健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

盲導犬について

● 盲導犬になるまで

<空>盲導犬になるまで

●盲導犬に向いている犬種

盲導犬になる犬種で、現在日本で採用されているのはラブラドールレトリバーかゴールデンレトリバーがほとんどです。その他の犬種としてはシェパードやゴールデンとラブラドールとの交配犬「F1」なども活躍しています。レトリバー種が多く採用される理由としては、おとなしく従順で、人間が大好き、仕事も大好き、そして警戒心や闘争心を見せることがないという性格の点からと、人間を誘導する上で身体の大きさや力加減がちょうど良く扱いやすいといった点があります。しかしながら、これらの犬種の犬ならすべて盲導犬に適しているというわけではなく、より盲導犬に適した子を増やすべく、素質のある血統を持った親犬同士を使っての計画的な繁殖が取り組まれています。

●盲導犬の条件

盲導犬に求められるのは、まず第一に仕事が好きであること、そして何より人間が大好きであることが重要です。また、人の言うことをよく聞くけれど危ない時には命令通りに行動しない、臆病過ぎず見知らぬ場所に行っても落ち着いている、他の動物(犬、猫、鳥など)に対して気が散らないといった、優れた判断力や集中力、記憶力などが求められます。

●リジェクト犬

どんなに良い父親と母親を選んでも、必ずしも盲導犬としての素質を備えた子犬が生まれてくるとは限りません。ある程度成長してからでないと、盲導犬に向いているのか向いていないのかは分かりませんから、様々な適性検査を受けてみて初めて不向きと決定することもあります。こうして、適性検査にパスできなかった犬のことを「リジェクト犬」といいます。しかしながら、リジェクト犬は盲導犬としての適性に十分に満たなかったということであり、素質全般が劣っているということではありません。一般にリジェクト犬は、パピーウォーカーや一般の希望者に引き取られることが多いですが、キャンペーン犬として盲導犬協会に残って盲導犬啓発活動で活躍したり、最近では一般家庭に引き取られた犬の中でもセラピー犬として老人ホームや介護施設で心のケアに役立っている例もあります。

●「盲導犬」と「ユーザー」

盲導犬希望者は、盲導犬協会で二人(一人と一頭)、寝食をともにしての訓練を4週間行います。いわゆる「共同訓練」です。さまざまな喜びや苦難の壁をいっしょに経験しながら、お互いを信頼できるパートナーとして認め合うためのとても大切なものです。そしてこの共同訓練を修了して初めて、「盲導犬」と「ユーザー」になることができるのです。

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