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猫の関節炎~原因や症状・ケア方法を詳しくご紹介~

猫の関節炎~原因や症状・ケア方法を詳しくご紹介~

猫は関節炎を発症しやすく、特にシニアになるとその発症率は非常に高くなると言われています。日頃からできる予防法はもちろん、早期発見のために覚えておくべきサインなど、飼い主さんがしっかりとチェックしておくことが大切ですね。
今回はそんな、猫の関節炎について詳しくご紹介します。

1.猫の関節炎とは?

猫の関節炎とは?

猫の関節炎のほとんどは、関節やその周囲の組織が変形することによって起こる「変形性関節症」と呼ばれるものです。この変形性関節症は「一次性変形性関節症」と「二次性変形性関節症」に分類され、それぞれ発症の原因が異なります。

一次性変形性関節症

加齢や肥満などによって関節への負担が蓄積することで起こる関節炎。
品種に関わらず、どの猫でも発症の可能性はあるとされています。

二次性変形性関節症

他の病気が引き金となって起こる関節炎。品種による遺伝的な要素が多く、代表的なものでは、スコティッシュフォールドの「骨軟骨異形成症」やデボンレックスの「膝蓋骨脱臼」、シャムの「股関節異型性」が挙げられます。

2.こんな様子が見られたら関節炎かも?

愛猫のこんな様子、加齢のせいだけではない?それは関節炎のサインかもしれません。万一の際は少しでも早く異変に気が付けるように、日頃からしっかりと観察をしておきましょう。

  • 毛づくろいをしなくなった
  • キャットタワーや家具などにジャンプしなくなった
  • 階段の上り下りを嫌がる
  • 寝ている時間が多くなった
  • 排泄がスムーズにできなくなった
  • 身体を触られることを嫌がったり、攻撃的になった
  • 元気がない

3.関節炎と診断されたら?

関節炎と診断されたら?

関節炎の診断方法

日常生活に異変が見られないかを飼い主さんへ問診し、関節の触診やレントゲン検査を行います。関節炎を起こしている場合、触診をすると痛みから猫が嫌がったり、鳴いたりすることがあります。また、触診によって骨の変形が確認できることも。
レントゲンでは関節面の粗雑、骨の変形や骨瘤形成などがみられることがあります。

治療法

変形してしまった関節を修復することはできないため、“悪化を防ぐ”ことが一番にできる治療法となります。

まずは投薬によって痛みを軽減させ、経過観察をしながらサプリメントによって軟骨成分を補ったり、症状によっては適度な運動も効果的と言えるでしょう。ただし、痛みが残っている場合は無理は禁物です。

また、身体を支える関節にとって、その負担の度合いを大きく左右するのが体重です。変形や炎症によって機能が低下している関節にさらなる負担をかけないよう、しっかりと体重管理をすることも治療の一つとなります。

4.関節炎の予防法

関節炎の予防法

適切な体重管理

前述にもあるように、過体重は関節へ大きな負担をかけてしまいます。愛猫にとって理想的な体重が維持できるよう、日頃から体重管理を心がけましょう。

適度な運動

日頃から適度に運動をしておくことで関節の周りにある筋肉が発達し、しっかりと関節を支えることができるようになります。もちろん、運動は肥満予防にも欠かすことができません。

床材の工夫

フローリングの床は猫にとっては非常に滑りやすく、関節への負担の一因とも言えるでしょう。ペット用のマットやシートを敷いたり、滑り止めのコーティング材を塗るなど、少しでも滑りにくくなる工夫を心がけましょう。

爪切り

爪が伸びていることによって滑りやすくなり、関節への負担も大きくなることがあります。爪はこまめに切ることを心がけ、飼い主さんでは難しい場合は動物病院やトリミングサロンで切ってもらいましょう。

5.まとめ

猫にとっては痛みも伴う関節炎。シニアだから…と見逃してしまうことのないよう、異変をいち早くキャッチし、少しでもその苦痛を和らげてあげたいものですね。
日常的にできる予防を心がけながら、飼い主さんの観察による関節炎チェックも習慣にしていきましょう。

監修いただいたのは…

2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生

数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。

成城こばやし動物病院 獣医師 高柳 かれん先生

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