健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

愛犬相談室 No.3「おでかけ時の悩み」

ケース3、つないでおけない

Question

おでかけ先でお店に入ろうと思い、ほんの数分のつもりで外につないでいたかったのですが、けたたましく吠えて動き回ったので断念しました。慣れさせられますか。

Answer

 たとえば、犬と出かけた先でおいしそうなアイスクリーム屋さんを見つけたときなど、店内で食べているほんの少しだけならと、犬を店先につないで待たせておきたい気持ちはわかります。
 しかし、安全上の観点からいって、どんなに短い時間でも犬をひとりだけにしておくことはおすすめできません。なぜなら、飼い主が見ていない間に何かのはずみで人を噛んだり、逆に他の犬に噛まれたり、リードが切れて迷子になったり、誰かにさらわれたりといったトラブルが起こる可能性が十分にあるからです。
 飼い主の姿が見えず、ひとりぽっちでは犬も不安になるはず。店先につなぐ場合には、一人がついて交代にするなど、基本的に必ず誰かがそばにいるようにしましょう。

 といっても外出時にはどうしても犬をひとりで待たせなければならない状況になることも考えられます。そんなときのために、ふだんから自宅で次の要領でしつけておくと安心です。
 まず、リードを室内のある場所につないだら「マテ」をかけ、犬に背を向けます。ここで吠えなかったら「えらいね」と言ってまずほめます。必要ならおやつなどのごほうびも使いましょう。
 これができたら、次に背を向けたまま歩いて少しずつ離れていきます。そして戻ってくるまで吠えなかったら存分にほめます。こうして犬との距離を伸ばしながら、部屋の戸をいったん閉めて出て行っても戻ってくるまで吠えなかったらOK。今度は屋外の公園などへ場所を移し、木陰に隠れるなどしてアレンジしながら行いましょう。
 練習の回数を重ねるうち、おとなしく待っていれば、飼い主は必ず自分のところへ戻ってくるのだということを学習します。
 こうして待てるようになっても、あくまで犬から離れるのは最終手段と考え、必要に迫られた場合には、目の届く所で待たせましょう。



ケース4、ノーリードで逃げ出す

Question

犬を車から降ろす際、他の犬が吠えるのを聞いていきなりノーリードで飛び出してしまいました。幸い大事には至らなかったのですが、今後このような失敗を防ぐためには、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。

Answer

 きっと犬は車から早く降りたくて、興奮していたのでしょう。犬がノーリードで離れてしまった場合、事故に遭ったり迷子になる危険性が十分あります。さらに他の犬や人に危害を及ぼした場合、飼い主の責任を問われることになります。
 だから外出時には、常に、犬をリードでつないでおく必要があります。質問者のように、それを知っていても、ふとしたはずみで失敗してしまうこともあるので、それを念頭におき、なるべくミスをしない動作を身に付けましよう。

 車から降ろす際に一番安全で確実なのは、犬をケージから出したりシートベルトからはずし、リードを着け終えるまでは、車のドアを決して開けないことです。たとえ、犬が後部座席に居るからといっても、運転席のドアも開けてはいけません。リードをつないでいることを確認してから、全員が降りる習慣を付けましょう。
 これは実際の経験談なのですが、芝生広場などで遊ぶとき、ふだんのリードからロングリードにつなぎ替えようとした瞬間、犬がするりと逃げるように走り出してしまったことがあります。どちらのリードも着けていない一瞬があったからです。
 こうしたミスが起こらないよう、まずロングリードのフックを取り付け、リードが2本つながっている状態にした後、ふだんのリードを外すようにしてください。いつも無意識にしている動作の中に危険性が隠れているといっても過言ではありません。特に外出先では、リードの着け外しに気を付けるようにしましょう。

 また、いくら気を付けていても、失敗することは考えられます。そんなときのため、ふだんから呼び戻し、つまり「オイデ」のしつけをしておくことが重要です。「オイデ」ができれば、慌てて追いかける必要はありません。落ち着いて、手にフードなどのごほうびをかざして呼び戻しましょう。持っていたごほうびのおやつを自分の足下にばらっとたくさん落として、おやつが落ちちゃった!と言ったら戻ってきたワンちゃんもいます。