取りと保護ボランティアだったのです。」
これまでの5年間でセンターから約130匹の猫を保護し、里親のもとへ送り届けた佐藤さん。自分にできることから一つずつ着手することがボランティアのコツだと言います。

譲渡先での猫たちの幸せな姿こそが、
ボランティアのエネルギーの源。

繁殖シーズンは特に子猫の預かりが増えます。
子猫は基本、一胎(同じ母親から生まれた子猫全部)を一緒に保護するため、数も多くなります。
特に目も開かない乳飲み子の保護は、一瞬たりとも目が離せません。
乳飲み子の預かりは、多くの時間、精神力、体力を要するため、仕事を持つ佐藤さんが預かることはあまりありませんが、シーズンでボランティアが足りないときには、乳飲み子を引き取ることも。
センターから連絡が入り次第、佐藤さんたちボランティアたちは直ちに駆け付け、その状況に応じて「今の自分にできることは何か」を考え、みなで分担しながら臨機応変に対応していきます。命を繋ぐためには、決まったことをひとりですべてやろうとせず、互いに話し合い、協力することが最も大切だと佐藤さんたちは考えています。
しかし、子猫の引き取りと保護ボランティアは時に大きな困難に直面します。
「保護した同胎の子猫5頭が感染症にかかり、ひどい発熱に下痢で、通院や看病で徹夜続きのことも何度かありました。もう助からないかも…と、思うこともありましたが、決して最後まであきらめることはしません。自分にできることはすべてやり尽くします。それが命に対する責任です。」
その後、5頭の子猫はすべて回復に向かい、1頭も命を落とすことなく譲渡が完了。
そんな苦労も多い中、佐藤さんが一番大きな力をもらうのは、譲渡した里親さんたちからのメールでの近況報告だと言います。

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「里親さんから送られてくる幸せいっぱいの猫たちの写真を見ると、私自身本当に幸せな気持ちになれます。そして、またがんばろうと…。5年間も保護ボランティアを続けていると、以前、譲渡した里親さんから2頭目も佐藤さんのところからと言ってくださる方も多い。 ボランティア冥利に尽きますね。そのおかげで、多くは知り合い経由で猫の譲渡ができています。」
知り合いで譲渡先の様子が事前にわかるのは大きなメリットですが、知り合いでも新規の希望者でもアンケートに回答してもらい、自宅訪問やアフターケアをするなど、譲渡先の状況はきっちり確認します。猫を確実に幸せにできる最高の譲渡先だと納得できるまで佐藤さんは妥協しません。
「センターに収容された猫たちは一刻を争います。そういった命を救っているのは何も特別な人間ではありません。私のような普通の人たちが、できることをただ精一杯やっている結果なのです。そのことを証明して、まずはたくさんの人に関心を持ってもらいたいと思います。」
しかしながら「誰か助けてあげて」という人任せではなく、自己判断で行動するためには、犬猫の行動学や病気に関する知識が豊富でないと絶対にできないこと。勉強は不可欠です。その上で、できることをみんなが協力し、分担すれば、一人では救えない命が救えるようなります。それが結果的に多くの命を救うことに繋がっていくことになるのです。
本来なら、捨てられた犬猫の保護ボランティアなど、必要でなくなる日が理想の未来。そのために、誰もができる一番の近道は、飼い主さん一人ひとりが犬猫を大切に思い、飼う上での知識を身につけて、家族として迎えることなのではないでしょうか。

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