1.猫のしっぽの構造
猫のしっぽは、「尾椎(びつい)」という小さな骨がいくつも連なってできています。
尾椎の数は猫のしっぽの長さによって異なり、長いしっぽの場合は16~21個あるといわれています。

しなやかに動かして、飼い主さんに雄弁に語りかけてくる猫の「しっぽ」。飼い主さんの心をくすぐる猫のチャームポイント、「しっぽ」の役割をご紹介します。
目次
猫のしっぽは、「尾椎(びつい)」という小さな骨がいくつも連なってできています。
尾椎の数は猫のしっぽの長さによって異なり、長いしっぽの場合は16~21個あるといわれています。
猫のしっぽは感情表現で注目されることも多いですが、猫が生きていく上で非常に重要な役割を果たしています。
今回は、その中でも特に重要な4つの役割をご紹介していきます。
役割1.体を保温する
役割2.体のバランスをとる
役割3.マーキングする
役割4.感情を表現する
猫のしっぽは意外と暖かく、冬の寒い時期など、しっぽに埋まるような形で暖をとります。しっぽをマフラーのように使っているのをよく見かけるのではないでしょうか。
メインクーンやノルウェージャン・フォレスト・キャットなど、寒い地域にいる長尾の猫は、いかにも温かそうなふかふかのしっぽを持っています。
猫のしっぽは体の動きのバランスをとる役割もあります。
猫が走る時、ジャンプする時、高いところから飛び下りる時など、しっぽで体全体のバランスを調整しているのです。
猫は体のあちこちに、匂いを出す線を持っています。
額、あごの下、口の脇、肉球など、場所は様々です。しっぽにある皮脂腺からも匂いを発します。
猫が家具や飼い主さんにしっぽを巻きつけるのは、匂いをこすりつけるマーキング行為です。
猫はしっぽでも感情表現を行います。
甘えたい時には、しっぽをピンと立ててすり寄ってきたり、威嚇する時はしっぽの毛を逆立てて膨らませます。
しっぽには、猫のその時々の気持ちがとてもよく現れます。
猫はしっぽで数多くの感情を表現します。
表情や態度、声でわかるものも多いですが、しっぽの動きまでわかると、猫の気持ちをかなり知ることができます。
主なしっぽの動きとその時の感情をまとめてみたので、愛猫とのコミュニケーションに生かしてみてください。
・しっぽをピンと立てる
・しっぽを足の間にしまう
・しっぽの先だけを動かす
・しっぽと毛を逆立てる
・しっぽをパタパタ振る
猫がしっぽをピンと立てるのは、嬉しいときや甘えたいときです。
基本的に機嫌がいいときなので、しっぽをピンと立てながら歩いているときは、ウキウキ・わくわくしている証拠です。
また、ピンと立っているしっぽの先が前に少し垂れているときは、テンションが上がっているときです。
大好きなご飯のときなどは、こういう形になることもあるのではないでしょうか。
猫がしっぽを足の間にしまうのは、恐怖を感じたときです。
うずくまって体も小さくし、「攻撃しないで」と全身でアピールします。
自宅に知らない人が突然現れたり、不意打ちで怖い思いをしたときなどに見られる動作です。
猫を呼んだときに、寝ながらしっぽだけを振られたことはありませんか?
寝ているときにしっぽの先だけ小さく動かすのは、猫が「めんどくさい」と感じているとき。飼い主の声は聞こえているけど、起きるのが面倒な気持ちのときに行うしぐさです。
猫がしっぽの毛を逆立てて膨らませるのは、恐怖を感じていたり、相手を威嚇しているときです。
猫がしっぽを左右に大きく振っているときは、イライラしていたり、ご機嫌が斜めのときです。
いろんな役割がある猫のしっぽ。病気などで断尾した猫や、しっぽのない猫種はどうしているのでしょうか。知っていると猫のことに詳しくなれる雑学を3つ集めてみました。
雑学1.しっぽのない猫は平気なの?
雑学2.短尾猫が多いのはなんで?
雑学3.マンクスは後ろ足でバランスをとる?
猫のしっぽの形や長さは違っても、その機能や役割は同じです。しっぽがなくなっても、不足する部分は他が補って、生活に支障をきたすことはないようです。
現代の家畜化され、狩りもしない猫にとっては、体のバランスを取ったり、防寒機能はそれほど必要ではないのかもしれません。
ただデメリットとして、しっぽがないと飼い主さんとのコミュニケーションがとりにくいという問題が出てきます。飼い主は愛猫のしっぽ以外の動きに注目をし、愛猫の気持ちを読み取ってあげましょう。
日本に短尾猫が多い理由は、古くから日本に伝わる「猫股」伝説が原因と考えられています。
江戸時代頃から、猫は老猫になるとしっぽが二股に割れて化け猫になるといわれ、長いしっぽの猫は嫌われていたようです。そのため、江戸時代中期には短いしっぽの猫が好んで繁殖され、短尾猫が増えたという説もあります。今では、日本由来の短尾種は、ジャパニーズ・ボブテイルとして有名です。
様々な猫種の中でも、マンクスという猫種は尾がほぼないのが特徴です。なかでもランピーと呼ばれる種類は、まったくしっぽがなく、しっぽの付け根部分がくぼんでいます。
マンクスは前足に比べて後ろ足が長く、まるでウサギが跳ねるような歩き方をします。しっぽがない分、体のバランスを取るため、後ろ足が発達したといわれています。
猫のしっぽには、体のバランスを取るための機能や、体に巻きつけて保温したりといった体の機能面だけでなく、機嫌や喜びを表す感情表現としての機能もあります。飼い主さんと愛猫のコミュニケーションにも、猫のしっぽをもっと活用してみましょう。
(ペピイカタログ2011年秋冬号掲載)
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