健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

肥満について

肥満について

「肥満」てなんだろう?

 肥満とは体脂肪が過剰についた状態のことをいいます。

 適性体重の15%を越えると、動物の健康上、様々な問題が生じてくるため、治療 (減量) の必要があります。

 肥満には2段階あり、カロリー摂取量が工ネルギ―消費量を越えている初期段階の肥満と、カロリー摂取量とエネルギー消費墨が等しく、超過体重が維持されている安定段階の肥満とがあります。

肥満のおこる原因は、飼い主さんにあります。

 あなたの愛犬や愛猫たちに「ちょーだい」とねだられると、ついつい必要以上におやつ(ジャーキー類、人間の食べ物など)を与えていませんか? 確かに、かわいい犬や猫たちが喜んでおいしそうに食べる姿を見れば、幸せを感じるでしょう。しかし、結果的にはその行動や考えが、愛犬・愛猫たちの健康を害することにつながるのです。

 好物の食べ物を与えることだけが、あなたの愛犬や愛猫ヘの愛情表現ではありません。

肥満の最大の敵は、間食(おやつ)です。

肥満の原因
  • 過食(食べすぎ)によるもの
  • 運動不足によるもの
  • 高カロリー、高脂肪の食事の摂りすぎによるもの。
  • 病気によるもの(ホルモン異常、満腹中枢の異常、脳腫瘍など)。
  • 去勢・避妊手術によるもの(去勢・避妊手術を受けた動物は運動量の低下や行動の変化により、肥満になる傾向がみられます)。

 家族の食事中、ちょこちょこ人間の食べ物を貰う(与える)ような習慣はありませんか?人が口にする食べ物を欲しがったり、ねだったりしませんか?ちょっとした量でもこの積み重ねが肥満のもとになります。

 また、人間にとっては問題のない、普段口にするものでも、他の動物にとっては大変有害な食べ物(例えば、タマネギやチョコレートなど)もあります。ベット用のおやつ類(ジャーキー類など)は、塩分が高いため与えないほうがいいでしょう。しつけ時にご褒美として少しずつ与える程度にしておきましょう。

肥満によってどんな影響があるの?

 肥満は寿命を縮め、以下のような色々な病気の原因となったり悪症状が起こります。

  • ・呼吸器官ヘの負担が増加。
  • ・循環器官ヘの負担が増加。
  • ・脂肪肝がつきやすくなる(これは特に猫に多く、症状が進行すると死に至る病気です)。
  • ・手術時の危険性の増加。
  • ・耐暑(熱)性の低下。
  • ・糖尿病。
  • ・皮膚炎、難産など。

愛犬・愛猫の体重を計ってみましょう。

 犬の場合であれば犬種ごとに「標準体重」とよばれるものがあり、例えばゴールデンレトリバーのオスならば29.5~32kgメスならば25~28Kg、シベリアンハスキーのオスならば20.1~27kg、メスならば16~23kgといった具合に関連の本や雑誌などでも紹介されていますので一度調べておくと良いでしょう。

 しかし、この標準体重はあくまでも目安に過ぎません。同じ犬種でも大柄な犬も小柄な犬もいます。例えば小柄な犬であれば標準体重は軽くなるわけです。

 しかし、まずは愛犬・愛猫の体重を計っておき、大体の状態を知っておきましょう。以下に簡単に自宅でできる体重の計り方を紹介しておきます。しかし、正確な体重は動物病院で調べてもらってください。

【めやす体重の計り方】

まず、抱きかかえて一緒に体重計に乗ってみましょう。その時に一緒に自分の体重も計っておきます。

一緒に計った重さから自分の体重を差し引けば愛犬・愛猫の体重が分かります。

うちの子は肥満?

 自分のペットが肥満していることに気がついていない飼い主さんもいます。あなたの愛犬・愛猫はどうですか? 以下の要項でチェックしてみましょう。

あなたの愛犬・愛猫は大丈夫?

やせ過ぎの場合…

  • ・手で胸をさわると肋骨のごつごつとした感じがはっきり伝わってきます。
  • ・上や横から見た時、極端にウエスト部分がくびれて見えます。

理想的な場合…

  • ・適度に皮下脂肪があり、肋骨に触れることができる。

太り過ぎの場合…

  • ・脂肪が厚く、肋骨に触ることができません。もしくは触っても肋骨がわかりません。
  • ・腰の部分にくびれがありません。
  • ・お腹が横に張り出して、下に垂れています。
  • ・腹部は脂肪で盛り上げって見えます。
  • ・頭部が小さく見え、全般に動作が鈍くなっています。

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