健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

肥満について

肥満の治療方法は?

 肥満の治療には、運動量を増やすこと、そしてカロリーの摂取量を減らすことが必要です。肥満の治療は獣医師の指導のもとで実行します。

しかし、実際に肥満を治療していくのは、毎日、愛犬・愛猫たちと一緒に暮らしている飼い主さんです。大切なのは治療を成功させるという飼い主さんの固い決意と家族全員の協力なのです。

■運動量を増やす(消費エネルギーを増やす)

・犬:散歩中、早足で歩いたり走ったりする。散歩の距離を長くする。

・猫:おもちゃで遊んであげたり、登り降りできるような高低差のある遊び道具を置いておく。

などの方法があります。ただし、著しい肥満、心疾患、呼吸困難などがある場合には、運動にも制限がありますので、獣医師に相談しましょう。

■食事の対策

先述の運動量を増やす方法は、実際には実行が困難な場合が多く、主に処方食を用いた食事による治療が中心になります。

ただし、急激な減量は愛犬や愛猫ヘの負担も大きいため、 時間をかけて行わなければいけません。特に猫の場合は、2~3日の絶食状態が続いてしまうと、肝臓の障害が起こる場合がありますので、食事療法には注意が必要です。フードの種類や方法は動物病院で獣医師に十分に相談してください。

1.肥満用の処方食を使用する

 処方食とは、特定の疾患の管理、または予防のために特別に栄養成分を処方調整した食事のことをいいます。

肥満用の処方食はバランスがよく、高繊維質、低カロリー、低脂肪で空腹感を感じることのないようできています。この処方食は動物病院でしか入手できませんが、現在では、種類も豊富に用意されていますので、何種類か試してみればいいでしょう。

この場合も、決められた特別食以外の食べ物は絶対に与えてはいけません。おやつももちろん禁止です。また、他のペットと―緒に食事を与えない、家族が食事中の時は別の部屋に連れていく、給餌回数を多くし1回に与える量を減らすなどの工夫も必要になります。

2.食事は時間と場所を決めて与えましょう

いつでも食べられるようにと食べ物を食器に入れたまま出しっ放しにしておいてはいけません。

衛生的によくないだけでなく、犬や猫にとっても「誰から食べ物を与えてもらうのかわからない」といったしつけの点からもマイナスです。そして、どれだけ食べたのか(残したのか)、食欲の増減を知ることもできません。食事を与える時間・場所・回数・量をあらかじめ決めておき規則正しく与えるようにしてください。

 規則正しい食事の習慣は、発育期の子犬・子猫の時期に肥満体質にさせないためにも 大切です。

3.定期的に体重を測りましょう

 月に1回は、体重を測り記録しておきましよう。

体重を記録しておけば、減量の進み具合(逆に増加している場合も)が判ると同時に、飼い主さん自身の励みにもなります。