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犬の去勢はいつすべき?メリットやデメリット、費用相場について獣医師が解説!

犬の去勢手術と聞けば、「小さな体にメスを入れるなんて」と抵抗を感じる飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
犬を飼ったら1度は考えておきたい、男の子の去勢手術と女の子の不妊手術。これらの手術には病気を防ぐ目的もあるのです。

今回は男の子の去勢手術に特化して、そのメリットやリスクについてご紹介します。

目次

1.犬の去勢とは

犬の去勢手術とは、精巣を摘出する外科手術です。
全身麻酔をかけてから精巣付近の皮膚を切開し、精巣を取り出す方法が一般的。
お腹を切開しないので、女の子の不妊手術と比べると体への負担は少な目です。

10日程で抜糸しますが、抜糸が必要ない手術方法もありますので、手術方法についてはかかりつけの獣医師とご相談ください。

2.犬の去勢によるメリットや効果

去勢手術は全身麻酔をするのですから、飼い主さんが不安になるのも当然です。
しかし、この手術は犬にも飼い主さんにもいくつかのメリットがあるのです。

  • メリット1.病気の予防
  • メリット2.マーキングの改善
  • メリット3.ストレス軽減
  • メリット4.望まない妊娠を防止

メリット1.病気の予防

精巣を取るので、精巣腫瘍や会陰ヘルニアといった病気を予防できます。前立腺肥大などの前立腺の病気、肛門周囲腺腫などの腫瘍の発生率も低下します。

メリット1.病気の予防

メリット2.マーキングの改善

男性ホルモンの分泌が抑えられるため、部屋のあちこちにオシッコをかけるマーキング行動を改善できます。
ただし、マーキングが習慣化していると改善しない場合があります。

メリット2.マーキングの改善

メリット3.ストレス軽減

成熟すると攻撃性や交尾衝動が強くなり、愛犬にとってストレスの原因になってしまいます。去勢手術をするとこうしたストレスを軽減できます。

メリット3.ストレス軽減

メリット4.望まない妊娠を防止

発情中の女の子を求めて脱走したり、ドッグランで交尾行動をしてしまったりという心配がなくなります。
女の子との多頭飼いをしても望まない妊娠がないので安心です。

3.犬の去勢によるデメリット

去勢のデメリットは、太りやすくなることです。
代謝エネルギー量が減るため、去勢後用のフードでカロリーコントロールをしてあげましょう。

ホルモンの分泌バランスが乱れるため毛質や毛色が変わる子、男性ホルモンの減少から臆病になる子、引っ込み思案になる子もいます。
ドッグトレーニングで改善できるケースもありますので、かかりつけの動物病院にご相談のうえ、対処方法を検討してください。

4.犬の去勢は何歳からできる?

犬の去勢は何歳からできる?

体が成長し、性成熟が始まる生後5か月から7か月頃に去勢手術をするのが一般的です。
生後2か月でも去勢手術はできますが、全身麻酔は体に負担をかけるもの。
体の成長を待ってから手術をしても遅くはありません。
幼齢期に手術をすると肥満傾向を強めるという研究結果もありますので、かかりつけの獣医師とご相談ください。

手術のタイミングは、乳歯から永久歯に生え変わる時期が一つの目安になるでしょう。小型犬は、乳歯と永久歯が二重に生えてしまうことがあり、抜歯で処置しなければなりません。また、短頭種はスムーズに呼吸できるよう鼻腔狭窄や軟口蓋過長症の処置をすることも。
去勢手術と合わせて、これらの処置を行うケースがあります。

5.犬の去勢における手術にリスクはある?

全身麻酔によるリスクや傷口の炎症が懸念されます。
万が一、麻酔薬に対して過敏反応が見られた場合、死に至る可能性はゼロではありません。こうしたリスクを避けるため、麻酔をかける前に獣医師による触診、検温、血液検査などを行います。

また、短頭種はもともと気道が狭いため、全身麻酔をかけると気道閉塞を起こす可能性があります。去勢手術と合わせて鼻腔狭窄や軟口蓋過長症の処置をすることもありますが、手術後は細心の注意を払って観察する必要があるでしょう。

犬の去勢における手術の流れ

去勢手術は、動物病院に行ってすぐにできるものではありません。
事前に診察を受けたうえで手術日を決めます。

手術前

手術日までは、愛犬の体調に変化がないか観察しておきましょう。発熱、嘔吐、食欲不振が見られた場合は延期を相談しまししょう。
また、手術後10日程はシャンプーやトリミングができませんので、手術日の数日前までに済ませておきましょう。
手術日前日のシャンプー・トリミングは避けてください。

当日

手術当日は、朝から絶食・絶水をさせて全身麻酔時の嘔吐や誤嚥を防ぎます。
動物病院では術前検査を行って「全身麻酔や手術ができる状態かどうか」をチェック。問題がなければ手術に入ります。
手術自体は短時間で終わりますが、半日程様子を見るケースがほとんど。日帰りか入院かは動物病院にご確認ください。

退院後

退院後は、傷口をなめないようにエリザベスカラーや術後用の洋服を着用させて安静に。約10日後の抜糸までは過度な運動は避けましょう。

6.犬の去勢手術の費用相場は?

動物病院によって異なりますが、入院なしで15,000円から30,000円程度、1泊入院で30,000円から50,000円を予定しておくと良いでしょう。

麻酔や薬剤の量が多い大型犬、手術リスクを回避するため検査や薬剤が増えるシニア犬、持病を持っている犬は、高額になる可能性があるのでご注意ください。

基本的にペット保険は適用外ですが、適切な時期に去勢手術を受けると病気のリスクが減少するため保険料が割引されるケースがあります。さらに、去勢手術や避妊手術に対して助成金や補助金を設けている市区町村がありますので、愛犬を登録している自治体にご確認ください。

7.まとめ

生後3か月程の子犬は愛くるしい姿を見せてくれます。
しかし、生後6か月頃になると男の子は一変。マーキングや交尾衝動、他の犬に対する攻撃性が目立つようになる子もいます。

去勢手術を行うと、こうした行動をコントロールできるほか、犬のストレスも軽減できます。ドッグトレーニングで対処する方法もありますが、去勢手術は将来起こりうる病気のリスクを軽減できます。

愛犬の性格、健康状態、飼育環境を含めて、じっくりとご検討ください。

監修いただいたのは…

桃坂動物クリニック 院長
獣医師 浅井 巧馬先生

より良い診療を行うためには、飼い主様と獣医師・病院スタッフの信頼関係が重要だと考えている浅井先生。信頼関係を築くために、飼い主様とのコミュニケーションを大切にし、気軽に何でも相談できる動物病院をめざしている。

桃坂動物クリニック 獣医師 浅井 巧馬先生

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