健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

猫を新しい環境に適応させる

猫が新しい環境を快く受け入れてくれるかどうかは、遺伝的素因と社会化期の環境が大きく関わってきます。
猫の社会化期に最も重要な時期は、生後2週間目頃から2ヶ月頃といわれ、この時期に自分の仲間である猫や、人あるいは犬などの多種の動物、周囲の環境などに適応する能力を身につけます。この幼い時期にいろいろなものに慣れることで、その後に起きる様々な生活環境の変化を受け入れ易くなるのです。
確かに社会化期の初期はまだ警戒心がなく、様々なものに比較的簡単に慣らすことができます。

そして年齢とともに見知らぬものに対して警戒心が強くなったり、慣らすことが難しくなってきます。したがって、猫をいろいろなものに慣らすには、できるだけ幼い時期がチャンスなのです。ただ、子猫の社会化のためであっても、あまり早い時期から母猫と離すことは情緒不安定になり易く、また猫同士の社会化を妨げるためお薦めできません。

■もう一匹猫を飼う

HELLO!

長い間、猫は単独生活をする動物で、おとなになれば、繁殖期以外は一匹でいることを好むと考えられてきました。しかし現在では考えられていたよりずっと社会性があり、のら猫でも社会的相互作用のある集団を作ることがわかってます。人には人のつきあい方があるように、猫には猫のコミュニケーションの手段があります。人間が向かい合ってお茶を飲んだりおしゃべりしたりするように猫は追いかけっこをしたり、互いに毛ずくろいをしたりするのです。したがって、今飼っている猫の友達に、と考えるなら、もっとも適しているのは猫なのです。
ただ注意しなければいけないのは、社会化期のところで述べたように、あまりにも早い時期に母猫や兄弟猫と離ればなれになって人間に育てられた猫では、猫同士の社会化が十分できていないために、他の猫を受け入れにくい場合があります。また人にはわからない相性の問題もありますから、新たに猫を家族の一員として迎えるにあたっては、慎重にしなければいけません。

■今いる猫が子猫の場合

もっとも良いのは、最初から二匹の兄弟猫をもらってくることですが、あなたが今飼っている猫が子猫で新たに飼う猫も子猫なら、まず心配はいりません。すぐに仲良くなり、一緒に走り回ってあなたを楽しませてくれるでしょう。ただしこの猫が雄同士の場合には、性成熟に伴ってケンカを始める可能性もありますので、早めに去勢しておくと良いでしょう。

■今いる猫がおとなの場合

あなたの猫がもうすでにおとなであれば、まず猫との社会化ができていることが必要です。つまり社会化期に十分に母猫、兄弟猫やその他の猫との接触があった方が良いわけです。他の猫との社会化ができていない猫は、新しく猫を飼うとなかなかうまく受け入れてくれない場合が多いため、猫同士の家庭内不和で心を痛める結果になりかねません。
どちらかというと雄同士より雌同士か、雌と雄との組み合わせの方がうまくいく可能性は高いと思います。また新しく迎え入れる猫は子猫の方が良いでしょう。特に子育ての経験のある猫ですと、子猫を自分の子供のように可愛がることもあります。雄同士の場合は、性成熟に伴って様々な問題を引き起こす可能性もありますので、早めに去勢しておくと良いでしょう。

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