京都*猫日和 ~猫を愛する京都人を訪ねて~

VOL.12 「生まれも育ちも京町家」
(2010年2月掲載)

痛いほど寒い!
そんな冷たい日が続く京都ですが、
今回もかわいい猫にゃんを
ホットにご紹介しますよ~。

このたびお訪ねしたのは、
新町通りに構えて百年を数える京町家です。
ここは吉田孝次郎さん・智子さん夫妻の住まいであり、
希望者には公開もしている、
歴史的意匠建造物の「無名舎」さん。

そして、この美しい空間でのびのびと暮らす
何ともうらやましい猫にゃんが、
智子さんの愛猫、Yチャンでございま~す。

【にゃんファイル】Yチャン(雑種・メス・13才)【好物】自家製の生節【性格】人懐っこい【飼い主ファイル】吉田智子さん/ほとんど京都暮らし/幼少期からずっと!

大の猫好きという智子さん。
幼い頃からずっと猫と暮らしてきたため、
声色や眼差しだけで大抵のことは分かってしまうほど、
猫のことを知り尽くしているそう。
「猫はとてもチャーミングな生きものだと思いますね。
言葉は通じなくても意思疎通ができたな、
と思う瞬間はたくさんありますよ」

そんな智子さんの愛情をたっぷりもらっているからか、
対面したYちゃんの表情はとっても穏やか。
ツヤツヤの毛並みも、
ウルウルとした大きな瞳も、
ステップを踏むような軽やかな足取りも、
13才とは思えない、まさにチャーミングな猫にゃんです。

「Yチャンのおばあちゃんもお母さんも
この家で育ったんですよ」と智子さん。
「YチャンはオスのMクンとともに2匹で生まれてきたのですが、生後10日目に母猫が亡くなってしまってね。その時はまだ、兄妹2匹が手のひらにのるくらいの小さな小さな身体でした。それで、私が育てたんです。
動物病院の先生に習って、哺乳瓶から2時間ごとにミルクをのませてね…。だから、Yは人に慣れているんです」。

時には町家見学者の方々を案内するというYチャン。
作家の作品など、貴重な展示品がある部屋にも
自由に行き来しているとのことですが、
いたずらをしたことは一度もないそうです。

ハンドメイドのモダンなスーツを着こなす智子さんに
お揃いの赤い布地でリボンを結んでもらい、
とってもご機嫌なYチャン。
火鉢の前でまどろむ姿は
京猫の品格、漂っていますね~。
「それが夕食の前になるとね、
突然全速力で室内を走り回るんですよ…」
あらららら~。
でも、きっとそうやって元気いっぱいでいることが、
育ててくれた智子さんへの一番の恩返しになるね、Yチャン!

~I LOVE ホットカーペット~

京都生活工藝館・無名舎(ナビゲーター:Yチャン)

京呉服の問屋街である室町界隈。明治42年、この一画に建てられた京町家がワタシの住まい、吉田邸だニャ。かつて白生地問屋だったこの町家は、店舗と住居と土蔵、それに2つの庭と通り庭(台所)からなる、京商家ならではの表屋造りなんだニャ~。見学の方はみんな熱心に写真を撮ってるニャン。そんな時は、ワタシもさりげなくポーズをきめたりしてニャ~ハハハハ!!
ここで生まれ育ったご主人様は、東京で美術を学んだ後に帰京、一時は改装されていた生家を復元して、奥様の智子さんとともに町家暮らしを続けているニャン! 今では、歴史的意匠建造物、景観重要建造物として京都市の指定も受けてるニャ。
ご主人様も奥様もアーティストだから、この町家をとっても自由に楽しんでる。季節ごとのしつらえもアイディアがいっぱいだニャ。特にワタシの自慢は祇園祭のシーズン! 美しい屏風や京簾が飾られて、毎年うっとり。ぜひ観に来てニャ~。

Data

京都市中京区新町通六角下ル六角町363

営業時間:10:00~18:00
(事前予約者のみ見学可)
※予約は電話か往復はがきで。

TEL:075-221-1317