【獣医師監修】犬がごはんを食べない原因は?病院に連れていくべき症状や食事を促す方法を紹介
いつもうれしそうにごはんを食べる愛犬が、どうも最近食欲不振?そんな様子を見ると心配になってしまいますよね。
犬がごはんを食べなくなってしまう原因はさまざまあり、注意深くケアした方がよいケースもあれば、少し様子を見ても大丈夫なケースも。考えられる原因からその対処法までを見ていきましょう。
いつもうれしそうにごはんを食べる愛犬が、どうも最近食欲不振?そんな様子を見ると心配になってしまいますよね。
犬がごはんを食べなくなってしまう原因はさまざまあり、注意深くケアした方がよいケースもあれば、少し様子を見ても大丈夫なケースも。考えられる原因からその対処法までを見ていきましょう。
目次
病気にかかっている
ストレスを抱えている
老化
その他(フードが適していない・わがまま)
病気が原因の場合の特徴 ~こんなところもチェック!~
対処方法
ストレスが原因の場合の特徴 ~こんなところもチェック!~
対処方法
老化が原因の場合の特徴 ~こんなところもチェック!~
対処方法
フードが適していない・わがままなどが原因の場合の特徴 ~こんなところもチェック!~
対処方法
犬がごはんを食べない原因として、まずは【病気、ストレス、老化】の3つが考えられるでしょう。その他にもフードとの相性や、その時の気分にも影響することがあります。まずは何が引き金になっているのか、思い当たるものがないかを見てみましょう。
犬がごはんを食べない原因として最も心配なのが病気です。病気による食欲不振は、飼い主にとって非常にわかりやすい異変のサイン。あわてて動物病院へ駆け込む必要はありませんが、可能性の一つとして決して忘れてはいけないものです。
犬は引っ越しなどの大きな環境の変化や、飼い主とのコミュニケーション不足などでストレスを感じることがあります。その他、飼い主にとってはささいなことでも、愛犬は大きな影響を受けているかもしれません。何か考えられるものがないか、丁寧に振り返ってみましょう。
年齢を重ねた犬は、筋力や消化機能の低下によってそれまでよりも食事の量が少しずつ減っていきます。体力や体型に合わせてフードを食べやすく置いてあげるなど、こまめなケアが必要です。
例えば体の小さな子犬にとっては、フードの粒が大きすぎたり、硬すぎて噛めなかったりすることも。また、場合によっては単純に気分が向かない、選り好みをしている、というようにわがままを言っているケースもあります。
病気が原因でごはんを食べなくなってしまった場合は、元気はあるか、下痢はしていないかなど、食事面以外にも変わった様子がないかを確認することが大切です。また、すでに闘病中の犬もその病状が悪化している可能性があるため、その心配がある場合は主治医の先生に相談するのが良いでしょう。
病気が原因?①
ごはんだけでなく水もまったく飲まなくなってしまった場合は要注意。例えば基礎疾患などの大きな病気が隠れている時や、ヘルニアなどの強い痛みに耐えているなど重篤なケースも考えられます。
病気が原因?②
ごはんを食べていないうえに嘔吐をする場合、消化器官に異常があると考えられます。例えば胃や小腸、膵臓の炎症や腫瘍などの病気が疑われるでしょう。
他にも肝不全や腎不全など代謝機能を持つ臓器の病気や、誤飲による異物が体内にある可能性もあります。
病気が原因?③
普段と比べて明らかに元気がない場合は病気の可能性が。呼びかけに応じない、部屋の隅でじっとしている、ぐったりしているなどが見られたら、何らかの病気が疑われます。
病気が原因?④
下痢をする場合は腸に異常がある可能性があります。食べていない状態で下痢をすると腸に大きな負担もかかるため、悪化しないよう早めのケアが大切です。
これらの特徴がみられる場合は、できるだけ早くかかりつけの獣医師に診てもらいましょう。ごはんを食べなくなった時期とあわせて、このような症状がはじまった時期や、下痢や嘔吐の回数などを書き留めておき獣医師に共有するとなおよいです。また、決して無理に食べさせてはいけません。さらなる嘔吐や下痢の原因にもなりかねず危険ですし、万一異物が胃の中に入っていた場合など、何も口にしてはいけないケースもあります。つい心配な気持ちから愛犬の好きなおやつなどで気を引いてしまいがちですが、自己判断はせずに動物病院へ連れていきましょう。
犬は急激な環境の変化や、飼い主とのコミュニケーション不足によってストレスを抱え、ごはんを食べなくなってしまうことがあります。何か思い当たることはないか、また、他にも以下のような異変がないかを確認してみましょう。
ストレスが原因?①
大きなストレスを抱えていると食欲だけではなく気力も低下し、いつもより元気がなかったり、表情も乏しく寝てばかりいるような状態になることがあります。
ストレスが原因?②
必要以上に威嚇をする、手足を過度に舐める、異物を食べるなどの異常行動は見られませんか?これまででは考えられないような行動は、ストレスを抱えているサインかもしれません。
ストレスが原因?③
消化器官などの身体的な問題がない場合も、ストレスによって下痢や嘔吐の症状が出ることがあります。
まずはストレスの要因となるような出来事がなかったかを振り返りながら、できるだけコミュニケーションを多くとってあげましょう。スキンシップを増やしたり、留守番の時間を短くするなどの工夫をしてみてください。また、食欲がない中、無理にごはんを食べさせるのも余計なストレスになります。
まずはストレスを軽減させながら、食事量が戻るかを見守ってあげましょう。数日間続く場合はストレスが原因でない可能性もありますので、動物病院での診察をおすすめします。
シニア犬の場合、筋力や消化機能の低下によって食事量が減っていくことはめずらしくありません。ただし、シニア犬だからこそ病気の可能性もゼロないことを覚えておきましょう。療養中の場合は悪化していることも考えられますので、他にも心配な症状があれば動物病院へ連れていくのがベストです。
老化が原因?①
食欲の低下が老化による場合は、ある日突然食べなくなるというよりも、徐々に食事量が減っていく場合がほとんどです。運動量の減少とともに必要とする摂取カロリーも少なくなるため、年齢を重ねるごとに食が細くなるのは自然なこと。他に変わった様子がなければ、過度に心配する必要はないでしょう。
老化が原因?②
年齢とともに歯や歯茎も少しずつ弱くなっていくため、若い時に口にしていた硬いフードが食べづらくなってしまうことがあります。シニア犬の場合、定期的に口腔内のトラブルがないかをチェックしてあげるとよいでしょう。
無理に食事量を増やそうとはせず、少量でも必要な栄養を摂取できるよう食事の質を高めることを意識しましょう。また、筋力が衰えたシニア犬でも食べやすいようにお皿の置く位置を変えてみたり、フードに水分を含ませ柔らかくしてみるなどの工夫も効果的です。まずは自宅で様子を見ながら、それまでの食事の時間にはあまりこだわらず、食べたいときに食べられる分だけ口にできるよう寄り添ってあげましょう。
ドッグフードにはさまざまな大きさや形状のバリエーションがありますが、それぞれの年齢や好みの食べ方にフィットしないことが原因で食べなくなってしまうことも。また、単なるわがままで食べないこともあるので、そこはしっかりと見極めながら、甘やかしにならないよう注意が必要です。
フードが原因?
ようやく食べてくれたとしても、どうも食べづらそうにしていたり、軟便が続いたりはしていませんか?フードが適していないと誤嚥や消化不良を起こしやすいため、食事中や食後の様子で確認をしてみましょう。
わがままが原因?
おやつや目新しいものだったら喜んで食べる、お散歩にはいつもどおり行くなどの場合は、単なるわがままの可能性も。食べずに待っていれば、いつもと違うごはんに変えてくれると考えているかもしれません。
フードが適していないと考えられるようであれば、例えば消化能力の低い子犬やシニア犬は小粒のものを。丸のみするようにガツガツ食べる犬には穴の開いた形状のものをと、愛犬の年齢や食べ方によって適したフードを見直してみましょう。
また、わがままが原因のようであれば30分程でフードを下げ、次のごはんの時間まで何も与えないようにしましょう。求められるがままにおやつをあげたり、トッピングでおいしくアレンジをし続けるのはよくありませんが、わがままだからといって何日も放っておくのも肝臓に負担がかかってしまうため心配です。例えわがままが原因のように思えても、数日間食べないようであれば、動物病院で食事指導をしてもらいましょう。
ごはんを食べない原因がどのようなものだとしても、絶対に無理に食べさせるようなことはしないことが共通のポイントです。また、ダラダラ食べやフード遊びを防ぐためにも、食べないごはんは長時間放置しないようにしましょう。
フードを温めることによって香りが立ち食事が進むこともありますが、病気の可能性がある場合はまずは動物病院へ。わがままが原因の場合は、なぜわがままを言うようになったのかも考えてみてください。日頃から飼い主の食事を分け与えたり、おやつのおかわりに簡単に応えている場合は、そんな習慣がわがままを引き起こしている可能性も。
日常の食生活を見直すことによって、こういった食べムラもなくなることがあります。
私たち人間も、その時々のコンディションによって食欲は変わっていくもの。犬も同じように、体調や気分によってごはんを食べられないことがあります。決して叱ったり無理に食べさせるようなことはせず、まずは食欲の低下以外に変わった様子はないか?を見てあげましょう。
ごはんを食べない原因をしっかりと理解してあげること、そしてそれにふさわしいケアをしてあげることが大切です。
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監修いただいたのは…
2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生
数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。