犬のトイレトレーニングについて動物看護師が解説!
子犬を迎えたら、まず取り組みたいのがトイレトレーニングです。「トイレはここ!」と教えても、思ったようにしてくれず、たびたびの失敗に、ストレスを抱えている飼い主さんも少なくないと思います。でも、ちょっと犬の目線になって、トイレ環境やほめ方を見直してみると案外簡単に成功に導くことができます。
トイレトレーニングは犬との絆づくりに大切なコミュニケーションの1つです。犬の習性をもとに、効果的なトイレトレーニングの方法をお伝えします。
子犬を迎えたら、まず取り組みたいのがトイレトレーニングです。「トイレはここ!」と教えても、思ったようにしてくれず、たびたびの失敗に、ストレスを抱えている飼い主さんも少なくないと思います。でも、ちょっと犬の目線になって、トイレ環境やほめ方を見直してみると案外簡単に成功に導くことができます。
トイレトレーニングは犬との絆づくりに大切なコミュニケーションの1つです。犬の習性をもとに、効果的なトイレトレーニングの方法をお伝えします。
目次
初めから覚えている子もいるのに……
失敗しない環境をつくる
タイミング良くトイレに誘導する
成功したらすぐにほめる
トイレ日記の付け方
犬のトイレトレーニングにおすすめなトレー①
犬のトイレトレーニングにおすすめなトレー②
犬のトイレトレーニングにおすすめなトレー③
犬のトイレトレーニングにおすすめなトレー④
犬のトイレトレーニングにおすすめなトレー⑤
犬をお家に迎えた時、こちらのして欲しいことが伝わらずコミュニケーションの取り方に悩み、困られる方が結構います。そんな飼い主さんの困った表情を見て、子犬も同じように困っているのかもしれません。
特に排泄は重要な生理現象のため、犬はしたい時にしたい場所でしてしまうのは当然のこと。決めた場所以外で排泄したからと叱ってしまうと「人がいる時は排泄してはいけない」と多くの犬は勘違いしてしまいます。さらにそのことは人に対する不信感や恐怖心を抱くきっかけになったり、大きなトラウマにもなったりしかねません。
お家に来た時からトイレでできる子もいますが、できない子もたくさんいます。人も犬もお互いが心地よく一緒に暮らすためには、お家に来たらすぐにトイレトレーニングを始めましょう。
「うちの子は最初からトイレシーツでできた」と聞けば、飼い主さんは不安になってしまうでしょう。しかし、最初からできたのは、ペットショップやブリーダーさんが先に教えてくれていたからです。
トイレトレーやトイレシーツは人間が作ったものですから、生まれつき知っている犬はいません。トイレトレーニングは、犬と暮らすうえで必要なことだと思っておきましょう。特にオシッコの回数が多い幼少期(子犬期)は、トレーニングを始める良い時期です。
犬のトイレトレーニングで大切なポイントは「失敗しない環境をつくる」「タイミング良くトイレに誘導する」「成功したらすぐにほめる」の3つです。
まずは、現在のトイレ環境が子犬にとって排泄しやすいものかを見直してみましょう。
トイレトレーニングでまずやることは、子犬が排泄したくなるトイレ環境を用意することです。子犬は、じゅうたんやマット、タオルや洗濯物など吸水性のある素材をトイレと間違いやすく、トイレシーツでの排泄を覚えるまでは、そのようなものを子犬の行動範囲からは一旦除けておくことが成功への近道です。そして、最初はトイレシーツを広めに敷くなどして成功率を上げる方法が効果的です。
また、非常に重要なポイントですが、犬は飲み食べする場所、寝る場所から離れたところで排泄する習性があります。そのため、子犬の成長に応じて生活空間を広げてあげることもトイレトレーニングを成功させるうえでとても大切です。
ドアや窓の近くでの排泄を好む習性もあります。そういった場所で失敗が多いのであれば、その付近にトイレを追加設置するのも良いでしょう。
まずは、犬の習性をうまく活用して、トイレの設置環境の見直しから始めていきましょう。
子犬が排泄しそうなタイミングでトイレに連れて行きます。子犬が排泄しやすいのは、寝起き、飲み食べした後、遊んで興奮した後、お部屋を移動した後などです。
起きて活動している際は、ひんぱんに排泄するため、トイレで排泄させてから行動範囲を広げるようにしましょう。
サークルから出して遊ばせている間は、トイレの失敗が起こりやすくなります。目安として生後2~3カ月頃の子犬なら30分ごと、生後3~4カ月頃なら1時間ごとにトイレに連れて行くとうまく成功するでしょう。
また、子犬が床の匂いを嗅ぎ始めたり、急に人から離れたところに移動しようとしたりする様子が見られたらトイレサインかもしれません。トイレの成功には子犬の観察がとても重要です。目を離す際はサークルに戻すなどしながら成功率アップを目指しましょう。
もちろん、子犬が気持ちよく寝ている時に無理に起こす必要はありません。排泄のタイミングがつかみにくい時はトイレ日記を付けてみるのがおすすめです。
タイミング良くトイレに連れて行き、排泄し始めたら「おりこう」などのほめ言葉を言い、排泄し終えたらすぐに犬の口元に好物の食べ物を運びましょう。犬はごほうびの直前の行動と結び付けて学習します。
排泄し終わってすぐ(2秒以内が理想)にほめるために、トイレのそばにごほうびの食べ物を用意しておきましょう。大きな声を出したり、犬の頭を上から撫でたりなど、犬が驚くようなほめ方は逆効果なことがあります。「ほめ言葉と好物の食べ物」をセットにしたほめ方は犬に伝わりやすく、トイレの成功率が上がります。さらに、排泄しそうな時に「ワンツーワンツー」などの掛け声を習慣づけておくと条件反射で排泄を促しやすくなるのでおすすめです。
トイレサインが見られたらトイレに誘導し、うまくできたらほめるの繰り返しで成功に導いていきましょう。
子犬の排泄のタイミングがうまくつかめない時はトイレ日記を付けてみましょう。
おすすめの記録内容は、①排泄した時間、②排泄した場所、③オシッコかウンチか、④自分でトイレに行って排泄したなら◎、飼い主さんがトイレに連れて行って排泄したなら〇、トイレ以外の場所で排泄したなら×、⑤排泄前の出来事(例えば、遊んだ後、食事の後など)、⑥その日の成功率。
1週間ほど記録を付けてみると子犬の排泄の傾向がつかめ、タイミングを逃さずトイレに誘導しやすくなります。成功率が上昇しない場合には、トイレ環境に改善が必要かどうかの指標にもなります。
トイレトレーは、犬の体長の2倍から3倍のものを選びましょう。超小型犬ならレギュラーサイズ、ミニチュアダックスフンドやトイ・プードルならワイドサイズを。
足を上げてオシッコをする子には、L字型のトイレトレーやポール付きのトイレトレーがあります。クルクル回ってから排泄する子もいるので、余裕のあるサイズを選んでください。犬によって、高さの好みに違いはありますが、縁のあるトイレトレーは床との違いがわかりやすく、トイレトレーニング開始時にはおすすめです。
トイレがうまくできるようになった後に、失敗してしまうこともあります。トイレトレーニングは成犬になってからでも大丈夫。子犬のようにトイレ回数は多くありませんが、トイレシーツの上で排泄できた時は、最高の笑顔と大好物のおやつでたくさんほめてあげましょう。
お散歩で排泄する習慣が付くと室内のトイレでしなくなることがあります。天候によりお散歩に行けない日もあるため、外での排泄が習慣付いていても室内トイレは用意しておきましょう。そして、室内トイレで排泄することがあったらしっかりとほめてあげましょう。成犬になると好みやこだわりがはっきりとしてきます。それに応じてトイレ環境の見直しも必要になります。犬の好みの変化やこだわりなど、行動をよく観察して、時間はかかりますが根気よくやっていきましょう。
ただ、特に成犬で排泄の失敗が見られる場合、泌尿器系や消化器系などの疾患が影響していることも考えられます。犬の様子をよく観察して、必要に応じて動物病院を受診しましょう。
トイレトレーニングを効果的に進めるためには、トイレを失敗した時の対処も大切です。
❶叱らないこと
トイレを失敗した時に「ここでしないで」を犬に伝えるのは非常に難しいことです。叱られることで、多くの犬は「人がいる時には排泄してはいけない」「人は怖い存在だ」と受け止めてしまうかもしれません。そうなると、排泄を我慢したり、隠れて排泄したりするようになり、トイレトレーニングがうまくいきません。それ以上に、人に対する不信感を抱くようにもなるためおすすめできません。
また、失敗した後にトイレに連れて行き「トイレはここでしょ」と教える方法も効果はありません。トイレを失敗した時には無言でサッと片づけ、次の排泄のタイミングを逃さないように心がけましょう。
❷片づけ方にも工夫を
トイレの失敗を片づける際、子犬がよくタオルやティッシュにじゃれてくることがあります。そのことは、子犬にとっての楽しい遊びや飼い主さんの関心をひくきかっけになり、トイレトレーニングの妨げになるため注意が必要です。片づける際には子犬が見ていない間に簡単にサッと行い、子犬の食事中や寝ている間にしっかり掃除するなどの工夫が必要です。簡易の柵などがあれば、子犬が失敗場所に来られないように囲う方法も良いでしょう。
排泄物のニオイが残っていると失敗を繰り返しやすいため、しっかり取り除きましょう。
❸トイレ環境の再度見直し
失敗を繰り返す場合には、現在のトイレ環境が子犬にとって適切かどうか改めて見直しましょう。トイレの手前で失敗する場合には、トイレの設置場所が壁にぴったりくっついて圧迫感を与えているのかもしれません。壁から少し離すことで解決することもあります。
また、犬によっては、部屋の出入り口や窓の近くで排泄したがるという傾向もあるため、そういった場所にトイレを設置してみるのも良いでしょう。
子犬の行動をよく観察して、家庭の状況にあったトイレ環境を考えてみましょう。
❹行動範囲を制限し過ぎず自分でトイレに行けるように教える
目を離す際に、サークルに入れるのも失敗を防ぐための対処法の1つです。ただ、サークルに閉じ込めっぱなしではトイレトレーニングはうまくいきません。サークルから出した状態で、トイレサインが見られたらトイレに誘導することが重要です。
最初は、抱っこでトイレシーツの上に乗せます。トイレを認識できるようになってきたら、次はトイレの少し手前で降ろし、自分で歩いてトイレに入ることを教えます。そして、少しずつ歩く距離を伸ばしてトイレに自分で歩いていけるように教えてあげましょう。
子犬のうちは囲いのあるトイレを用意すると成功しやすいでしょう。サークル全体にトイレシーツを敷き詰めたトイレがおすすめです。その場合、囲いの上から入れるのではなく、扉側から子犬が出入りできるように教えることも大事なポイントです。
犬の大きさや癖によって、適切なトイレの形は異なります。足が長い犬種は排尿位置が高く、オシッコが飛び散ってしまう可能性があるので、壁付きタイプや体長よりも一回り以上大きいものが良いでしょう。
掘り癖や噛み癖がある子は、いたずらを防止できるメッシュタイプがおすすめ。短足の犬種や高齢犬では、段差があるとつまずきやすいので、フラットなタイプがいいでしょう。
また、洗いやすいかどうかも大きなポイントです。軽くて移動させやすいか、オシッコが溜まるフチがないかをチェックしておくと、日々のお手入れが楽になるでしょう。犬に合ったトイレを選ぶと、犬の体に負担をかけず、飼い主さんもお掃除が楽なのでお互いのストレスを軽減できます。
「アルミパネルトレー」はゆとりのある大きさで、胴長の子や大型犬にぴったりです。パネルの高さは別売りの2種類から選択可能。はみだし防止にはローパネル(使用時高さ25.5cm)、男の子のマーキングにはハイパネル(使用時高さ74cm)がおすすめです。
「ワンマット」は段差がほぼないマットタイプなので、短足犬種や高齢犬におすすめです。丸ごと水洗いできるのでとても衛生的。複数のマットをつなげば、体が大きい子にも使えます。折り畳めるので旅行用に持っておくと便利です。
「しつけるウォールトレー」は壁付きトレーで、男の子の足上げ対策にぴったりのトイレです。メッシュトレーも付いているので掘り癖・噛み癖もしっかり防止。メッシュを外せば通常のトレータイプとしても使えます。
「ペットレークリアメッシュ」は段差が低く、つまずきにくいので子犬や高齢犬におすすめです。メッシュ付きなので、掘り癖・噛み癖も防止できます。凹凸が少なく汚れが溜まりにくいので、掃除がしやすいのも魅力です。
「やわらかプラダントイレ」はゴールデンレトリーバーなどの大型犬や小型犬の多頭飼いにおすすめです。たっぷりスペースだから、クルクル回れて尿はねも防止。段差が低いので高齢犬にも使えます。丸洗いできるから衛生面も安心です。
犬と暮らしている方なら、ほとんどの方がトイレトレーニングを経験されているでしょう。トイレの失敗が続けば、ニオイ、衛生面、毎回の掃除で飼い主さんはストレスを抱えてしまいます。しかし、叱って教えることは百害あって一利なしです。うまくいくように環境を整え、成功したらほめることを繰り返すことで、犬も飼い主さんももっと楽に楽しく暮らすことができます。
ぜひ、今回お伝えした内容を参考に、取り組んでみてください。
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お話を伺ったのは…
nobita
動物看護師
富永 良子先生
18年間の動物病院勤務を経て、2017年よりフリーランスの動物看護師として活動中。「犬や猫ともっと楽に、もっと楽しく暮らそう♪」をモットーに、犬や猫の心の健康を大切にした育て方や暮らし方の提案に力を入れている。
現在は、動物病院でパピークラスやノーズワークレッスンを開催。ペット共生型有料老人ホームで高齢者とペットとの暮らしのサポートも行っている。