健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

「人と動物の共通感染症」 基礎知識編

人と動物の共通感染症 予防のチェックポイント

「うちのワンちゃんや猫ちゃんは大丈夫かしら?家族の人に病気をうつしたりしないかしら?」と心配したり不安な気持ちを持つ前に以下のことを守ってください。


チェックポイント1

愛犬・愛猫たちの健康管理は十分に心がけていますか?定期的な健康診断はとても大切です。病気の予防(狂犬病や伝染病のワクチン注射、ノミ・ダニの駆除やフィラリアの予防薬など)は万全にしておきましょう。

また、シャンプーや入浴などで、犬・猫の体や被毛も清潔に保ってあげてください。


チェックポイント2

自分が使っているおハシやお皿で、食べ物をあげたり、口移しで食べ物を与えたりすることはしてはいけません。

 「愛犬や愛猫へのキスは愛情の表現だからいいじゃない」と思われる方もおられますが、人と動物の共通感染症のなかには動物自身は病原体を保有しても無症状である場合もありますので、過度な接触を避けることが予防には大切です。


チェックポイント3

庭のガーデニングなどで土を触った後は必ず手を洗いましょう。もちろん子供たちも同様に、公園の砂場で遊んだあとや食事の前には必ず手を洗う習慣を身につけさせておきましょう。

 また、犬や猫の排便を始末する時も素手で触ったりしないように工夫しましょう。


チェックポイント4

散歩の時は犬が落ちているものを口にしたり、水溜まりの水などを飲んでしまわないように気をつけましょう。そして散歩の後、家に犬を入れる時は、ブラッシングをし、足もきれいに洗ってあげましょう。特に草むらや森・林の中などを歩いた後はダニなどの寄生などないか、注意してみてあげてください。


チェックポイント5

愛犬・愛猫の首輪やおもちゃ類、ベッドなどはこまめに洗って清潔にしておきましょう。普段使っている食器も食べ残しのフードはすぐに片づけて、いつも清潔にしておいてください。

 部屋の抜け毛なども「犬や猫がいるからしかたないわ」と考えずに、こまめに掃除を行い、犬や猫と一緒に暮らすからこそ清潔な環境をつくるようにしていきましょう。


チェックポイント6

自然が多く残っている場所に旅行やドライブなどで行った際に、キツネやタヌキなどの野生動物に出会っても、撫でたり触ったりしにいかないように。生水や山菜なども十分過熱し、調理するなどして、そのまま口にはしないでください。また、蚊やダニに刺されたり咬まれたりしないよう注意しましょう。


チェックポイント7

猫自身の健康と病気予防のためにも、できるかぎり室内飼いで育ててください。また、食事に牛肉を与えることは避けてください。もちろん、室内飼いの場合も、ノミなど外部寄生虫の予防や駆除、ワクチンなどメディカルケアはしっかりおこなっておきましょう。


今回紹介したもの以外でも、BSE(狂牛病)や鳥インフルエンザなども新聞やニュースで話題になりましたし、西ナイル熱(蚊によって媒介されます)や猿からうつることで注意が必要なエボラ出血熱なども人と動物の共通感染症に含まれています。

 現在、動物や植物、食料など多くの物が頻繁に海外との間で輸出入されています。海外で発生した人獣共通感染症についても「遠い別の国の話」ではなくなってきています。

 私たち自身が、かわいい愛犬や愛猫たちとの暮らしをより快適に安全に過ごしていくためにも、人と動物の共通感染症に対する正しい知識と理解を持ちましょう。

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