【獣医師監修】ネコの寒さ対策や注意点、おすすめアイテムを紹介
「猫はこたつで丸くなる」という童謡の歌詞にもある通り、冬の時期、部屋の中が寒い状態がつづいたり、乾燥しすぎたりすると猫も体調を崩してしまいます。
本記事では愛猫が冬でも体調を崩すことなく、快適に過ごすための寒さ対策や注意点などをご紹介します。
「猫はこたつで丸くなる」という童謡の歌詞にもある通り、冬の時期、部屋の中が寒い状態がつづいたり、乾燥しすぎたりすると猫も体調を崩してしまいます。
本記事では愛猫が冬でも体調を崩すことなく、快適に過ごすための寒さ対策や注意点などをご紹介します。
目次
老猫の場合
子猫の場合
おすすめアイテム
ダブルコートで長毛種の猫(ペルシャ等)は比較的寒さに強いといわれますが、一般的に猫は寒がりです。これは猫の祖先が砂漠地帯で生活していたからだといわれています。
とくにシャムやベンガルといった原種に近い、もしくは自然発生とされる猫や、スフィンクスなどの毛が短い猫は特に寒さへの耐性が低いといわれているので飼い主さんは気を配ってあげる必要があります。
また、筋肉量や活動量の多い若い猫と違い、筋肉量の少ない子猫、老猫、運動嫌いであまり動かない猫は特に寒さに敏感です。
寒さのために食欲が低下したり、お腹を壊してしまったりする子もいるので、飼い主さんが外出中にも猫が過ごしやすい温度を保てるように工夫するなど「寒さ対策」をしてあげましょう。
では、猫が過ごしやすい適切な温度とは何度くらいなのでしょうか?
一般的には18~26度ほどが良いといわれており、人間が快適と感じる温度とほとんど変わりません。
飼い主さんが家にいるときと外出時で大きな温度差が生じると猫も体調を崩してしまうので、出かける際もエアコンをつけっぱなしにしておくのがおすすめです。
もしくは、特に冷え込む夕方以降にタイマーをセットするなど、極力温度変化が少なくなるように工夫しましょう。
愛猫がシニア期に入った場合は、そこに2~3度プラスしてあげるとちょうど良いとされています。
生まれたばかりの子猫の場合は28~30度の室温を維持する必要があるので、子猫のいるスペースを湯たんぽなどで保温し、パネルやダンボールで冷気を防ぐなどの工夫をしましょう。
寒さへの耐性は個体差があるので、基本知識をつけた上で、愛猫の様子を観察して適宜温度調整をしてあげてください。
猫が寒がっているときによく見られるのが、身体を丸く丸める仕草。身体を丸めて、熱の放出を防ごうとする行動です。その他、怒ったり驚いていたりするわけでもないのに毛を逆立てて身体をふくらませている、よく食べるのに水を飲まない、毛布やクッションの下に潜り込むなどの様子が見られたら、寒がっているサインかもしれません。
一度室温を見直し、愛猫の様子を改めて観察してみてください。
人間は空気が乾燥するとウイルスに感染しやすくなりますが、猫も同じです。
温度管理と合わせ、湿度も40~60%をキープするようにしましょう。
それでは「寒さ対策」とはどのように行えばいいのか? ここからは具体的に、その方法をいくつか紹介します。脱水症状や乾燥、低温火傷、感電などの、気をつけるべき点と合わせてご覧ください。
留守番が長時間になる場合、前述したように、エアコンなど火事の危険性が低い暖房器具をうまく活用しましょう。
愛猫がイタズラして設定温度が変わることなどないように、出かける前にリモコンは猫の手に届かない場所に隠しておくのがポイントです。
設定温度20~23度くらいの自動運転でつけっぱなし、もしくは、気温が下がり室内が冷え込む夕方以降にタイマーセットするなど、愛猫の様子を見ながら調整してください。
加湿器をつけておくと乾燥が防げてより快適です。水飲み場を増やし、しっかり水分をとれるようにしておくのもおすすめです。
「ペット用湯たんぽ」は、酸欠や脱水症状の心配がないので、安全で比較的活用しやすいアイテムといえます。電子レンジであたためるもの、お湯をいれるもの、充電式のものなど、さまざまなタイプの「ペット用湯たんぽ」があり、冬の愛猫の寝床などにも置いておけます。
電源を使わない湯たんぽなら、愛猫がコードを噛んでしまう心配もないのでお留守番時にも安心ですね。
飼い主さんが傍にいる場合に限り、ペットボトルにお湯をいれてバスタオルなどにくるんだ“簡易湯たんぽ”を活用しても良いでしょう。猫が低温火傷※などしないように、本体を触ってぬるい程度のものを使用し、密着させすぎないようにしましょう。
※低温火傷:猫の平熱は38~39度と言われますが、体温よりも少し高い40~50度の物体に長時間触れていると起きる火傷のことです。ゆっくり進行するので気づきにくいのですが、気がついたときには重傷で手術が必要になることもあるので気をつける必要があります。
飼い主さんが近くにいる場合には、「ペット用ヒーター」や「こたつ」などのアイテムを活用するのも良いでしょう。
「ペット用ヒーター」の場合、猫が丸まったときに全身が入るサイズのものを選び、毛布も置いておくと効率的に暖をとることができます。せっかく買ったのに好みに合わず使ってくれないという可能性もなきにしもあらずですが……。さまざまな形状のものがあるので、愛猫が気に入りそうなものがあれば試してみてはいかがでしょうか。使用の際は、低温火傷を防ぐため定期的に体勢を変えるように促しましょう。
「こたつ」を活用する場合、こたつ布団の一部をめくり抜け道をつくっておきましょう。知らず知らずのうちに低温やけどや脱水症状を起こす可能性もあるためです。その他、定期的に冷気をいれるなど、見守りながら暖をとらせるようにしましょう。電気毛布等を活用する場合にも、同様のことがいえます。
ヒーターが直接身体にあたらないように配慮されている他、一定以上の温度を超えたら自動で切れる「ペット用こたつ」を活用するのも良いかもしれません。
そして、これらの暖房器具を活用する際に気をつけなければいけないのが感電です。電源コードをかじって感電などしないように、電源コードにはカバーをし、留守電時にはコンセントを抜くのを忘れずに!
気づけばよくいる“お気に入りの場所”があるなら、マットレスを敷くなどして冷え対策をしてあげるのをおすすめします。ダンボール箱に毛布をかけたものでも大丈夫です。
その他、屋根がついていたり、筒状になったりしている猫用ベッドを活用することで愛猫自身の体温で暖をとることができます。
気に入りそうなものをチョイスしてみましょう。
忘れてはいけないのが、ベッドや水飲み場、トイレが寒い状態にないかどうかのチェック。
まずベッドが窓際にあるという場合は、冬は、窓際から少し離して置いてあげるのが良いでしょう。窓際や壁際は外気に接し、気温が低くなりやすいためです。
また、床の上にベットがある場合には、ダンボールや断熱マット等を下に敷くのがおすすめ。ベッド内に、先ほど紹介した「ペット用湯たんぽ」を忍ばせてあげるのも良いでしょう。もちろん、あたたかな毛布も忘れずに。
飼い主さんが寝静まったあとも、急激な温度変化が生じないように気遣ってあげましょう。
水飲み場やトイレが寒い状態にあると、猫が極力行くのを避けようとしてしまうことがあります。そうすると脱水症状や膀胱炎、尿道閉塞などを起こしてしまう原因となります。
今水飲み場やトイレのある場所が寒いなら、冬の間だけ、温かい部屋にも水飲み場、トイレを増設するのがおすすめです。
冬の間は飲み水をぬるま湯にしてあげるのも飲水の促進につながります。
「寒さ対策」と共に、火事、火傷、感電、脱水症状、乾燥などの気をつけるべき点についても触れてきましたが、もう一点注意すべきことがあります。それは、涼しい場所もつくるということ。
ワンルームだと、暖房の逃げ場をつくることは簡単ではないと思いますが、その場合、空気が通る場所を確保すればOKです。猫は自分にとって快適な場所を探すことが得意なので、用意しておけば、上手に気分転換してくれるはずです。
本記事では寒がりの多い猫のための「寒さ対策」について詳しく紹介してきました。飼い主さんが「寒くない」と感じていても、個体差によって猫が寒がっている場合もあるので、そのようなときには室温をチェックするなど「寒さ対策」を見直してみましょう。
最後に、寒い季節には血行を促進させるブラッシングをまめに行うのもおすすめです。乾燥による静電気を防ぐためにも湿度調節や、ブラッシングスプレーを活用するなどして、あたたかなお部屋でコミュニケーションを取っていただければと思います。
この記事が日々の変化を見守りながら、冬の寒い日も愛猫との幸せなひとときを過ごすヒントとなれば幸いです。
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監修いただいたのは…
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists 院長
獣医師 山本 宗伸先生
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists
(https://tokyocatspecialists.jp/clinic/) 院長。
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫に魅了され、獣医学の道へ。
都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat
Specialistsで研修を積む。国際猫医学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。