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【専門家監修】ラグドールの性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!

【専門家監修】ラグドールの性格や飼い方のコツ、寿命、なりやすい病気まで全部紹介!

アメリカ生まれのラグドール。実は、その歴史は1世紀にも満たず、比較的新しい猫種です。

抱っこされても拒まないところから、ついた猫種名は「rag doll(ぬいぐるみ、布製の人形)」。猫の中では大柄なタイプで、その穏やかな気質も相まって多くの愛好家を魅了しています。

1.ラグドールの歴史

原産国:アメリカ
ラグドールの歴史はまだ60年ほど足らず。
1960年代初頭のこと、アメリカのカリフォルニア州リバーサイドに在住していたブリーダーであるアン・ベイカー氏が作出した品種と言われています。

基礎となった猫については少々違う記述が見られ、判然としない部分もありますが、共通して名前が挙がるのは純白で長毛のアンゴラのような容姿をしたジョセフィーヌという名の猫です。このジョセフィーヌ、およびジョセフィーヌが産んだ猫ダディ・ウォーバックス(バーマンに似たシール・ミテッド)や、ブラッキー(黒)らが現在のラグドールの源流と言っていいようです。

この他、白のペルシャや、ヒマラヤン、バーミューズ、アメリカン・ショートヘア、ビルマなどの血が配されているのではないかという話もあります。

2.ラグドールの特徴

ラグドールの猫種名は、英語の「rag doll(ぬいぐるみ、布製の人形)」に由来します。原産国や原産地、ビジュアルなどからネーミングされた猫種が多い中で異色と言ってもいいでしょう。

骨太でがっしりとした体形はどこか愛らしさを感じさせますが、一方、青い眼はクールで、そのミスマッチがこれまたラグドールらしい魅力を醸し出しています。

ラグドールの容姿

ラグドールは他の猫種と比較として骨量があり、体重は4.5kg~9.1kg程度。メス猫はやや小柄で、大きくても6kg程度ですが、オス猫では大きいと10kg前後になる個体もいると言います。

被毛はセミロングで、毛色の出方(配色)には基本的に3つ、もしくは4つのパターン(カラーポイント/ミテッド/バイカラー/ヴァン)があります。

また、毛色にはシール、チョコレート、ブルー、レッド、クリーム、ライラックなどがあり、ポイントカラー(顔や耳、足、尻尾などに出る濃い色のこと)はソリッド(単色)やリンクス(縞模様)、トーティ(赤毛と黒毛が混じるもの)などになります。

ラグドールの毛色のパターン

パターン 概要
カラーポイント 体に白い部分がなく、顔・耳・尻尾・足先などの先端部分には濃い色が入り、他のボディは薄い色になる
ミテッド 足先が白く、顔や尻尾の先などに白が入ることがある
バイカラー 足先の白い部分がミテッドより多く、顔・胸・下腹などが白くなる
ヴァン 頭頂部と耳、尻尾のみに濃い色が入り、体のほとんどは白。ヴァンはバイカラーに含む考え方と、独立したパターンとする考え方がある

※カラーポイントからヴァンにいくほど白い部分が多くなります。

ラグドールの性格・気質

ラグドールは穏やかで人馴れしやすく、他の猫や動物に対してもおおむねフレンドリーに接することができると言われます。人と一緒にいることを好み、飼い主さんの後をついて歩くようなところがあり、「犬のような猫」と表現されることも。
気まぐれでそっけない猫らしい猫を望む人には合わないかもしれませんが、これこそがラグドールの魅力の一つです。

また、一般的に猫は高い場所を好み、“縦運動”をしますが、ラグドールの場合はどちらかと言うと床でごろごろしているほうを好む傾向にあるという話もあります。

抱っこされても嫌がらずに身を任せるようなところも人と暮らすにはプラス点と捉えられるのでしょう。初心者にも向く猫種と言われます。

3.ラグドールを迎える方法

ラグドールを迎える方法

ラグドールを迎えるには、主にペットショップ、ブリーダー、動物保護団体・動物愛護センターなどのルートがありますが、その前に知っておきたいこともあります。
それを理解した上で、入手先を決めましょう。

  1. 1.「動物の愛護及び管理に関する法律」により、販売者は対象となる動物を直接見せ、飼育方法などについて購入者と対面した上で文書を用いて説明しなければなりません。これを怠る販売者はNGと言わざるを得ません。

  2. 2.2022年6月1日より、販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。猫を購入後は、飼い主さんの連絡先などの情報を変更登録する必要があります。

詳しくはこちら⇒

環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「令和4年6月1日から開始するマイクロチップ登録制度に関する飼い主の方向けQ&A」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html

ラグドールの入手先

入手先1

ペットショップでラグドールを探す

ペットショップで販売される猫は、契約ブリーダー、自社(自家)繁殖の他、多くが生体市場経由で仕入れられた子猫です。
現在、動愛法の改正により、生後56日(8週齢)に満たない子犬子猫は販売できなくなっているので(特例として天然記念物指定を受けている日本犬の場合は生後49日)、子猫の生年月日は確認するようにしましょう。

子猫を選ぶ際には、できれば親猫を見ることができると理想的と言えます。

入手先2

ブリーダーからラグドールを購入する

ブリーダーは特定の猫種にこだわりをもって繁殖しており、その猫種についての知識も豊富です。
子猫の価格については、ブリーダー登録サイトは別として、ブリーダーのホームページ上では公開していないケースが多いため、直接問い合わせる必要があります。

予約をすれば見学も可。親猫や、子猫が育った環境を見られる点はプラスポイントです。

入手先3

ラグドールの里親になる

行き場のない猫はまだまだ多くおり、そうした猫を迎えるのも一つの選択肢です。この場合、子猫の他、成猫も多くいます。

入手先としては動物保護団体や各自治体の動物愛護センターなどがありますが、里親になるには一人暮らしや65歳以上の人は不可、その自治体在住者のみなどそれぞれ条件が設けられていることがあるのでよく確認してください。

ラグドールを迎えるときの費用相場は?

現在、子犬子猫の価格は以前に比べて大幅に高騰しています。したがって、決して安い買い物ではなく、ましてや一つの命を預かるわけですから、熟考の後、猫をお迎えください。

その結果、ラグドールを迎えると決めた場合、おおむね以下の初期費用がかかります(商品に関しては一般的なものから少々リッチなものものまで含みます)。

ラグドールを迎える場合の費用の目安

項目 費用の目安
ラグドールの子猫の価格 15万円~
混合ワクチン(Felv含む) 3,000円~1万円程度(※1)
猫用ベッド 1,000円~5,000円程度
サークル・ケージ 5,000円~1万5,000円程度
食器・水飲み・フード(ドライフード1袋)類 3,000円~8,000円程度
トイレ・トイレシート類 3,000円~7,000円程度
ブラシ・コーム・爪切り類 3,000円~6,000円程度
おもちゃ類 1,000円~2,000円程度
キャットタワー 5,000円~2万円程度
合計 約2万5,000円~7万円程度+
子猫の価格

※価格はあくまでも目安であり、販売者や子猫の状況、動物病院、商品などの条件によって変動します。

4.ラグドールの飼育のポイント

ラグドールの飼育のポイント

ラグドールは成猫として成熟するまでに2年~4年程度かかると言われます。
その間、生まれ落ちる時にはほとんど白い被毛に覆われたラグドールは、成長とともに徐々に被毛が“大人の色”へと変化していきます。それを楽しむかのように、おおらかに成長を見守りたいものです。

また、体格の良いラグドールは他の猫種と比べて運動量が少ない傾向にある上、食べ物に対する執着も強い傾向にあるとも言われるので、肥満にならないよう注意を。食事管理をするとともに、積極的におもちゃなどで遊ばせるなどして運動させるといいでしょう。

5.ラグドールのかかりやすい病気・ケガ

ラグドールは健康的な猫種ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、心臓疾患や尿石症、歯のトラブル、毛球症、熱中症、脱走による事故など。

歯周病は歯だけの問題ではなく、進行すると歯周病菌の毒素が血流に乗って全身に回り、心臓疾患や腎臓疾患など他の病気に悪影響を与えてしまうことがあるので軽く考えることはできません。可能な限り、日々のお手入れのついでに歯や口の中のチェックもするようにしましょう。

若齢~成猫

子猫~若い猫では、以下のような病気・ケガには気をつけましょう。

  • ・ 事故・ケガ

    特に若い猫では好奇心からちょっとした隙間から外に出てしまうこともあるので、脱走や事故防止のための安全対策を忘れずに。

  • ・ 毛球症

    毛づくろいの際に飲み込んでしまった毛が吐き出も排泄もできない場合、最悪、腸閉塞を起こし、手術が必要になることがある。

  • ・ 熱中症

    他の猫種に比べてラグドールは暑さに弱いとも言われるので、暑い時期には暑さ・湿気対策をして予防を。

成猫〜高齢猫

そして、成猫~高齢猫では、以下のような病気に注意が必要です。

  • ・ 尿石症

    成分により、いくつか種類がある結石の中で、猫ではシュウ酸カルシウム結晶とストルバイト結晶が多いと言われる。

  • ・ 肥大型心筋症

    心臓の左心室の伸筋が肥厚することで心不全を起こす心臓疾患。ラグドールでは遺伝的にこの病気を発症することがある。

  • ・ 腫瘍・癌

    高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。皮膚腫瘍の場合、猫では半数以上が悪性と言われる。

  • ・ 認知症

    食事やサプリメントで認知症予防を心がけるとともに、シニア期に入ったなら愛猫の行動にも注意を。

⇒【獣医師監修】猫の暑さ対策はどうすべき?熱中症の予防法やおすすめ対策グッズを紹介!

https://www.peppynet.com/library/archive/detail/904

⇒【獣医師監修】ネコに認知症はある?疑われる行動や飼い主の対応方法を解説

https://www.peppynet.com/library/archive/detail/905

6.ラグドールの平均的な寿命は?

ラグドールの平均的な寿命は?

一般社団法人ペットフード協会の「令和3年全国犬猫飼育実態調査」によれば、猫の平均寿命は15.66歳ですが(※2)、ラグドールの平均寿命は一般的に12~17歳程度と言われます。

中には猫として平均的な寿命という記述もあれば、他の猫種よりやや長生きという記述も見られます。どちらにしても、平均的には生きられる猫種ということでしょう。

7.まとめ

ラグドールは猫の中でも大型で、がっしりとした体格に反して穏やかな猫です。
初心者でも飼いやすいと言われることがありますが、それは決して簡単に飼えるという意味ではありません。

猫は個体によって20年前後生きることがあり、老齢になった時のことも見据えておく必要があるでしょう。一日でも健康寿命を延ばすために、健康管理を怠らず、どうぞ少しでも健やかなラグドールライフをお送りください。

(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)

※猫は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度など個体差があります。

【参照元】
(※1) 公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」 http://nichiju.lin.gr.jp/small/ryokin_pdf/h27.pdf
(※2) 一般社団法人ペットフード協会「令和3年全国犬猫飼育実態調査」https://petfood.or.jp/data/chart2021/index.html

監修いただいたのは…

東京農業大学 農学部動物科学科 動物行動学研究室 教授
内山 秀彦先生

麻布大学 動物応用科学専攻修了(博士)
ヒトと動物の関係学会 常任理事

主な専門は「ヒトと動物の関係学」。 特にアニマルセラピーによる癒やしのメカニズムや猫と人との関係について研究している。

内山 秀彦先生

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