ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

 神戸市灘区、六甲山の麓。阪急六甲駅近くに、「No More ホームレスアニマルクリニック」はあります。僕がおじゃましていたほんの数時間の間にも、猫を連れて訪れる人は複数。室内には、不妊去勢を待つ野良猫のゲージが並べられ、この日は、47匹の野良猫にオペをするとのことでした。手術室では、獣医さんが淡々とオペをされています。
クリニックを運営しているNPO「アニマルレスキューシステム基金」代表の山崎ひろさんは、阪神淡路大震災で犬猫の保護を経験。保護しては郊外にあるシェルター(保護施設)に運び、里親を探すなどしていましたが、保護してくる動物の数は減ることなく、「シェルターでの救済には限界がある」と考えるように。その後クリニックの構想にたどりつき、渡米して研究・調査することを決意しました。アメリカではすでにペットの過剰繁殖が社会問題になっており、それに対するアプローチが、低額・高回転・早期不妊(初回の発情・出産を防ぐ)のTNRだったそう。これが街なかにあれば過剰繁殖を減らせるのではないか、と考えた山崎さんは、現在の場所にクリニックを開業します。寄付によって活動するNPOとして。





猫が保護されてくるのを待って動く、という受け身ではなく、このようなクリニックに獣医が積極的に関わりを持つようになること、それが重要だと言う山崎さん。その理念は確かに街へ広まっているようで、主旨を理解してくれた個人や団体の方が、公園などで猫を捕獲してクリニックへ運び、不妊去勢代金を協力金として払ってくれるように。活動を知った全国の方からも、寄付が集まるようになってきました。

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