健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

犬や猫のガンについて

それで…「ガン」は治せるの?

ガンを治すことは人類の長年の夢です。そのために世界中の科学者が日夜研究を続け、そのおかげでなんとかガンを治すことができるようになってきました。

 このことは犬や猫のガン治療にも反映され、現在人間で行われている治療の主なものは動物でも行えるようになっています。直接ガンを取り除く外科治療、放射線治療、薬でガンをやっつける化学療法、自分の免疫力を上げてガンをやっつける免疫療法など、私たち獣医師はこれらの治療法を駆使し、動物のガンと闘っています。したがって最近は、犬や猫でも治るガンも増えてきました。

 しかし、ここで人間の医療と獣医療の決定的な違いがあります。

 そもそも人間の医療は一日でも長く生きることを目的とした延命治療から発生しています。したがって入院して強力な抗ガン治療を行ってでも、ガンを治して長生きをさせようとします。

 しかし獣医療では動物の生活を犠牲にしてまでも強力なガン治療を行うことはしません。言いかえれば、長い間入院してチューブにつないで長生きさせることは望んではいないのです。

 もちろん獣医療でも延命をめざし治療を行いますが、本来の目的はクオリティオブライフ(生活・生命の質)の向上を重視しています。

 簡単にいうと、苦しんで長生きするより、長く生きることができなくても楽しく毎日をおくれる治療を行うということです。 動物の一日は人間の一日と同じではありません。私たちの80年を彼らは15年に濃縮して精一杯生きています。

 その一日一日を私たち人間は大事にしてあげなければなりません。

うちの愛犬は大丈夫?

麻布大学附属動物病院腫瘍科での腫瘍発生統計によると、ガン発生の平均年齢は約9歳で、6歳から12歳での発生が多く見られています。愛犬が6才を越えたら、体のどこかにしこりはないか定期的に全身をさわってみてください。しこりを見つけたら、まず獣医さんに診察してもらってください。

 今ある小さなしこりがたとえ数年前からあったとしても油断してはいけません。それが突然ガンになり大きくなることがあるのです。

 また、おなかの中のガンや血液のガンは見てもわかりません。おまけに、ガンというものは痛みを伴うものは少なく、知らないうちに大きくなっていくのです。愛犬も7才を超えたら定期的に血液検査などの健康診断をおこなったほうがよいでしょう。

 先にも延べたように、治るガンも増えてきているのです。治るガンとは、発生してまだ進行していないガンのことです。どんな悪性のガンでもそれが周りに広がっていなくて、ある一部分だけにとどまっている場合は治る可能性は十分にあるのです。ガンだからといってあきらめてしまうには早すぎます。小さなガンなど恐くはありません。

 どうか、小さなうちにガンを見つけて私たち獣医師に診せて下さい。

 小さければ治る可能性もかなり高くなりますし、それを治すために私たちは毎日がんばっているのです。

 しかし、治る段階のガンを最初に見つけられるのは飼い主さんです。勇気を持って愛犬と一緒に私たちを訪ねて下さい。