健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

猫を新しい環境に適応させる

■多頭飼育について

もうすでに複数の猫を飼っている場合には前述のことを参考にさらに慎重に考える必要があります。
限られたスペースで、あまりたくさんの猫を飼うことはお薦めできません。猫の数が増えるに伴って、猫同士のケンカや不適切な排泄の問題が発生しやすくなるからです。これは飼い主にとって不都合なだけでなく、猫にとってもストレスがたまっている状態なのです。
あなたが道端のかわいそうな猫をほおっておけない優しい方なら、なるべくその猫のために良い飼い主さんを探してあげましょう。猫の精神的ストレスの問題ばかりでなく、伝染病を持ち込む危険性もありますし、きちんとしたメディカルケアをしていくには経済的負担や、肉体的負担も大きくなってしまいます。

■実際に新しい猫を家に連れて帰るとき

新しい猫をあなたの猫にすぐに引き合わせることは避けましょう。

まずあなたの猫が普段あまりいない場所(すなわちなるべく縄張り意識を刺激しない場所)にケージを置き、新しい猫を入れてしばらく隔離します。
健康診断やワクチンの済んだ猫を譲り受ける場合はよいのですが、そうでないなら、この間にまずこの猫の健康診断をしてもらいましょう。健康診断をした猫でも、環境が変わると病気にかかりやすくなりますから、様子を十分に観察してください。病気の猫を連れて帰ったために、家の猫に伝染病がうつってしまったりすることがないように気をつけましょう。

この隔離期間中には猫はお互いの匂いに慣れ、次第に相手に興味を持つようになります。これがあいてを認める第一歩になりますから、あせらず慎重に猫自身の意志で近づいていくようにして下さい。前からいる猫が新しくきた猫に『シャーッ』と威嚇の声をあげるかもしれませんが、これは普通の反応です。叱りつけたり、無理やりに仲良くさせようと引き合わせたりするのは逆効果です。
猫の様子を見ながら新しい猫のケージを移動させたり、ケージのそばに前からいる猫の好物を置いてみても良いでしょう。また前からいる猫の匂いを付けたりして、少しずつ慣らしていきます。

監修:もみの木動物病院 村田香織先生

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