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【獣医師監修】柴犬の性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!

【獣医師監修】柴犬の性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!

日本犬の中でもっとも小型の柴犬。
古武士のように凛としていながら愛らしさも兼ね備え、今では海外にも多くのファンがいます。

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」の例えのごとく、事あらば立ち向かうだけの勇気と気概をもつのが柴犬とされ、まさに日本犬を代表する犬種です。

1.柴犬の特徴や性格は?

最近、犬の行動特性は遺伝と関連するものの、犬種との関連はわずか9%にすぎないという研究結果が発表されました(※1)。

つまり、犬種から行動特性を予測するのは難しく、個々に違いがあるということ。
それは育て方や環境が犬の行動に大きく関係するということでもあるでしょう。

そして、行動は気質・性格とも関係します。

もちろん、遺伝に基づいた犬種に傾向的な気質や行動もあり、柴犬の場合は落ち着きがあり、我慢強くて独立心が高く、家族への愛着は深いと言われます。
しかし、その上で、どんな性格の犬になるのか、それは飼い主さんの育て方がとても重要になるということだと思います。

柴犬の歴史

古くは十石犬(群馬県)、信州柴(佐久の犬・川上犬・木曾犬/長野県)、美濃柴(岐阜県)、山陰柴(石州犬/鳥取県、島根県)など、各地域による呼び名があり、それぞれ微妙に違いのある柴犬がいました。

昭和11年(1936年)に天然記念物指定を受けたことを機に犬種名を「柴犬」と統一。

興味深いことに、ある遺伝子研究では、「山陰柴」と「信州柴・美濃柴」とは祖先が別である可能性があるとしています(※2)。

柴犬の容姿は?

柴犬の体高は35~41cm、体重は7~11kg程度。

日本犬保存会系の柴犬は俗に「タヌキ顔」と言われ、額段(ストップ)が適度にあり、体はやや丸みを帯びています。それに対し、縄文時代の遺跡から発掘された“縄文犬”を柴犬の理想とする天然記念物柴犬保存会系の柴犬は「キツネ顔」と言われ、額段が浅く、体は細身で、足がやや長く見えます。
ともに口吻は中庸な長さで、目はやや吊り上がり気味、ピンと立った耳に、巻き尾か差し尾になる尾は日本犬らしいところです。

被毛は密なダブルコートで、赤毛、黒毛、胡麻毛、白毛の4種があり、洋犬とは違った渋さがあります。特に、日本犬では「裏白」と言って、頬や口吻の下側、胸、腹、足先、尾の裏側などが白っぽい毛になるのは特徴的です。

2.柴犬を迎える方法

柴犬を迎える方法

柴犬を迎えるには、主にペットショップ、ブリーダー、動物保護団体・動物愛護センターなどのルートがありますが、その前に知っておきたいこともあります。
それを理解した上で、入手先を決めましょう。

  1. 1.「動物の愛護及び管理に関する法律」により、販売者は対象となる動物を直接見せ、飼育方法などについて購入者と対面した上で文書を用いて説明しなければなりません。

  2. 2.2022年6月1日より、販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。犬を購入後は、飼い主さんの連絡先などの情報を変更登録する必要があります。

詳しくはこちら⇒

環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「令和4年6月1日から開始するマイクロチップ登録制度に関する飼い主の方向けQ&A」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html

柴犬の入手先

入手先1

ペットショップで柴犬を探す

ペットショップで販売される犬は、契約ブリーダー、自社(自家)繁殖の他、多くが生体市場経由で仕入れられた子犬です。
現在、動愛法の改正により、生後56日(8週齢)に満たない子犬子猫は販売できませんが、特例があり、天然記念物指定を受けている犬種の場合は生後49日となっています(※3)。柴犬はそれにあたるので、子犬の生年月日は確認するようにしましょう。

なお、子犬を選ぶ際には、できれば親犬を見ることができると理想的ですが、ペットショップでは稀と言わざるを得ません。

入手先2

ブリーダーから柴犬を購入する

ブリーダーは特定の犬種にこだわりをもって繁殖しており、その犬種についての知識も豊富です。
子犬の価格については、ブリーダー登録サイトは別として、ブリーダーのホームページ上では公開していないケースが多いため、直接問い合わせる必要があります。

予約をすれば見学も可。親犬を見られる率が高い点はプラスポイントです。
なお、場合によっては子犬が産まれるまで数ヶ月待たなければならないこともあります。

入手先3

柴犬の里親になる

行き場のない犬はまだまだ多くおり、そうした犬を迎えるのも一つの選択肢です。この場合、すでに成犬であることが多く、老犬である場合も珍しくありません。

入手先としては動物保護団体や各自治体の動物愛護センターなどがありますが、里親になるには一人暮らしや65歳以上の人は不可、その自治体在住者のみなどそれぞれ条件が設けられていることがあるのでよく確認してください。

犬は子犬から飼わなければならないということはありません。成犬でもしつけ直すことは可能です。何より、辛い思いをした分、人の愛情に飢えている犬も多いもの。時間をかけて気持ちが通じ合う一瞬が訪れた時の嬉しさは代えがたい宝となることでしょう。

柴犬と暮らしたいと思った時、保護犬の里親になる選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。

柴犬を迎えるときの費用相場は?

現在、子犬の価格は以前に比べて大幅に高騰しています。したがって、決して安い買い物ではなく、ましてや一つの命を預かるわけですから、熟考の後、犬をお迎えください。
その結果、柴犬を迎えると決めた場合、おおむね以下の初期費用がかかります(商品に関しては一般的なものから少々リッチなものまで含みます)。

柴犬を迎える場合の費用の目安

項目 費用の目安
柴犬の子犬の価格 16万円~
狂犬病予防注射 3,000円~5,000円程度
注射済票 500円程度
犬の登録料 3,000円
混合ワクチン(5種~10種) 5,000円~1万円程度(※4)
犬用ベッド 4,000円~1万5,000円程度
サークル・ケージ 1万円~4万5,000円程度
食器・水飲み・フード(ドライフード1袋)類 4,000円~8,000円程度
トイレ・トイレシート類 6,000円~9,000円程度
ブラシ・コーム・爪切り類 3,000円~8,000円程度
首輪・リード類 4,000円~1万2,000円程度
おもちゃ類 1,000円~3,000円程度
合計 約4万5千円~12万円程度+子犬の価格

※価格はあくまでも目安であり、販売者や子犬の状況、動物病院、商品などの条件によって変動します。
※狂犬病予防法により、犬を手に入れてから、もしくは生後91日以上たってから30日以内に狂犬病予防注射を受けることが義務付けられています。ただし、病気や高齢など事情があって接種できない場合は、届け出をすることで免除が可能となります。接種場所は自治体による集合注射と動物病院とがあり、費用に若干の違いがあります。
※鑑札と注射済票は犬の身につけることが法的に義務づけられていますが、現在、注射済票に関しては各自治体でいろいろなデザインがあります。
⇒厚生労働省「犬の鑑札、注射済票について」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/10.html

3.柴犬の飼育のポイント

柴犬の飼育のポイント

子犬の成長にとって大事なことの一つが社会化です。
生後3週齢~12週齢にかけての「社会化期」にある子犬は好奇心が旺盛で、いろいろな物事を吸収しながら犬として生きていく上での基礎を築いていきます。

すでに説明したように、動愛法上、秋田犬・甲斐犬・紀州犬・柴犬・四国犬など天然記念物指定を受けている犬種の子犬を販売できるのは生後49日以降となり、他犬種より早めに手に入れることが可能なことから、より社会化に気を配りたいものです。

特に日本犬は他人には慣れにくい面があるので、子犬に無理のない範囲で、人や物、音、環境などいろいろなものに慣らすようにしましょう。

4.柴犬のかかりやすい病気・ケガ

柴犬は健康的な犬ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、アレルギー疾患や膿皮症など、柴犬では皮膚トラブルが起こりやすいと言われます。

また、関節疾患や眼疾患、内分泌疾患、長寿傾向にあるだけに老齢性の病気などにも気をつけたいものです。

 

若齢~成犬

子犬~若い犬では、特に以下のような病気・ケガには気をつけましょう。

  • ・ 膝蓋骨脱臼

    膝のお皿の骨(膝蓋骨)が大腿骨の溝から外れてしまう関節疾患。

  • ・ 股関節形成不全

    股関節に緩みが生じる遺伝性の関節疾患。

  • ・ 熱中症

    子犬は地面からの反射熱を受けやすく、熱中症になりやすい。

成犬〜高齢犬

そして、成犬~高齢犬では、以下のような病気に注意が必要です。

  • ・ 白内障

    柴犬は白内障になりやすい傾向にあると言われる。

  • ・ 歯周病

    歯周病菌の毒素が血流に乗り、他の病気に悪影響を与えてしまうことがある。

  • ・ 甲状腺機能低下症

    主に自己免疫システムに障害が生じ、甲状腺を有害ととらえて攻撃してしまう内分泌疾患。

  • ・ 腫瘍・癌

    高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。

  • ・ 特発性前庭疾患

    三半規管や前庭神経、脳幹、小脳などに異常が生じ、平衡感覚が障害される病気。老犬に多く、突然首が傾く(斜頸)、眼振、片方向に傾いて歩く(旋回)、起立不能などがみられる。また症状により食欲不振や嘔吐がみられることもある。

  • ・ 認知症

    認知症に関連する行動が一つ以上見られた犬が12歳の犬で53%、13歳で70%、15歳では86%であり、また、13歳以下では洋犬の割合が多く、14歳以上では日本犬のほうが多いとする調査報告もある(※5)。

  • ・ 熱中症

    老犬は熱中症になりやすい。室内でも熱中症になることがあるので注意を。

⇒【獣医師監修】犬の熱中症は危険!応急処置と危険な状況別の対処法

https://www.peppynet.com/library/archive/detail/645

⇒【獣医師監修】犬の外耳炎の症状とは?原因や治療方法を解説

https://www.peppynet.com/library/archive/detail/879

5.柴犬の平均的な寿命は?

柴犬の平均的な寿命は?

柴犬の平均寿命は13歳~16歳程度と言われます。

参考までに、東京大学の研究チームがペット霊園のデータを使用して行った日本の犬の平均寿命に関する調査(2018年発表)では、柴犬での平均寿命は15.5歳と長めで、死亡時の最高齢は25.2歳でした(※6)。

6.まとめ

縄文時代に南アジアから日本に渡って来た犬が定着した後、弥生時代~古墳時代にかけ新たに朝鮮半島経由で渡って来た犬と交雑することで今日の日本犬が生まれたと考えられています。つまり、柴犬はその末裔であり、たいへん歴史のある犬であるということ。

日本の気候風土に合った質実剛健で、胆力と渋味のある美しさをもつ柴犬は、「一犬一主」の言葉で表されるように飼い主さん家族には一途な愛情を示す犬です。うまく互いの絆を築くことができれば、生涯の宝と言える存在になることでしょう。

(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)

※犬は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度など個体差があります。

【参照元】
(※1) ELINOR K. KARLSSON et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes. SCIENCE•29 Apr 2022•Vol 376, Issue https://www.science.org/doi/10.1126/science.abk0639#tab-citations
(※2) 牧拓也、井上-村山美穂、HONG,Kyung-Won、井上英治、前島雅美、神作宜男、田名部雄一、伊藤愼一「マイクロサテライトマーカーによる柴犬3内種の遺伝的多様性と類縁関係」(動物遺伝育種研究(2008)36,95-104)https://www.jstage.jst.go.jp/article/abgri2000/36/2/36_2_95/_pdf
(※3) e-Govポータル「動物の愛護及び管理に関する法律」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=348AC1000000105
(※4) 公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」http://nichiju.lin.gr.jp/small/ryokin_pdf/h27.pdf
(※5) 水越美奈、松本千穂、脇坂真美「高齢犬の行動の変化に対するアンケート調査」(動物臨床医学26[3] 119-125, 2017)https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/26/3/26_119/_pdf/-char/ja
(※6) Inoue M, Kwan NCL, Sugiura K. Estimating the life expectancy of companion dogs in Japan using pet cemetery data. J Vet Med Sci. 2018 Jul 18;80(7):1153-1158. doi: 10.1292/jvms.17-0384. Epub 2018 May 24. PMID: 29798968; PMCID: PMC6068313. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29798968/

監修いただいたのは…

2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生

数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。

成城こばやし動物病院 獣医師 高柳 かれん先生

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