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老犬の介護:忘れてはいけない、飼い主さんの気持ちのもち方

老犬の介護:忘れてはいけない、飼い主さんの気持ちのもち方

老犬の介護生活は、短いこともあれば、長いこともあります。そうした中で忘れられがちなのが、飼い主さんの気持ち・心の問題です。
時に疲労や孤独、自責の念などに苛まれることもある老犬の介護生活。同シリーズ最後となる今回の記事では、飼い主さんの気持ちや心にスポットをあてたいと思います。

心得その1
老犬の介護生活は突然に始まることもある

心得その1老犬の介護生活は突然に始まることもある

まずは、老犬の介護生活の「始まり」について、少しお話をしておきましょう。
老犬の介護と聞くと、徐々に弱って寝たきりになり、介護生活が始まる…といったイメージをもつ人も多いでしょうが、介護生活は、ある日突然に始まることもあります。
たとえば、脳や神経、関節などの病気、またはケガがきっかけとなって、歩行困難になったり、寝たきりになったりすることも…。

そうなると飼い主さんとしてはさぞかし慌てることでしょう。何も準備ができていないなら、なおのことです。
「これから介護生活が始まるのかもしれない…」と覚悟は必要になりますし、当面は生活ががらりと変わることに気が張りもします。

それを少しでも和らげるためには、「愛犬の介護はいつ始まるかはわからない」ということを頭の片隅に入れておきましょう。
併せて、愛犬がシニア期に近づいたなら、老犬の介護に関する情報や知識を予め蓄えておくことをお勧めします。

心得その2
完璧を求めない、頑張り過ぎないこと

心得その2:完璧を求めない、頑張り過ぎないこと

いざ介護生活が始まると、愛犬を愛しいと思うほどに、そして初めての介護ほど、飼い主さんは一生懸命に世話をしようとするものです。睡眠時間を削る、なかなか眠れないといったケースは珍しいことではありません。

おそらく、仕事や学校があるか、家にいることが多いかでもそれぞれに時間の使い方は違ってくることでしょう。
仕事で留守にする間、愛犬のことが心配でたまらない飼い主さん。中には、自宅から仕事場まで近かったことから、休憩時間には一旦自宅に戻り、寝たきりとなった愛犬の世話を続けた人もいます。

また、愛犬の介護のために、短期仕事を休んだ飼い主さんも。一方で、愛犬と一日のほとんどを一緒に過ごす飼い主さんももちろんいます。

しかし、いずれであっても介護生活が長引くにつれ、疲労がたまってくるのは事実です。疲労が過ぎれば、肉体的にも精神的にもきつくなってきます。
その結果、肝心な愛犬の世話に支障が出るかもしれません。

それを少しでも防ぐには、良い意味で完璧を求めず、頑張り過ぎないこと、愛犬と自分にとって少しでも楽になれる良い意味での手抜きをすることも時には必要でしょう。

心得その3
自分のことも労わることを忘れないで

自分のことも労わることを忘れないで

たとえば、「自分がやらなければ」と自身の責任感が強い場合や、家族の中で愛犬に対する想いに温度差があり、家族には世話を頼めない場合など、世話をする人間が一人に限られるケースでは、孤独感も相まって介護生活に行き詰まることがあります。

そうでなくとも、無理をしがちな老犬の介護です。一生懸命は愛情の裏返しではありますが、介護生活の中では自分の心身を気づかうことも大事でしょう。

犬の状況や飼い主さんの考え方にもよりますが、場合によっては、愛犬を老犬ホームに一日預ける、ペットシッターに一日だけ世話を代行してもらうなど、自身がリフレッシュできるシチュエーションをつくってみるのもいいかもしれません。

心得その4
気持ちは吐き出したほうが少しは楽になる

老犬の介護生活の中では自問自答し、悩み、様々なことを考え、微妙な心理が働きます。

このやり方でいいのか…。
こんな生活がいつまで続くのだろう…。
生きるとは、どういうことなのだろう…。
一生を終えると、すべて無になるのだろうか、それとも天国があるのだろうか…。
自力で食べることもできないなら、いっそ安楽死させてあげたほうが愛犬のためなのだろうか…。
いや、どういう姿になっても生きていて欲しい…。
そう思うことは自分のエゴなのだろうか…。

実際の介護の仕方から始まり、果ては死生観や、自分という人間とはなんぞや?と自身の見つめ直しに至るまで、老いた愛犬はそれこそいろいろなことを考えさせてくれることに気づくはずです。

それが苦しくなることがあったなら、何らかの形でその気持ちを少しでも吐き出すことをお勧めします。たとえば、似たような介護経験のある人に話をしてみる、日記に書き出すなど。

やはり、老犬の介護に限らず、経験がなければわからないことはたくさんあります。
同じとは言わずとも、似たような道を歩いたからこそ、気持ちを受け止めてもらえたり、アドバイスをもらえたりすることもあるでしょう。実際、そこから友達同士となり、長いつきあいとなる飼い主さんたちは少なくありません。

また、書くといったある種の“行為”を行うことで、自分の気持ちを整理したり、ストレスのはけ口になったりすることもあります。

人は精神的な何かを心に溜め込むことで、どうにも身動きがとれなくなるほどに繊細な生き物でもあります。苦しい時に助けを求めることは何ら恥ではないのですから、その気持ちを表に開放できる場所や方法を考えるのも時には必要でしょう。

心得その5
小さな幸せや喜びを探す

小さな幸せや喜びを探す

人にもよりますが、相手が人間にしろ、犬にしろ、介護生活はとかく気分がブルーになったり、イライラを感じたりしがちです。

人間以上に繊細な犬のこと、そうした飼い主さんの気分を敏感に感じ取ってしまうこともあるでしょう。となると、ただでさえ乏しくなっている老犬の表情がより曇ることも…。

介護生活を“明るく”とまでは言いませんが、介護生活を続ける秘訣の一つは、「日々の中でほんの少しの幸せや喜びを感じる瞬間を見つけること」と言ってもいいのかもしれません。

飼い主さんの中には、愛犬が徘徊する度に一緒に踊っているつもりでつきあうという人や、圧迫排尿が必要な老犬でも、「一日24時間のうちのたかだか15分と考えれば、たいへんだなんて思わない」と言う人、首がぐらぐら揺れてしまう愛犬を前に、「この揺れも可愛い」と言う人、どろどろのうんちを垂れ流す愛犬のお尻を拭きながら、「こういううんちさえ、愛犬の体から出てきたものだと思うと愛しい」と言う人…いろいろな人がいます。

こうした飼い主さんたちは、おそらく介護を“負”の方向には考えないのでしょう。
それより、どんな形であれ、愛犬と共に過ごせることの幸せのほうが勝っているように感じます。

もし、みなさんが愛犬の介護生活の中で精神的に厳しい…と感じる状況があったなら、愛犬と過ごした日々を思い出してみてください。そこにはいくつもの想い出と共に、小さな幸せを感じる瞬間があったはずです。

それを思い出した時、自分の心がどう動くか。自身に問うてみてください。

まとめ.老犬の介護生活は十犬十色

まとめ.老犬の介護生活は十犬十色

最後に。
それぞれの犬に個性があるように、老犬の介護の状況はいろいろです。
また、飼い主さんにしてみても想いや考え方、生活環境も様々。そうした中で、この介護方法や気持ちのもち方が絶対的に正しいというものはないでしょう。

試行錯誤しながら愛犬と自分に合ったやり方を見つけ、そして、折り合いがつくあたりで自分の気持ちを保持するしかないのかもしれません。

少なくとも言えるのは、この地球上に幾多の命がある中で、それぞれの飼い主さんと愛犬とが出会えたことこそが奇跡だと思います。
数えきれないほどの小さな幸せを積み重ね、物言わずにみなさんの人生に寄り添ってくれた愛犬は、今も老体の身をもって何かを教えてくれています。
それがシニア期、老犬の介護生活です。

そこから何を汲み取れるかは飼い主さん次第です。どうぞ一日でも穏やかな愛犬との日々を送れますように…。

これで「老犬の介護シリーズ」を終わります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)

監修いただいたのは…

2018年 日本獣医生命科学大学獣医学部卒業
成城こばやし動物病院 勤務医
獣医師 高柳 かれん先生

数年前の「ペットブーム」を経て、現在ペットはブームではなく「大切な家族」として私たちに安らぎを与える存在となっています。また新型コロナウィルスにより在宅する人が増えた今、新しくペットを迎え入れている家庭も多いように思います。
その一方で臨床の場に立っていると、ペットの扱い方や育て方、病気への知識不足が目立つように思います。言葉を話せないペットたちにとって1番近くにいる「家族の問診」はとても大切で、そこから病気を防ぐことや、早期発見できることも多くあるのです。
このような動物に関する基礎知識を、できるだけ多くの方にお届けするのが私の使命だと考え、様々な活動を通じてわかりやすく実践しやすい情報をお伝えしていけたらと思っています。

成城こばやし動物病院 獣医師 高柳 かれん先生

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