VOL.11 「真夜中の変身」

 2匹と暮らすようになって、夜が待ち遠しい。最初の頃は、ほほ笑んでいるようなカワイイ寝顔をじっくり見られるだけで、幸せな気分に。それに最近、主人も知らない、昼間は隠している、もう一つの姿に会える楽しみが増えたから…。

 モミモミ、押し押し。今夜もマッサージの達人、モーモー・リリィの登場。子猫が母猫のお乳を押すように、毛布をモミモミするので「モーモー」。リリィは、私の足をマッサージするようにモーモーしてくれる。

 みっくんも幼い頃は、よく押してくれたけれど、いつの間にか卒業。リリィの方が軽やかなタッチで上手。昼間の怖い顔と違って、ウルウルしたなんとも言えない瞳で私を見つめ、ひたすらモミモミ。だんだん眠たくなって来ると、ゴムボールのようによく弾む身体からチカラが抜けて、つきたてのお餅のように。ビロ~ンと伸びるのを布団の中に入れると、私の左腕に「腕枕」ならぬ「腕前足」。お行儀良く2本そえて、その上にチョコンと顎をのせ「伏せ」のポーズ。ビーズクッションのような感触が気持ち良くて、思いっきりナデナデ。しばらくすると、私のあまりに執拗なナデナデ攻撃から身をかわすように、少しずつほふく前進。布団から顔が出たところで、方向転換。私の顔に豊満なお尻をグイグイ。そのお決まりポーズで熟睡。

 その頃、やっと御飯を食べ終え、ひとり取り残されたみっくんが、慌てた様子でドタドタと足音を立てながら2階へ。部屋に入ると、すかさずベッドサイドから、枕の上にジャンプ。幻の美容師・ミック先生へ華麗なる変身を遂げる。シャンプーの香りが残る湿った髪の手入れが彼の得意技。

 まず最初に、軽く匂いを嗅いで、満足げに深いため息を「フ~」。ドカドカ頭突きのヘッドマッサージに始まり、前足の爪をチョコッと出して、やさしくブラッシング。フガッフガッ、ペロペロ。ザラザラの舌が出ると、かなり本気モード。

 一見、猛獣に襲われているようで、痛そうに見えるけれど、これが適度な刺激で心地よく、ウットリ気分に。でも、ここからが要注意。どんどん身を乗り出して、10キロ近い全体重を頭にのせて来るのだ。
「先生!オッ重過ぎ…。」

 仕上がった頭に、みっくん帽子。脇には、リリィ・クッション。
これが私の安眠セット。2匹に疲れを取ってもらい、すっかりリラックス。今夜もイイ夢が見られそう。