健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

意外と知らないこんなコト。「毛づくろい(グルーミング)はいつするの?」

ことわざに『猫が顔を洗うと…』とあり、この後には、雨が降る、晴れになる、客が来る、といった言葉が続きますが、猫が顔を洗う姿は猫と伴に暮らしていると、始終見かけているのはないでしょうか。

猫は起きている時間の10%前後を毛づくろいに費やしていると言われています。
ちなみに、猫は1日のうち起きている時間は8時間前後…。ということは、1日に1時間以上、顔を洗ったり、身体を舐めたり、爪先を整えたりしているということになります。

この毛づくろいは猫にとっての本能的な行動なのですが、では、どんな時に猫は本能に突き動かされるのでしょうか?

(1)食後

もともと捕食動物である猫は、自分で獲物を捕らえ、それを殺し、食べていました。その時、一番汚れるのは顔や前肢です。このため、食後には必ず毛づくろいを行います。

今では、ほとんどの猫が自力では獲物を捕らえず、飼い主にご飯をもらっていますが、よく見ていると、時々お皿からご飯をすくって食べたり、転がっていったドライフードを前肢でちょいちょいっと引き寄せたり、好きではないご飯に(架空の)砂をかけようとしたりしています。やはり飼い猫であっても食事の時には、口周りだけでなく、前肢も使うことがあるため、このあたりが一番汚れてしまうかもしれません。

猫はご飯を食べ終わると、口の周りを舐め、美味しかったと伝えてくれているようですが、これも実は毛づくろい行動の一環。
最初に口の周りを軽く舐め、次第にその口を大きく開けながら口の周りを綺麗にしていきます。

その後、前肢を使って口の周りをぬぐい、前肢を丹念に舐め綺麗にします。また、その前肢で、口の上、目の上を、そして首をかしげながら頭、耳と拭っていきます。

このように顔の毛づくろいを行う場合、顔の左側は左前肢で、右側は右前肢で綺麗にしていきます。

ただ、この食後の毛づくろい…
猫の個性によっては1~2分で済まされてしまう場合や10分以上かけて行われる場合も。

私の経験的には、お姉さんやお母さんのかわりとなる年長猫がいる家庭の甘えん坊猫は割合毛づくろいにかける時間が短めのような気がします。

貴方の飼い猫は食後の毛づくろいに何分かけていますか?

(2)寛いでいる時や、寛ぐために

食後だけでなく、遊び終わった後やトイレの後など、ほっと一息ついたときに、自分の体の汚れや他の匂いを落とし、自分の匂いを自身につけるためにも毛づくろいを行います。

このときの毛づくろいには順番があるようです。最初に顔を洗い、次いで身体を器用にくねらせながら背中からお腹、そして最後に後肢をピンとバレリーナのように伸ばしながら肛門や、生殖器周囲、後ろ足へと進んでいきます。眠い時には前肢や背中だけをちょっと一舐めして、一気に後ろ足へいったりすることも。

きっと、猫の飼い主には覚えがあることと思いますが、猫は飼い主に撫でてもらった後、その部分だけをこれ見よがしに(?)毛づくろいし始めることがあります。

これは被毛の乱れを直し、人間の手の匂いや皮脂を自分の匂いに置き換えるための本能的な行動ですが、飼い主としてはそこはかとなく哀しい行動。我が家の愛猫は、最近、触られてから私の目がなくなったと思った頃にそっとグルーミングしています。気を遣ってくれているのでしょうか…。

また、猫や緊張や不安、葛藤といった心的ストレスを感じたときに、自分自身を落ち着かせるため、寛がせるために毛づくろいを行います。 例えば、じっと猫と視線を合わせていると、猫はふと視線をそらせ、脇腹などを毛づくろいし始めます。これは緊張をほぐすため、あるいは、不安を軽減させるための本能的行動なのです。

この場合は、毛づくろいには一定の順番はなく、ある特定の場所を熱心に執拗に舐めることが多いようです。

過度の不安や緊張、葛藤を感じてしまった場合は、執拗な毛づくろいが始終行われ、その部分の被毛が短くなったり禿げてしまったりすることがあります。

逆に体調が悪い時には、毛づくろいの回数が減ったり、まったくしなくなったりすることがあります。

このため、毛づくろいし過ぎている場合や反対にその回数が減ってしまったような場合には、どこかが不調であったりする可能性があります。このような時には、かかりつけの動物病院にご相談してみてください。

(3)社会的絆としての毛づくろい

親兄弟姉妹といった関係でなくとも、同じ家庭内で育てられた猫たちの間では、互いに相手の毛づくろいをする姿がみられることがあります。この際、特に自分では直接舐めることができない鼻梁から頭部、首の部分にかけてを互いにグルーミングしあい、時には耳の中まで行います。

これは猫同士の間で社会的な絆が出来ている場合にみられるもので、まだ互いに馴染んでない時には認められません。言い換えれば、新参猫が古参猫たちと仲良くなってきたかどうかは、互いに毛づくろいしているかどうかで確認することができますね。