ペットと共に生きること

「人と動物が一緒に暮らしていく」うえで、考えて欲しいことを、さまざまな取材を通して紹介します。ちょっぴり硬い話題が多いけれど、ほんの少し、一緒に考えてみませんか?

第8回:第3の道へ

以前の記事で、平成18年度に殺処分された犬の数は約35万頭と書きました。平成19年のデータでも、その数字は横ばい。自治体でのケースなど、殺処分を減らそうという動きは高まっていますが、なかなか減少していないのが現実ではないでしょうか。
安易に飼って、手放す人がまだまだいることも事実で、そうした人間のエゴは、地球上で自分たちが一番えらい生き物だと奢っていることにほかなりません。
もし人間の子どもが自分の思い通りにならないなら、捨てますか?
犬だけでなく、生き物を簡単に手放してしまう人に、そう言いたい。

まずは、手放さないことを

 1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、災害救助犬を育成する目的で発足した「日本レスキュー協会」。今では、レスキュー犬だけでなく、セラピードッグの育成にも力を入れています。震災後、被災された人々のところへ犬を連れて行くと、みんなとても和んだ表情になったそう。「救助だけでない役割が、犬にはある」そう実感し、始まりました。
ところが、活動が始まって数年経ったころから、飼っている犬や保護した犬の引き取りをお願いする問い合わせなどが来るように。
飼えないからと施設に持っていくのではなく、犬との付き合い方をきちんとレクチャーする、そうしないと、捨てられる犬は減ってこないんじゃないか。協会でも、そんな思いがあったようです。そこで、もっともっと大きな枠で「飼い主が自分の犬の性格や適正を見られるように啓蒙を」と考え、活動は続いていきました。

 そういえば、自治体の動物愛護センターに持ち込まれる犬も、半数近くが人に飼われている犬…。おかしいと思いませんか? ほしいから飼ったはずなのに、人間の意のままにならない=駄目な犬というレッテルを勝手に貼り、手放す。もう手に負えないから飼えない、と飼い主が思う前に、こういう飼い方をしたら大丈夫、ということを伝えなければならない時代になっているのです。なんて人中心の世の中なことでしょう!
犬を保護する場合も、保護してそのまま動物愛護センターなどの施設に持ち込むのではなく、まずは、飼い主を見つける努力をしてほしい。近所に聞いたり、張り紙をしたり、保護したからには、人間は責任を持たなくてはなりません。保護してあげたという自己満足ではなく、ちゃんと行き先を見届けてあげてほしいのです。
行き先のない犬は…、そう、多くは悲しい結末が待っていることになります。

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