ペットと共に生きること

第26回 できる限り一緒に暮らすために

前回のコーナーでは、
飼い主の高齢化によってペットが独りぼっちになる、それを防ぐために、ということを書きました。
今回はその続き、ペットの高齢化です。
高齢化社会というのは、なにも人間だけのことではありません。

共に暮らしているペットが高齢になって、
毎日の飼育が大変だと思った時、どうしますか?

高齢だからと、手放さないで!

全国にある都道府県の動物愛護センターには、
様々な理由で犬や猫が保護されています。
その中には、飼い主が自ら持ち込むケースも
近年増え続けているそうです。
持ち込む理由の中で気になったのは、
ペットの老衰、ぼけが始まって手に負えないということ。
はっきり言って、どちらも飼い主の勝手な理由です。

そんなケースを減らすため、そして高齢ペットへの介護の必要性を広く認知してもらうため、頑張っている女性が大阪にいます。
それがペットケアステーション大阪の杉原真理さん。
ペットの訪問介護を行うかたわら、
ペット関連業者や一般の方を対象にした講演で、
ペットにも介護が必要だ、ということを
訴え続けています。

ペットの訪問介護、そう聞いて「?」となった人も多いかも知れませんね。
杉原さんの所へは、高齢犬の世話に関する相談が多く寄せられるそう。
筋力低下による日常生活の変化、
老衰で、どうしていいか分からない、
介護してきたけど、手に負えなくなった
などなど、高齢になったペットへの対応に関して
いろんな相談が電話やメールで寄せられます。

電話やメールへの対応で解決する場合もありますが、
それでは無理だった場合や、介護を頼まれた時は
まず訪問して話を聞く、という杉原さん。
訪問介護では、
いきなりすべてを引き受けるわけではありません。
状況を見て、聞いて、飼い主ができる部分はやってもらい、
負担になる部分だけを手伝います。
散歩や食事の世話、動物病院への通院補助など、
内容はケースバイケース。
介護を頼む人の中には、
ご自身が親の介護をしていて、時間的に余裕がない
という場合もあります。

相談者に共通しているのは、
「ペットの状況に対して自分の判断や介護方法が正しいのか
プロの人に見てほしい」ということ。
みんな、なんとかペットの世話をしていきたいのです。
しかし、自分なりにやっていても、不安だらけ。
そこで杉原さんに相談が寄せられるのです。

家族だから、介護をしていく

杉原さんの介護のスタンスは
「ギリギリまで、ペットが歩いて暮らせるように」ということ。
飼い主の気持ちを理解して、
ペットも人も、できるだけ長く幸せに暮らせるように、
そのために介護があるのです。

動物病院の看護師から人間の福祉業界へ転身した
経歴を持つ杉原さんだからこそ、
こういう介護の必要性を知っているのかもしれません。

しかし、人間もペットも、いつか必ず高齢になります。
その時、共に暮らすことを諦めるのではなく、
最後まで、できる限りの世話をする。

ペットが家に来てからこれまで、
どれだけの幸せな時間を与えてくれたことでしょう。
それを思うと、年老いても家族として、
自分たちにできることをやっていく。
人もペットも、違いはありませんよね。

まだまだ、「ペットに介護が必要」、
という考え方が世の中に広まっていません。
ペットの介護に関するマニュアルはありますが、
その通りに対応できればいいわけでもありません。
その現実の中で、
ペットの高齢化はどんどん進んでいます。
高齢犬の飼育率も、上昇しています。
だから今、みんなで考えましょう。

大切なのは、
ペットが“いつもと違う”というのは、
家族である飼い主だけが見つけられるサイン。
そのサインを見逃さず、
高齢によるものなのか、ほかの病気なのか、
きちんと考え、適切な対処をすること。
分からない場合は、獣医師など
専門家にすぐに相談すること。
人間でも、同じようにやっていますよね?
ペットも家族。
だから身近な人=飼い主が見守り続けること、
そこを常に考えていたいものです。

ペットケアステーション大阪
http://petcare-station.com/