健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

犬と遊ぼう 持ってこい・フリスビー・匂いの識別

柿沼ペット病院 柿沼 綾子先生

 犬と遊ぼう第5回目の今回は「持ってこい」を利用した遊びです。

教えるのに少々手間がかかりますが、できたらこんなに楽しいものはありません。いくつかのステップをあせらずにこなしてゆきましょう。

遊びなのだからやさしく接して

まず、一番初めに「オイデ」の遊びを何度も繰り返し、犬が確実に喜んで人間のそばに戻って来るようにしておきます。それと同時に、犬が顔、とくに口吻や口の中をさわられても平気なように馴らしておきます。全身を撫でてあげながら鼻づらもさわる、口の中に指を入れ、次にフードを与えるなどして、馴らしてゆきます。この時、自信を持ってやさしい態度で犬を扱ってください。

まずは持ってきたら褒めてあげて

「持ってこい」の上級編です

「持って来い」を犬に教える時、たいていの人がつまずくのは、『犬がくわえた物を離さない』です。

これを防ぐためには、紐のついたボールやコングを使うと良いでしょう。

 犬のすぐ近くで紐を通したコングをブラブラさせ、犬にコングをくわえさせます(このときコングにチーズなどを塗っておくと良いかもしれません)。犬がコングをくわえたら、紐の端を持ったまま、すぐ「ちょうだい」と言います。犬がくわえている物を持って逃げようとしても、紐の端を持っていれば、逃げられる心配はありません。このとき注意して欲しいのは、無理に犬の口からコングを引き出そうとしないこと。犬はくわえている物を奪われそうになると、取られまいとかえって顎に力を入れます。

 ゆっくり、やさしくコングのすぐ近くの紐を握って(このとき、手の中にフードを2~3カケラ隠し持っていると良いでしょう)、犬が自分から口をあけるのを待ちます。

犬がコングを離したら、すぐに褒めて、フードを与えます。

このように、まず犬に「くわえている物を人に渡せばとても褒められるし、ご褒美ももらえる」と覚えさせます。

次は遠くへ物を投げて、持ってこさせる遊びです。

よく、初めから思いっきり遠くにボールなどを投げて犬に取りに行かせる人がいますが、"持って来い遊び"のルールをまだ良く知らない犬は、ボールを追いかけているうちに興奮してしまって、ボール相手に一人遊びを始めてしまい、誰かにボールをわたすなんて嫌なこと、と思ってしまいます。

また、狩猟本能の強い若犬の中には、動く物を追いかけ続けると興奮しすぎて人がコントロールできなくなってしまう犬もいます。落ち着いた犬が好みなら、置いてあるボールを取りに行かせたり、投げるスピードをゆっくりにしましょう。初めのうちは、犬があまり興奮しないように、短い距離で遊びましょう。

 犬と一緒に楽しめる遊びは無限です。いろいろ遊んでみて、自分の犬はどんなことが得意か見極め、才能をのばしてあげることもできます。しかし、犬があまりのってこないようだったら、無理強いしないほうが良いでしょう。そんな時は、犬が楽しくなるように工夫して、時々短い時間試してみてください。

 もっと犬との暮らしを楽しむために、みなさんも色々チャレンジして下さい。

次のページでは具体的な遊びをご紹介します。

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