Peppy Animal Welfare Forum 2011 レポート

Peppy Animal Welfare Forum 2011
緊急災害時に私たちができること。そして、備えておかなければならないこと。
~東日本大震災 被災地からの報告~

2011年11月26日(土)にクレオ大阪東大阪市立男女共同参画センターにおいて、
「Peppy Animal Welfare Forum 2011」のシンポジウムを開催しました。
本フォーラムは、動物愛護、動物福祉の推進と啓発を目的に昨年よりスタートしました。
第2回目となる今回のプログラムでは、被災地である石巻市からあべ動物病院・院長 阿部俊範先生、
動物看護師である阿部洋子先生、そして、阪神大震災の被災動物救護に参画され、
今回の被災地支援にも尽力されている兵庫県動物愛護センター所長 沼田一三様をお招きし、
「緊急災害時に私たちができること。そして、備えておかなければならないこと。」をテーマに、
災害発生時に私たちができることは何か、
平常時から備えておかなければいけないことは何かを考え意見交換を行いました。

被災地の様子から「これから備えなければいけないこと」を考える。

実際に震災を経験されたときの様子を交えながら救護センターの設立についてやこれからすべきことについての考えをご報告いただきました。

震災後、動物たちと飼い主さんのサポートのための活動についてお話を伺いました。
はじめはボランティアも少なく、物資も少ない状態でしたが、多くの方が同行避難を行っていたので、とにかく避難所をまわりフードを配り、診察を行われたそうです。
震災後の診察では、津波に流されたときにケガをしてしまったペットの診察が多かったとのことでした。
救護センターをつくり犬猫たちの保護を始めたときは、1500人もの多くのボランティアの方が協力してくれました。
活動としては、一時預かり、飼い主さんとのマッチング、フードの無料配布、情報の一元化、巡回診察、避妊・去勢、ノミダニの処理、狂犬病注射、しつけなど様々な活動をされています。
また、周りの住民の方に配慮しニオイに対する対策としておそうじ用具・消臭剤などを持ちニオイに気を使われたようです。


避難所でのわんちゃんねこちゃんの様子ですが、わんちゃんねこちゃんのいる避難場所は和やかな雰囲気だったようです。
わんちゃんとのコミュニケーションを楽しんだり、ねこちゃんもリードをつけて飼い主さんと一緒にお散歩していたりする子もいたようでした。
他には何も持ってこなかったけど「この子だけは」と必死で連れてきたという方もいらっしゃいました。

しかし、震災が起きたときに飼い主さんとはぐれてしまった子も多くいました。
いつ起こるかわからない災害に備え、なにができるのでしょうか?

今回の震災で必要だと思ったのは、「予防接種を行うこと」や「同行避難の準備の確認」、特にクレートトレーニング、トイレトレーニング、
動物の社会化など「日頃のしつけ」がとても大切であることをご報告いただきました。

実際にこんな体験談があったようです。


○「呼んだらすぐそばにこれること」
震災が起きたとき、驚いて飛び出していってしまったケースも多かったようです。
また、ねこちゃんは家に隠れてしまい見つけられなかったという子もいました。
○「身体中のどこでもさわれること」
津波が来たときは必死だったので、なんとか耳・しっぽをひっぱって引き寄せたというお話もありました。

その他、すぐに逃げられるように、
「前もってクレート・キャリーなどにリードを結んでおく。」
「愛犬・愛猫と一緒に逃げれるように、おんぶできる紐や風呂敷などを用意する」
という工夫もご報告いただきました。
避難所ではクレートを持ってこれなかった方が、ダンボールを工夫して一時的な簡易クレートを作られている方もいたそうです。
このように、日常にあるもので何か工夫できるように考えて、普段からダンボールで遊ぶなど準備をしてあげることも大切なことだと感じました。


また、避難所ではコミュニケーション力も大切です。コミュニケーションがうまくとれない子がいたご家庭では避難所やまわりに気遣い、
半壊した家に戻り生活される方、車上生活をされる方もいらっしゃったそうです。
日頃から誰とでも仲良くできるようにしておくことで、まわりの方にも迷惑をかけず、愛犬・愛猫もストレスを感じにくくなります。

これらの意見交換を行い、今回の支援活動を通してすぐに動物支援活動が対応にうつれるマニュアル・システムづくりが必要なのではないかという課題があがりました。

また、飼い主さんにとって大切なことはこのような状況になったときを想定して準備を行うことはもちろん、周りの人たちと協力し合え、
愛犬・愛猫たちを社会にも受け入れてもらえるよう「家族の一員から社会の一員」になっていくことを考えていくことではないかと思いました。


福島県動物救護本部では、まだ終わりの見えない救護活動が続けられています。
長期的な協力・支援なども大切なのではないかと考え、これからもペピイは支援活動を続けていきたいと思います。
引き続きご協力いただきますよう、よろしくお願いします。

福島県動物救護本部

飼い主とペットの災害の備えに関するアンケート結果

Q1.東日本大震災によって、ペットに関する事も含めてあなたの防災意識、災害時の備えについて意識は変わりましたか?

東日本大震災によって、ペットに関する事も含めてあなたの防災意識、災害時の備えについて意識が変わったか尋ねたところ、一番多かった回答は「変わった(70%)」、次いで、「以前から防災には十分気を付けているので特に変わっていない(15%)」だった。地域別に見てみると被災地より離れた地域ほど、意識は特に変わらなかったと回答する方が増えている。

東日本大震災によって、ペットに関する事も含めてあなたの防災意識、災害時の備えについて意識は変わりましたか?

Q2.災害発生時に避難が必要になった場合、あなたはペットを連れて一緒に同行避難をしますか?

災害発生時に避難が必要になった場合、あなたはペットを連れて一緒に同行避難をするか、尋ねたところ、一番多かった回答は「必ず一緒に避難する(79%)」、次いで、「可能なら同行避難をする(13%)だった。

災害発生時に避難が必要になった場合、あなたはペットを連れて一緒に同行避難をしますか?

Q3.「避難訓練」についてお聞きします。今お住まいのマンションや地域で行われる避難訓練にペットと同伴で参加された経験はありますか?

お住まいのマンションや地域で行われる避難訓練にペットと同伴で参加した経験はあるか尋ねたところ、一番多かった回答は「避難訓練自体、実施されたことがない(75%)」、次に多かった回答は「ペットは連れずに人間だけが避難訓練に参加した(17%)」だった。地域別に見ると、東海北陸地方では「ペットは連れずに人間だけが避難訓練に参加した(33%)」の割合が他の地域と比べて高くなっている。また、被災地より離れた地域ほど「避難訓練自体、実施されたことがない」の割合が高くなっている。

「避難訓練」についてお聞きします。今お住まいのマンションや地域で行われる避難訓練にペットと同伴で参加された経験はありますか?

Q4.実際に避難する場合、どこに避難すればよいか知っていますか?

実際に避難する場合、どこに避難すればよいか知っているか尋ねたところ、一番多かった回答は「知っている(77%)」だった。

実際に避難する場合、どこに避難すればよいか知っていますか?