ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

牛歩のように、ゆっくりと

 実際に活動している現場を訪問しました。

 午後4時前。エサを持った会員の方々が、摩耶山へと向かう登山道の一つ・青谷道の入口周辺に集まり始める。と、どこからともなくネコたちも集まり始めました。
登山道の脇、橋のたもと…、会員の方々が決めた場所にエサを置くと、ネコたちが食べ始めた。中には、会員の足元にすり寄ってくるネコもいます。
食事を終えたネコたちは、思い思いに周辺で遊び、やがて数匹は近所で猫を飼っている方の家へ向かうなど、それぞれが帰路に。

この日の活動時間中、付近に暮らす人から、ノラネコに対する苦情が会員のところへ寄せられました。エサを与え終えた会員の方々はすぐにその方の家へ向かい、苦情の内容を詳しく聞き、対策を講じる。
「こういうことの積み重ねですよ」と会の方。会が活動をしていても、それすら快く思わない人もいるし、ネコに対する態度は、実に人それぞれ。
そんなたくさんの意見ともひとつひとつ向き合いながら、活動は進んでいます。
ノラネコが敷地内に糞をして困る、という苦情があれば、すぐに掃除へ。苦情が来るたびにその場所へ向かい、苦情が出なくなるまで繰り返す。

 活動にはもちろん、ノラネコたちの避妊・去勢という大事な役目も含まれます。これまでの5年間で60匹の手術を終えたそうで、今年1月にノラネコの数を調べてみると、天寿を全うしたり、ほかの地域へ移ったネコも合わせ、10匹ほどが減っていたそうです。

活動している方々と話をしているうちに、活動の中心にはやはり「地域の人みんなが仲良くくらせること」という目標があるのだと実感できました。 だからこそ、自治会報の裏面を使い、会の活動報告までしているのでしょう。

すぐに効果が見える活動ではまるでありません。しかし、こうやって時間をかけて丁寧に活動してく。その先に、地域に暮らす人々と、そこに住んでしまったノラネコたち、みんなのハッピーも、少しずつ増えていく気がしました。