健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

愛犬相談室 No.3「おでかけ時の悩み」

QアンドA ケース別にお答えします。愛犬相談室、指導、ドッグトレーニングインストラクター、中塚圭子
No.3、おでかけ時の悩み

ケース1、トイレの失敗が心配

Question

家では決まった場所でトイレができるのですが、お出かけ先では失敗することがあります。準備や対処法はありますか。

Answer

 環境が変わると失敗は多いもの。当日は現地に時間の余裕を持って到着し、場所に慣らせることから始めましょう。犬のトイレに関するルールは施設によって異なります。
 たとえばキャンプ場ならテントサイト内やバンガロー内での排泄は禁止されていたり、ホテルなら部屋以外のパブリックスペースでは厳禁など。チェックイン時にルールを確認したあと、外で用を足す習慣の犬ならいっしょに周囲を散歩して、犬が排泄できる場所を見つけておきましょう。室内で排泄できる犬の場合は、宿の部屋の一角に持参したトイレを設置します。
 建物や施設に入る場合はそれまでにトイレを済ませておくのが理想的ですが、なかなかそうもいかないうえ、慣れない場所での緊張から、犬はいつどこで用を足してしまうかわかりません。そこで、トイレシーツ、消臭スプレー、ぞうきんなどのトイレグッズをひとまとめにして常に持ち歩き、どこで排泄してもすぐに対処できるようにしておきましょう。

 犬はストレスや緊張を感じると、いつもよりも水分を多く摂りがちです。だからといって欲しがるままに水を与えていれば、頻尿になることは避けられません。
 同様にストレスから下痢になることもあるので、水とフードはなるべく控えめにして与えるようにします。さらに、いつもより犬の動きに気を配り、少しでもそぶりがあればトイレに連れて行くように心がけます。
 またオスの場合、施設内で他犬と出会ったことがきっかけでマーキングをすることがあります。特に建物内や宿のパブリックスペースでしてしまうと、施設側にも他の宿泊客にも大変な迷惑になります。
 しかし、こうした本能的な行為は飼い主といえどもコントロールするのが難しいもの。心配な場合はマナーベルトを着用して未然に防ぎましょう。メスでもおもらしが心配な場合には、マナーパンツなどの生理用品を着けて代用します。
 それでも失敗した場合には、必ず宿の人に連絡するのが飼い主の責任。少々恥ずかしくても、すぐに伝えれば何らかの形で対処できるのです。黙っていることは、施設に対して迷惑をかけることになります。



ケース2、夜に吠える

Question

ふだんはほとんど吠えない大人しい犬ですが、先日初めてのキャンプで夜に吠えてしまいました。次回からどうすればいいでしょうか。

Answer

 吠えるのは、おそらく興奮したためだと考えられます。今後、回を重ねることで徐々に慣れてくると思われますが、気を付けておきたいことはいくつかあります。特にキャンプ場など野外で不特定多数の人がいる施設の場合、犬は慣れない光景やにおいに緊張感を覚えても仕方ありません。
 そして作業の邪魔になるからといって同じ場所につないだままにしていては、ストレスが溜まるばかりか、突然番犬になって吠えてしまいます。テントの設営や食事の準備のときにはリードを飼い主の腰に巻き付けて、常にいっしょに行動しましょう。犬の不安が軽減され、体も動かせていい運動にもなります。

 夜は飼い主がそばにいないと心配で吠えることもあります。テントの中に入れて飼い主といっしょに過ごせば落ち着きますが、寝るときになって初めて狭いテントの中に入っても犬はいつもと違う雰囲気にソワソワするだけ。そのためにも早めに到着して準備をすませ、居場所に慣れさせることが肝心です。
 バンガロー(入室可の場合のみ)の中で休憩したり、テントの中に入って過ごしてみたり、施設内を散歩して存分ににおいをかがせておきます。ドッグランがある施設ならそこで思いきり走らせるなどして昼間に運動を十分させておくと、夜は疲れておとなしくなります。
 テントを張る場所ですが、入口や通路をはじめトイレや炊事場などの人通りの多い場所の付近は落ち着かないので、なるべく避けたいもの。隣のテントが気にならず、奥まった静かな場所を選ぶのが一番です。予約時にサイトが指定できるなら、あらかじめ希望しておくといいでしょう。

 また、普段からクレートトレーニングができていれば、テントやバンガロー、客室などどこでも大人しくケージの中に入っていられて安心です。さらに使い慣れたクッションやベッド、敷物を用意して居心地のいい場所を作ってあげましょう。暑くて不快な場合は、クールボードを敷くと体温が下がって過ごしやすくなります。
 それでも吠えが止まらない場合、車の中で寝たり、アボアストップなどの器具を使用します。でもこれは最後の手段。なるべく吠える原因を取り除いて、快適に過ごせる工夫をしましょう。



甘噛みとは?
 愛犬といっしょにソファーに座ったり、同じ布団で寝たり、自分が食べた後のお皿を舐めさせたりしている方も多いのでは?微笑ましい光景ですが、あくまで自宅の中だけで許される暮らしです。
 旅行するときには、事前に宿泊先でのルールを確認しておきしょう。客室にリードなして入室できる宿でも、ベッドの上やソファーに乗ることは禁止されているのが一般的です。注意していても乗ってしまうことがあるので、防水性のマルチカバーなどを持参し、部屋に入ったら真先にかけておくようにします。

 人間の食事中の、愛犬の過ごし方も問題。客室で食事ができる場合は犬といっしょにいられますが、食堂で食べる場合、犬が入れないケースが多くなっています。そのときには客室で留守番をする必要があるので、ケージを持参しておくと安心です。
 食堂まで同伴できる場合には、特に我が家の常識が宿のルールにマッチしているかどうか注意が必要。椅子に乗らない、人間の食事を食べない、人間の食器を使わないなど、宿が定めているルールを必ず守りましょう。

 もうーつ、我が家の常識が通用しないのがお風呂。もし家で犬といっしょに入っていても、宿の浴場には決して入れないこと。客室に付いている浴室も毛がつまると大変ですからNGです。犬を入れていいのは、犬専用の温泉や浴場に限られます。
 旅に出たら旅先の常識、つまり宿や施設でのルールに従い、みんなが気持ちよく過ごせるようにしたいものです。


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