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【獣医師監修】猫が吐く原因は?病気の可能性や対処法について解説

【獣医師監修】猫が吐く原因は?病気の可能性や対処法について解説

猫の飼い主さんであれば、愛猫が吐いてしまう姿を一度は目にしたことがあるかもしれません。それほど、猫は習性的によく吐く動物といわれています。

しかし、中には放っておいては危険なケースも。
もしかしたらそこには、病気が隠れているかもしれないのです。

ここでは猫の吐く原因やケース別の対応方法など、猫の「吐く」について詳しくご紹介します。

目次

  1. 猫が吐く原因は?

  2. 「嘔吐」と「吐出」の違い

  3. 猫が吐く前触れ

  4. 猫が吐いた直後の対処

  5. 様子見していても大丈夫なケース

    • 勢いよく食べた後に吐く
    • 草を食べて吐く
    • 毛玉を吐く
    • 白い泡や黄色い液体を吐く
  6. こんなときはすぐに病院へ

    • 繰り返し吐く
    • 吐いたものがピンク色、もしくは赤茶色
    • 吐いたものに異物が混じっている
    • 吐いたものが便のニオイがする
    • 下痢を伴う
  7. こんなにある、原因となる病気

  8. まとめ

1.猫が吐く原因は?

猫が吐く原因はさまざまあります。
いったいどのような原因が考えられるのでしょうか。

原因1

毛玉が胃の中でたまっている

猫の舌にはブラシのような小さな突起がたくさんあり、毛づくろいの際に被毛を絡めとることができます。そのまま飲み込み、通常は便と一緒に排出されるため問題ありませんが、量が多すぎたり胃の中で大きく固まってしまうと、毛玉となって吐いてしまうことがあります。

原因2

食べ過ぎ、早食い

いつもよりごはんを食べ過ぎてしまったときや、勢いよくガツガツ食べてしまったときには、消化しきれずに吐いてしまうことがあります。

原因3

中毒性のものを摂取した

中毒性のものとは、洗剤や殺虫剤などの毒物や、傷んでいる餌や生ゴミなどを指します。飼い主さんが気が付かないうちにこういったものを口にして、吐いてしまうこともあります。

原因4

病的疾患

糖尿病や甲状腺機能亢進症、腎臓・肝臓疾患・消化器疾患・膵炎などの内臓疾患にかかっていると、嘔吐の症状がみられることがあります。

原因5

ストレス

生活環境の急激な変化など、ストレスがかかった時に吐いてしまうことがあります。

2.「嘔吐」と「吐出」の違い

「嘔吐」と「吐出」の違い

1つの「吐く」にも、「嘔吐」と「吐出」の2種類があるのをご存知ですか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。

「嘔吐(おうと)」とは

脳にある嘔吐中枢が何らかの原因で刺激され、脳からの信号によって胃や十二指腸の内容物が吐き出されることをいいます。吐き気を感じたのちに横隔膜が蠕動し、下向きに吐き出すのが特徴。吐き出されたものは、すでに消化が始まっている状態です。

「吐出」(としゅつ)とは

神経系や筋肉などの異常、または食道の腫瘍や異物などのトラブルで、食べたものが胃に到達する前に食道から吐き出されることをいいます。
前に飛ばすような吐き方が特徴で、吐き出されたものはまだ消化が進んでいないため、猫がもう一度食べ直すケースもあります。

3.猫が吐く前触れ

猫が吐く前触れ

猫が吐く前触れとして、このようなサインがあります。

  • 頭を下げる
  • よだれが出る
  • いつもより元気がない
  • 震えている
  • 部屋の隅などに隠れて出てこない
  • 口を開いて舌を出しながら、何かを吐き出そうとしている
  • 咳をしている

4.猫が吐いた直後の対処

吐いた直後は、水やフードを与えるのはNG。
上記のように心配のないケースもあるものの、胃や腸に何らかのトラブルが起きている可能性も考えられます。吐いた直後の食事によってさらに悪化することもあるので、しばらくは何も与えず、落ち着くまでは様子を見ましょう。

嘔吐が続いたり、ぐったりしている、元気がないなどの場合は、動物病院を受診してください。

5.様子見していても大丈夫なケース

猫が吐いてしまっても、このようなケースは少し様子を見てもOK。
ただし、回数が重なる、元気もないなどの場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

勢いよく食べた後に吐く

ガツガツと勢いよくフードを食べたり食べすぎてしまうと、食後に吐いてしまうことが。
それでも、吐いた後にいつもと様子が変わらず元気そうであれば、心配のいらないケースが多いです。

草を食べて吐く

猫は胸焼けがするときなどに、自ら草を食べて吐くことがあります。これは余分な胃酸を吐き出そうとする生理現象で、毒性を持つような草でなければ特に心配はないでしょう。

毛玉を吐く

前述にもありますが、日常的に毛づくろいをする猫は、飲み込んだ毛玉を吐くこともめずらしくありません。特に長毛種の猫は吐く回数や量が多くなるでしょう。

白い泡や黄色い液体を吐く

白い泡は胃酸、黄色い液体は胆汁で、空腹が原因である可能性があります。
しかし、何度も繰り返す場合や嘔吐後にも吐き気が残っているようであれば、動物病院へ連れて行きましょう。

6.こんなときはすぐに病院へ

以下のような吐き方が見られたら、様子見はNG。
早めの受診が必要です。

繰り返し吐く

何度も繰り返し吐いてしまう場合は、慢性腎臓病や膵炎などの内疾患にかかっている可能性があります。

吐いたものがピンク色、もしくは赤茶色

嘔吐物が薄いピンク色をしている場合は、口の中の出血が混ざっている可能性が。
歯周病や口腔内の腫瘍などが考えられます。また、肺を支える部分に血液成分が溜まり、肺の機能不全に陥る肺水腫の症状としても、薄いピンク色の嘔吐物が見られることがあります。
一方で赤茶色っぽい嘔吐物がみられた場合は、胃や十二指腸などで出血が起こっている可能性が。潰瘍や腫瘍など重大な病気が見つかるケースもあります。

吐いたものに異物が混じっている

おもちゃや布、ボタンなど、何かしらの異物を飲み込み、その刺激によって吐いてしまっているのでしょう。
また、まだ胃の中に異物が残っている可能性もあるため、吐き出したものの写真を撮っておくと、受診の際に役立つこともあります。

吐いたものが便のニオイがする

嘔吐物から便のニオイがする場合は、腸閉塞を起こしている可能性があります。
胃を通過して小腸へ進んでいった内容物が、異物などによって逆流しているかもしれません。

下痢を伴う

嘔吐とあわせて下痢の症状が見られる場合は、中毒性のものを摂取した可能性があります。ネギ類やチョコレート、またユリやシクラメンなどの植物を口にすると、猫は中毒を引き起こしてしまいます。
また、パルボウイルスという感染症にかかった場合も、嘔吐に激しい下痢を伴います。

7.こんなにある、原因となる病気

こんなにある、原因となる病気

感染性腸疾患

細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が感染することによって、嘔吐や下痢などの消化器症状が出ます。

炎症性腸疾患

腸粘膜が異常な免疫反応を起こすことにより、慢性的な嘔吐や下痢などを引き起こします。

膵炎

膵臓に炎症が起こる病気で、急性膵炎と慢性膵炎があります。
食欲不振や度重なる嘔吐、下痢などの症状がみられます。

腫瘍

腸にできる腺癌(せんがん)、リンパ腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、炎症性ポリープなどが挙げられます。

腸閉塞

腸が完全にふさがれてしまう、もしくは、異物や腫瘍などによって通過障害を起こす病気。本来排泄されるべき毒素が体内にたまり、嘔吐を引き起こすことがあります。

腎機能不全

急性腎臓病、慢性腎臓病などの腎不全によって、尿として排せつされるはずの毒素が体内にたまり、嘔吐の症状がでる場合があります。

肝機能不全

急性肝臓病、慢性肝臓病などの肝機能不全も、肝臓で代謝されるはずの毒素が体内にたまり、嘔吐することがあります。

食物アレルギー

特定の食べ物に対してアレルギー反応を起こす食物アレルギー。症状の一つとして嘔吐が挙げられます。

 

8.まとめ

吐くことはそれほどめずらしくない猫ですが、その原因はさまざま。
食べ過ぎや毛づくろいによる毛玉が原因となっている場合は、過度な心配はせずに様子を見てあげましょう。

しかし、その頻度が多い場合や、吐いたものの色・内容物によっては重大な病気を抱えていることも。また、嘔吐物による誤嚥性肺炎を起こすケースもあるため、嘔吐時のみならず嘔吐後の呼吸の様子なども含め、しっかりと観察をすることが大切です。

少しでも異変を感じたときは、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

監修いただいたのは…

2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生

数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。

成城こばやし動物病院 獣医師 高柳 かれん先生

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