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他の犬に対して吠える理由は、気が強い、逆に気が弱いので他の犬に近くに来てほしくない、一緒に遊びたくて興奮しているなど、さまざまなケースが考えられます。一概にどのケースなのか特定しにくいうえ、どの解決策が効果的かは個体差もあるので、いろいろな方法を組み合せて試しながら解消していきましょう。
散歩の途中、犬を飼っている家の前を通ると、お互いに吠えあってしまうような状況はありませんか。相性の悪い犬が居ると分かっていれば、なるべくその家の前を通らないようにし、どうしても通らなくてはいけないときには、その家に近付くにつれ、直進せずに道の反対側に半円を描くように逸れていきます(左図参照)。同時に自分の犬に声をかけ、おやつなどで気を引きながら通り過ぎるとより効果的です。
他の犬とすれ違う場合には、飼い主が構え過ぎず、スタスタと歩き続けます。このときにリ-ドをクイックィッと引っ張ってはいけません。飼い主がけしかけているように受け取る犬もいるからです。もし吠えそうになったらすかさず「オスワリ」「フセ」などをさせて気を引き、上手にできたらごほうびを。こうしているうちに相手の犬をやり過ごします。
気の強い犬なら散歩用のリ-ドをジェントルリーダーに変えてみるのもいいでしょう。頭部がコントロールされ、それだけで吠えるのが軽減される場合もあります。また、ケース2に出てきた天罰を与える手もあります。吠えると振動したり、エアースプレーが噴射される首輪など、市販の商品で試してみるといいでしょう。ただし、この方法で効果てきめんの犬もいますが、臆病な犬には使いすぎると逆効果の場合もあるので注意が必要です。
他の犬に吠える理由は、根本的には子犬のころの社会化不足が原因になっていることが多いのです。ワクチン接種が終わった4ケ月くらいから2、3歳の間にたくさんの犬に会うようにしたいものです。そのためにも1日に最低2回は散歩に出るようにしましょう。また、管理の行き届いた環境で他の犬と交わることができるしつけ教室に通うのもおすすめします。一説には子犬の社会化には1週間に延べ30頭の犬に出会うのが理想といわれているくらいです。なるべく暮らしの中でいろいろな犬に出会える機会をつくるようにしましょう。
また、子犬のときからぜひ習慣付けておきたいのが、吠えていないときにほめることです。たとえば、子犬と一緒に散歩をしていると、犬が前方に人や自転車を見つけて、ふっと飼い主のほうを見上げることがあります。そのときにすかさず「自転車が来てるね。吠えないで教えてくれたんだね。ありがとう、えらいね」などと言い、言葉やフードでほめます。吠えなかったらほめられることを学習させるのです。
すでに成犬の犬でもあきらめなくても大丈夫。さきほどジェントルリーダーを着けることをおすすめしましたが、着けた直後はテンションが下がって人間がリ-ドしやすくなり、一時的に成犬でも子犬と同じような性質になります。そこで、あたかも子犬と散歩しているつもりで、一から社会化をやり直してみましょう。
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