【獣医師監修】家の中でも油断大敵!室内での犬の熱中症と予防策をご紹介
暑い時期の散歩は早朝か夜に、涼しい日でもできるだけ日陰を選んで歩く…と、愛犬の“外出時”の熱中症対策は万全な飼い主さんも多いでしょう。でもその熱中症、実は“室内”でも起こるものなんです。
留守番や夜中の就寝時など、飼い主さんの目の届かない時間が発生する室内では、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
室内での熱中症の危険性とその対策、万一の際の応急処置をご紹介します。
暑い時期の散歩は早朝か夜に、涼しい日でもできるだけ日陰を選んで歩く…と、愛犬の“外出時”の熱中症対策は万全な飼い主さんも多いでしょう。でもその熱中症、実は“室内”でも起こるものなんです。
留守番や夜中の就寝時など、飼い主さんの目の届かない時間が発生する室内では、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
室内での熱中症の危険性とその対策、万一の際の応急処置をご紹介します。
目次
犬が熱中症になりやすい理由
特に注意が必要な犬は?
熱中症とは、高温の環境下で体温を調節する機能が働かなくなり、体温の上昇や脱水、血圧の低下などが起こる疾患です。
重度になるとフラつきや嘔吐のみならず、さまざまな臓器に障害が起こることもあり、処置が遅れると命にも危険が及ぶ、とても恐ろしいものです。
熱中症は夏場だけのもの、と思っていたらそれは大きな間違い。気温に加え湿度も上昇する5~6月には、まだ愛犬の体が暑さに慣れていないため、熱中症になりやすいと言われています.
また、被毛で覆われてる犬と人間とでは、暑さの感じ方は大きく違うもの。飼い主さんがまだそれほど暑さを感じない時期でも、犬にとってはすでに“暑い季節”に入っている可能性があります。本格的な夏を迎える前から、しっかりと熱中症対策をしていきましょう。
人間は皮膚に汗腺があるため、全身の発汗によって体温調節ができますが、犬には肉球にしか汗腺がありません。主な体温調節は「ハァハァ」と口で呼吸をする「パンディング」で行いますが、高温下ではこのパンディングだけでは発汗が追いつかず、熱中症にかかりやすいのです。
また、たくさんの毛に覆われている犬はその被毛によって熱がこもりやすく、体温が上昇しやすい動物です。それは私たち人間が、夏場に毛皮のコートを着ているようなもの。この被毛によっても、熱中症にかかるリスクは高まります。
パグやフレンチ・ブルドッグなどのように、ぺチャッとした鼻の形をしている短頭種の犬は、鼻腔の中が狭いため効率の良いパンディングができません。そのため、熱中症にかかりやすいと言われています。
黒色は日光の熱を吸収しやすいため、毛の色が黒い犬は注意が必要です。
例えば、腎臓病に罹患しているために脱水を起こしやすかったり、心臓に疾患があるためスムーズな呼吸ができない犬は、熱中症発症のリスクが高くなります。
また肥満状態にある犬も、脂肪によって軌道が圧迫されスムーズなパンディングがしづらいため、注意が必要です。
年を重ねるごとに体温を調節する力は衰えてしまいます。
また、老犬になると体を動かすことも減るため、自ら暑さをしのいだり、積極的に水分を補給することができなくなるので要注意です。
もしも愛犬が熱中症になってしまったら、どのような症状があらわれるのでしょうか。
いち早く異変に気が付けるよう、しっかりとそのサインをチェックしておきましょう。
たとえ軽度でも、上記のような症状が見られるときはすぐに動物病院へ相談をしましょう。
また、早めの応急処置も大切です。まずは飼い主さんが愛犬の体を上手に冷やしてあげてください。受診が必要な場合も、体を冷やしながら動物病院へ連れて行くのがベストです。
保冷剤や氷を入れた袋をタオルに包んで、首や脇、脚の付け根部分を冷やしてください。このような太い血管の通っている所は、循環する血液の温度も下げるため、体温を下げるのに効果的です。
常温の水を犬の体に直接かけ、そこに風を送ることによって体温を下げることができます。その際、冷たい水をかけると体表の末梢血管が収縮を起こし、効率良く体を冷やすことができなくなってしまいます。必ず常温の水をかけるようにしましょう。
「熱中症」と聞くと、散歩時の強い日差しによるものや、外で運動をした後に起こるものという印象があるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
犬の熱中症は、高温多湿の環境と水分不足が引き起こすもの。つまりこの悪条件が揃ってしまえば、家の中でも十分に発症し得るものなのです。
リスク1
一般的に、犬が快適に過ごせる室温は25~26℃とされていて、これは人間にとっての適温と比べると低い温度です。つまり、飼い主さんは快適にで過ごしているつもりでも、犬にとっては暑さを感じている可能性が。
たとえエアコンなどを使っていたとしても、この感じ方の違いによって犬が熱中症になってしまうことがあります。
リスク2
外の気温がそれほど高くない日でも、窓から差し込む強い日差しによって室内の温度が高くなることは少なくありません。
また、窓辺でのひなたぼっこがお気に入り…なんていう犬も多いのではないでしょうか。直射日光を浴びることによって気づかぬうちに体温が上昇し、熱中症を引き起こすケースがあります。
リスク3
どんなに涼しい室内でも、犬の体には十分な水分が必要です。
そのため、常にたっぷりのきれいな水が飲める環境になければ、熱中症のリスクは高くなってしまいます。
室内でも油断はできない熱中症。快適な夏を過ごすために、飼い主さんはどんな対策をしておくべきでしょうか。
犬のための熱中症対策をチェックしておきましょう。
気温や湿度が高いときは、エアコンを有効活用しましょう。
前述のとおり、犬と人間とでは快適と感じる室温は違うもの。25~26℃くらいの室温をベースに、こまめに愛犬の様子を見ながら調整していきましょう。
もちろん、留守番時や就寝時も、必要に応じてエアコンはつけたままに。
また、エアコンの効率アップのために、遮光カーテン(シート)やすだれ、扇風機などの併用もおすすめです。
気が付いたら愛犬用の水が空になっていたり、汚れで濁ってしまっているようなことはありませんか。いつでもきれいな水がたっぷりと飲めるよう、愛犬の飲みやすい器、場所を選んで、一日に数回取り替えてあげるよう心がけましょう。
室内の暑さ対策として、犬用のクールマットは手軽に利用ができ、かつしっかりと体温の上昇を防いでくれる便利なアイテムです。
たくさんの種類があるクールマット。どんなものを選んだら良いのかわからない…そんなときは、こんなポイントで選んでみるのがおすすめです。
まずは機能面が確かなものでないといけません。手間なく十分に体を冷やしてくれるものを選びましょう。
愛犬の寝具は常にきれいな状態にしてあげたいもの。ノミやダニの対策のためにも、洗濯が可能なものが便利です。
軽量、かつ折りたためるようなマットは、外出時や防災グッズとしても利用できるためとても便利です。
クールマットの種類はさまざまあり、最近ではジェルタイプやアルミプレートタイプなど、豊富な種類から選ぶことができます。
愛犬にピッタリなものを選んであげるのがベストですが、ポイントは愛犬が違和感なく使えるかどうか。日頃からあまりなじみのない素材は喜んで使ってもらえないこともあるので、特にはじめてのクールマットを選ぶときには、普段から愛犬が使っている寝具のような、柔らかいソフトタイプの生地のマットがおすすめです。
しっかりとクールダウン。衛生的で持ち運びもOK!そんなクールマットでおすすめなのが、ペピイオリジナルの「ソフトクールマット」です。
「碧玉粉(へきぎょくこ)」といわれる鉱石が練りこまれているこのマットは、やわらかいソフトタイプの生地でありながら、冷たい石に触れているようなひんやり感で体温の上昇をしっかりブロック。
取り外し可能な枕も付いているので、まるでいつものお布団のようにくつろぐことができます。
⇒ペピイオリジナル「ソフトクールマット・枕付き」
https://www.peppynet.com/shop/item/id/280252
犬は被毛によって熱がこもりやすく、発汗による体温調節もしづらいため、熱中症になりやすい動物です。また、熱中症は室内でも決して油断はできません。留守番時や夜中の就寝時はもちろん、飼い主さんと一緒に過ごしているときでも、室温や水分補給には十分に注意を払いましょう。
予防策にはエアコンやクールマットなどの有効的な活用を。
時として命の危険にも及ぶ熱中症から愛犬を守るべく、室内でも万全な熱中症対策をおすすめします。
犬注目記事
背骨の骨同士の間にある椎間板が変性・変形することで神経症状を引き起こす「椎間板ヘルニア」を知る
膝の骨がずれて跛行する関節疾患「膝蓋骨脱臼」を知る
脳神経細胞の一時的障害によって発作が起こる「てんかん」を知る
毒素が全身に回る血管奇形「門脈体循環シャント(PSS)」を知る
猫注目記事
「ウンチ」は“臭い”“汚い”だけじゃない、猫の健康を知るバロメーターなのだ!
シニア猫だからこそ、元気でいて欲しい 健康寿命を延ばすために気をつけたいポイント6選
シニア猫だからこそ、元気でいて欲しい健康寿命を延ばすために気をつけたいポイント:⑥老化のサイン編
シニア猫だからこそ、元気でいて欲しい 健康寿命を延ばすために気をつけたいポイント:⑤病気編
監修いただいたのは…
2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生
数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。