【獣医師監修】犬にアイコンタクトを教えるメリットは?教え方のコツも紹介
愛犬と飼い主さんが目と目を合わせて見つめ合う「アイコンタクト」。
日頃から意識している飼い主さんや、子犬を迎え入れたらなるべく早くしつけたいと考えている方も多いことでしょう。
では、そもそもなぜアイコンタクトは身に付けておいた方が良いのでしょうか。
ここでは、アイコンタクトの必要性やメリット、トレーニング方法などをご紹介します。
愛犬と飼い主さんが目と目を合わせて見つめ合う「アイコンタクト」。
日頃から意識している飼い主さんや、子犬を迎え入れたらなるべく早くしつけたいと考えている方も多いことでしょう。
では、そもそもなぜアイコンタクトは身に付けておいた方が良いのでしょうか。
ここでは、アイコンタクトの必要性やメリット、トレーニング方法などをご紹介します。
目次
愛犬とのアイコンタクトとは、単に飼い主さんと目を合わせてコミュニケーションを楽しむだけが目的ではありません。
アイコンタクトをとることによって、飼い主さんへ意識を向け集中する、気持ちを落ち着かせる、といったことが可能になり、これは愛犬が人間社会で生きていくうえでは欠かせない「しつけ」の基本にもつながります。
アイコンタクトが取れるということは、愛犬と飼い主さんとの間で、しっかりと信頼関係が作られている証拠。
ともに幸せに暮らすパートナーとして、アイコンタクトを教えることはとても重要です。
メリット1
「待て」や「おすわり」など、犬に教えるべきしつけはさまざまありますが、その基本はアイコンタクトです。
前述のとおり、アイコンタクトができるということは、飼い主さんとの信頼関係がしっかりと結ばれている証拠。飼い主さんへ意識が向き、コマンドに従う態勢がとれているということです。その信頼関係と集中力によって、しつけトレーニングがスムーズなものになります。
⇒参考記事:【ドッグトレーナー監修】子犬のしつけポイントを初心者にも分かりやすく解説!「おすわり」「待て」が自在にできる愛犬に!
https://www.peppynet.com/library/archive/detail/900
メリット2
例えば、犬が散歩中に興奮して、他の犬に迷惑になるような行動をとってしまったり、遊びのつもりで部屋を荒らしてしまった、といった経験はないでしょうか。
そんな問題行動を起こしてしまったときにアイコンタクトをとると、犬は飼い主さんの「やってはいけないよ」という気持ちを察し、その勢いをストップさせることができます。
メリット3
一般に「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシン。
人間では赤ちゃんの授乳時に母親から分泌され、母子の絆を深めることで知られているホルモンですが、犬と飼い主のアイコンタクトによっても分泌が促進されることが、ある研究によって判明しました。
犬と飼い主双方が、愛されている、そして信頼されている充足感を感じ、さらに絆が深まると言われています。
アイコンタクトのトレーニングをする前に重要なのが、愛犬に名前をしっかりと理解させること。
「名前を呼ばれる→反応する」ができて、はじめて「目が合う(アイコンタクト)」が成立するからです。
アイコンタクトはしつけの基本となるため、子犬を迎え入れてから早い段階でトレーニングに挑戦する飼い主さんも多いと思いますが、まずはしっかりと名前を覚えてもらうことを心がけましょう。
そのためには「〇〇、おはよう」などのように、日常の声掛けの際に必ず名前を入れてコミュニケーションをとることが大切です。
では実際にアイコンタクトの練習をしましょう。
しつけトレーニングにはご褒美が必要ですが、ここでは愛犬の好きなおやつを利用します。
ステップ1
ステップ2
ステップ3
ステップ4
ステップ5
5つのステップを繰り返し、おやつを与えなくてもしっかりとアイコンタクトが取れるようになれば、アイコンタクトはマスターです!
犬のしつけトレーニングには集中することが大切です。
周りに遊んでいる子供がいたり、大きな音がする、おもちゃが散らかっているなどの環境では集中ができないため、はじめての練習の時は静かな場を作って、そこでトレーニングをしましょう。
自宅でアイコンタクトがしっかりとできるようになったら、公園や外出先など、自宅以外の場所でも練習を重ねておくのがベストです。
ついつい飼い主さんも真剣になりがちなしつけですが、硬い表情で名前を呼ばれても、楽しく視線を合わせようという気持ちにはなかなかなれません。
特に、犬自身が名前を覚えたばかりの時期では「名前を呼ばれたらいいことがある」と認識させることが大切です。
名前を呼ぶときは、飼い主さんも優しい表情を心がけ、笑顔で呼ぶようにしましょう。
犬それぞれの性格や人との関係性によって、良くないアイコンタクトになるケースがあります。
トレーニング中や日常の生活の中でも、犬の顔を覗き込んで目を合わせようとしたり、無理に犬の目線に合わせにいくことはNG。
本来、犬の世界で“目を合わせる”という行為は、相手の犬に敵意を示す意味となることが多いもの。人間に対しても同じ心理が働くため、無理に目を合わせることは緊張状態を生み逆効果になります。
目と目が合うのは、犬と飼い主さんとの信頼関係が大前提です。なかなかアイコンタクトが上手にできないときは、まずは日頃のコミュニケーションを見直し、信頼関係の構築から心がけてみましょう。
警戒心が強かったり、アイコンタクトのしつけが身に付いていない犬にとっては、アイコンタクトは“苦手なもの”です。
愛犬以外の犬ではそういったケースも大いにあり得るので、はじめて触れ合う犬の目を突然見つめたり、じっと凝視するようなことは控えましょう。
犬と飼い主さんとのアイコンタクトは、そこに確かな信頼関係が構築されているという証。
その信頼関係が基盤となって犬が飼い主さんに向けて意識を向け、さまざまなコマンドに従う態勢を作ることにもつながります。
また、犬、飼い主さん双方の幸せホルモンが上昇するとも言われているアイコンタクト。
目と目を合わせることによって絆が深まり、お互いがより愛情に満ちたパートナーとなっている喜びを実感しながら、身に付けていくと良いでしょう。
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監修いただいたのは…
獣医師・博士(獣医学)
増田 宏司先生
<職歴>
・2004~2006東京大学大学院 ポストドクトラルフェロー(学術研究支援員)
・2006~東京農業大学農学部 講師
・2012~東京農業大学農学部 准教授
・2015~東京農業大学農学部 教授
<学歴>
東京大学大学院 農学生命科学研究科
獣医学博士課程修了(2004)
<専門分野>
動物行動学、行動治療学
<著書>
『犬の幸せ♡私の幸せ~ワンコ先生が教える動物行動学~』恒文社(2009)
『このくらいはわかって!ワンコの言い分』さくら舎(2012)
『バイオセラピー学入門 人と生き物の新しい関係をつくる福祉農学』講談社(2012)
『犬語ブック』日本文芸社(2013)
『東日本大震災からの真の農業復興への挑戦』ぎょうせい(2014) など