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犬のトリミングは自宅でできる?必要な準備とおすすめのやり方

犬のトリミングは自宅でできる?必要な準備とおすすめのやり方

犬トリミング自宅

定期的なトリミング(全身カット)が必要な犬種の飼い主さんの中には「ブラッシングは自宅でしているけど、トリミング(全身カット)はプロに任せている」という方も多いのではないでしょうか。 また一方で、自宅ですべてのお手入れをしたいと考える飼い主さんもいるでしょう。自宅でも伸び気味の被毛をカットしたり整えたりする「セルフトリミング」が可能です。

そこで今回は愛犬のトリミングを自宅でするための準備とおすすめのやり方を紹介します。

目次

犬のトリミングの基礎知識

トリミングという言葉はよく目にしますよね。では、グルーミングという言葉は聞いたことはありますか?

犬のケアは大きく分けて「トリミング」と「グルーミング」に分類されます。 トリミングとは愛犬の被毛をカットして整えることを言います。 グルーミングとはブラッシングや爪切り、足裏や足まわりの毛のカット、肛門腺絞り、耳そうじ、シャンプーなどお手入れ全般のことを言います。

 

一般的にトリミングサロンではグルーミングも行った上でトリミングを行います。そのため言葉としてはグルーミングよりもトリミングの方が広く使われていますが、グルーミングは愛犬のケアをする上でとても大切です。  

 

自宅でお手入れをしたいと考えている飼い主さんも、いきなり全身の被毛をカットするのはおすすめしません。なぜなら、犬種によってカット方法が異なりますし、動く犬をおとなしくさせて安全にトリミングを行うのは難しいからです。 また、あまりに短くカットしてしまうと太陽光の刺激で皮膚に良くない影響がでる危険性があります。 もし自宅で愛犬のお手入れを行う場合はシャンプーやブロー、足裏・足回りの毛のカット、爪切り、肛門腺しぼりくらいにしておき、体のカットや耳そうじは無理をせずサロンでプロに任せることをおすすめします。

自宅で犬のトリミングをするときの準備

何の準備もせずにいきなり全身の被毛をカットしようとすると、愛犬に大きなストレスを与えてしまいます。暴れて愛犬がけがをしたり、飼い主さんを噛んでしまったりとトリミング自体が嫌いになってしまうことも。愛犬がトリミングに慣れるためには、どうすれば良いのでしょうか。

最も重要なのは日頃のスキンシップです。 身体に触れられることに慣れていないと、愛犬にとってどの作業もストレスを感じるようになってしまい、嫌がる原因になります。日頃から身体に触れられることに慣れさせて、愛犬にとってグルーミングやトリミングを『気持ちいいお手入れの時間』に出来るように心がける必要があります。 飼い主さんの優しい声かけもとても大切です。おりこうにしてくれたら、たくさん褒めてあげましょう!

 

また、バリカンの音に慣れていない場合、バリカンの音に慣れさせておくこともストレスのないトリミングを行うには必要です。

  

 

トリミングを安全に行うためのチェック

まずトリミングを始める前に、愛犬の健康状態を注意深くチェックしましょう。 赤み、傷、イボや腫れ、湿疹や乾燥がないかなどの皮膚の状態や耳の状態、体や手足、そして関節。触って嫌がったり痛がったり、怒ったりする箇所はないかを観察してください。異常や心配な部分が見つかったら、自宅でトリミングを行う前に動物病院を受診して相談しましょう。 他にも、毛が酷く汚れていたり毛がもつれたりしていないかなど毛の状態をチェックすることや、消化にエネルギーが必要な食後は避け、過度に興奮していない時にトリミングを行うことも大切です。

次に、トリミングを行う環境にも注意しましょう。 自宅の庭やベランダではなく、洗面所やバスルーム、玄関などの掃除しやすい屋内が良いでしょう。 屋内では、床にビニールシートや新聞紙を広げておけば掃除をしやすくて便利です。 周囲に愛犬を刺激する要素(子供や他の動物など)がなく、リラックスできる落ち着いた環境を整えることも必要となります。 加えて、サロンのように台に乗せてトリミングをする場合には、壁面や部屋の角を利用するなど、落下の危険を回避する対策をとりましょう。

自宅でバリカンやハサミを使用してトリミングを行う場合は、万が一の怪我に備えて動物病院の診察時間に行うのが安心です。怪我をさせてしまった際に、診察をしてもらうことが出来ます。

トリミングに必要な用品を準備

まずは、スリッカーブラシや天然毛ブラシ(獣毛ブラシ)を用意します。ブラシ類はトリミング時だけではなく毛玉や死毛を取り除くための日常的なお手入れにも使えます。 シャンプーやカットする前にしっかりとブラッシングをして毛の通りをよくし、途中でバリカンがひっかからないようにすることでトリミングの仕上がりも良くなります。 長毛種で毛がもつれやすい子はスリッカーブラシや天然毛ブラシを、短毛種の子は天然毛ブラシやラバーブラシを使用するのが良いでしょう。 スリッカーブラシは鋭い針金のピンが付いたブラシなので、強くブラッシングをすると皮膚を傷つける原因にもなります。皮膚に当てないように優しくブラッシングすることを心がけましょう。

 

次に、爪切りと止血剤です。爪切りにはギロチンタイプ、ニッパータイプ、ハサミタイプなど色んな種類がありますが、初めての方にはギロチンタイプがオススメです。犬の爪の中には血管や神経が通っているので、深爪をして出血したときに止血するための止血剤を必ず用意しておいてください。  

 

次に、バリカンです。バリカンを使えば、ハサミよりも安全かつ簡単に足裏の毛を短くできます。 人間用ではなくペット用を使用してください。足の裏や耳の周りなどの細かい部分を整えるためにはミニバリカンも便利です。 長さを変えられるアタッチメントがついているバリカンは、毛の長さを均一にすることができるので、時短に繋がる他にもハサミの使用による怪我のリスクを減らすことができます。

 

最後にハサミとコームを用意します。ハサミといっても、トリミングを行う際にはいくつかのハサミを使い分けます。 紙を切る工作用ではなく、トリミング専用のハサミ「カット用」と、長毛種やコートが厚い犬種に使用する「梳きバサミ」の2種類です。「梳きバサミ」は体全体のバランスを崩さずに毛を梳(す)くことに適したハサミです さらに、顔の周りや手足の先、肛門の周りなど、細かい部分のカットに便利な「ミニハサミ」もあります。 ハサミは怪我を防ぐため刃先を身体のほうに向けないように注意して皮膚から少し離して使いましょう。 カットの際に毛をとかすコームもあると便利です。

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他にも、愛犬が滑らないようにする防滑(ぼうかつ)マットや、トリミング後にご褒美としてあげるおやつなどを準備しておきます。

ペピイの防滑(ぼうかつ)マットはこちらから

自分で犬のトリミングをするときのやり方

以上のチェックを済ませて必要なアイテムの準備が出来たら、まずはグルーミングで全身のお手入れを行います。 ここではグルーミングに含まれる「爪切り」「足裏の毛のカット」「肛門腺絞り」「シャンプー・ブロー」それぞれのやり方について説明します。

爪切り

爪を適切な長さを保つことは、スムーズな歩行に必要不可欠です。爪を切ることで、愛犬の肉球が地面にぴたっと接地して爪の役割を正常にします。 散歩などで地面と接すると自然に爪が削れるのですが、全ての爪が均等に削れるわけではありません。散歩の回数が少ない場合や散歩の時間がどうしても短くなってしまう老犬の場合はとくに爪のチェックは大切です。

また、地面に接していない親指の爪「狼爪」は普段の生活で削れることがないので、定期的に切る必要があります。 加えて、爪には神経が通っている血管があります。血管を誤って切ってしまわないよう爪を切る際には刃の方を外に向け、角を落とす程度にとどめて小さくカットしましょう。もしも切りすぎて出血した場合には、止血剤を使って圧迫止血しましょう。足先を触った時に嫌がる場合には肘(ひじ)やスネを持ち、足先に向かって手を滑らせるようにすると上手くいきます。 爪を切った後は爪やすりでキレイに仕上げて完成です。

足裏の毛のカット

足裏の毛はハサミで切るのではなく、怪我をしないようにペット用のバリカンを使用します。 肉球からはみ出ている余分な毛を、指を1本ずつ広げながら肉球を傷付けないようゆっくりと少しずつカットしましょう。 肉球が見える程度にカットできれば足裏のカットは終わりです。

肛門腺絞り

肛門腺とは、肛門の左右にある袋、肛門嚢(こうもんのう)に貯まる分泌物のことです。臭い付けに役立っているという肛門腺ですが、これが悪臭の原因となります。 生まれつきこの肛門腺が出にくいなどの個体差もありますが、月に一回程度絞るのが目安です。 肛門嚢は、時計で例えると肛門を中心として4時と8時の位置にあります。 絞り方はまずティッシュを準備し、尻尾を持ち上げて肛門を出します。 次に親指と人差し指で肛門の少し奥から絞り出すようにつまみます。

肛門腺をつまむと、分泌液が飛び出すこともあるので、ティッシュなどでカバーしながら行いましょう。シャンプーの時に絞るとお尻の汚れやにおいをそのまま洗い流せるのでおすすめです。 また、出ないからといって無理に力を入れてしまうと炎症の原因にもなってしまうため、出ない場合は一旦中止してください。 上手くいかない場合はトリミングサロンや動物病院でプロに任せましょう。

シャンプー・ブロー

プードルやパピヨンなど、毛の長い犬種の場合には先にブラッシングしておくことでシャンプーがなじみやすくなります。 シャワーを体に当てる際にはお湯の温度に気を付けつつ、驚かせないように声をかけながら、体の後ろから前に向かって濡らしていきます。肛門腺しぼりもシャンプーの時に行い、そのままキレイに洗い流してあげると良いでしょう。

 

シャワーが苦手な子にはシャワーヘッドを皮膚にぴったりつけることでシャワーの衝撃を減らしたり、スポンジに含んだお湯をしぼりながら顔や身体を濡らしたりと、工夫してあげると愛犬のストレスを減らすことができます。  

  

シャンプーは充分に泡立ててから洗いましょう。声かけをするなどのスキンシップをとりながら優しく洗うことも忘れずに。 目や鼻、耳にシャンプー剤やお湯が入らないように注意し、前から後ろに向かってぬめりがなくなるまでしっかりとすすぎます。すすぎ残しがあると、皮膚のトラブルの原因になります。 被毛や身体の汚れ具合によってシャンプーは2回位繰り返し、綺麗になったらタオルドライで拭きドライヤーでしっかりと乾かします。タオルドライで出来るだけ多くの水分を拭くことによって、ドライヤーの時間を短縮できます。シャンプーもタオルドライも、ゴシゴシ行うのではなく優しく行います。 ブローの際には、目や鼻に直接風を当てないように注意しつつ、皮膚に赤みや湿疹などの異常がないかをチェックしましょう。

 

グルーミングを行った後、全身のカットとなるトリミングを行います。 カットに関しては犬種によって大きく異なる上に、カット方法も様々なためご自身の愛犬に合ったカットを学ぶ必要があります。自宅でする場合には、気になる部分を整える程度にとどめ、全身のカットはプロにお任せするほうが愛犬への負担も減らすことができます。

トリミングに慣れさせるコツ

全ての作業において、飼い主さんの優しい声かけはとても大切です。作業に集中してついつい無言になってしまいがちですが、声かけやアイコンタクトをして楽しい雰囲気を作ってあげてください。 毎日お風呂に入る人間と違って、お風呂場に普段あまり行かない愛犬をいきなりシャンプーしようとすると、お風呂場に緊張したり、怖がったり、怯えたりする場合があります。時々お風呂場に連れて行っておやつをあげたり、飼い主さんが優しく声をかけたりすることで場所に対する不安を減らしておくことが必要です。 日頃のスキンシップで愛犬の気持ちを尊重し、ブラッシングなどの比較的簡単に出来るお手入れから徐々に慣らしてください。

 

お手入れは1度に全てを終わらせようとするのではなく、「今日は前脚の爪切りだけ」「明日は後ろ」「別の日にブラッシング」「次は肛門腺絞りとシャンプー」と分けて少しずつ慣らします。お手入れ後は「よくがんばったね」と褒めてあげましょう。おやつやおもちゃで気をそらしたり褒めながら行うのもおすすめです。 また、愛犬が嫌がっている中で無理に作業を続けると、その後に逃げ回ったり、暴れるようになったりする可能性があります。無理強いをして行うのは禁物です。

 

グルーミングやトリミングは一生必要なお手入れになります。 愛犬がお手入れを嫌いにならないようにあせらずゆっくりと時間をかけて慣らしてあげることで、その後の健康管理にも大きく役立ちます。

まとめ

しっかりと準備をし、段階的に慣らしてあげることで、自宅で行うお手入れは愛犬と飼い主のスキンシップにもなります。優しく声かけをしてグルーミングやトリミングを行い、嫌がる様子があるなら決して無理はしないようにしましょう。

 

何もかも自分でやろうとは思わずに、難しい部分はトリミングサロンや動物病院に頼ってください。愛犬にとってトリミングやお手入れが気持ち良い時間になるように心がけましょう。 足裏の毛のカットやシャンプー、爪切りからでも無理のない程度に取り入れてみてくださいね。

お話を伺ったのは…
動物看護師・トリマー
赤須 彩子さん

動物看護師として長く勤務する中で、病気や高年齢を理由にトリミングサロンにお断りされた飼い主さんと出会い、トリミングを必要としている子の力になることを決意。
トリミングスクールで学んだ後、動物看護師に加えトリマーとしても動物のケアを行う。また、グリーフケアの学びを深め、動物と飼い主さんのハッピーライフのお手伝いにも注力。現在、二児の母として子育て中。

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