健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

老齢犬・老齢猫と暮らす

快適なシニアライフのために…

環境をチェックしよう!

1、温度、湿度を快適に

 体の機能が衰えてくると、暑さ・寒さは以前よりも辛いものとなってきます。高齢であれば、快適な温度・湿度のもとで過ごさせてあげましょう。

 愛犬や愛猫のよくいる場所で温度をチェックし、冷房時であれば27度前後、暖房時であれば20度前後にしてあげると良いでしょう。湿度は60%前後が快適となります。人間とほぼ同じですね。

※室温を調節しにくい時や暑がり・寒がりのペットのために冷却マットや保温マットを用意し、自由に行き来できるようにしてあげるのも良いでしょう。

 室外飼育では室温の調節はできないですね。こんな場合には、季節に応じて日陰や風通しを考慮し、犬小屋の中に保温・保冷素材のものを入れてあげるのも一つです。

2、プライベートと衛生面を重視して

 高齢になると眠っている時間が長くなり、体の抵抗力が低下してきます。このため、ある程度目が届く範囲に愛犬・愛猫がゆっくりとくつろげる場所を用意してあげます。寝具・敷物は通気性がよく、適度な弾力があるものを選び、常に清潔にしておきましょう。

 特に、病気の場合には普段より汚しがちなので、丸洗いができるもの、あるいは汚れが簡単に拭き取れるものが望ましいですね。但し、タオルなどのパイル生地は爪を引っ掛けてしまうことがあるので、タオルを使う時は綿などのシーツでくるんでから使用すると事故を防ぐことができます。(爪もこまめに切りましょう!)

3、段差少なく、時に手助けを

 段差の昇り降りは関節に負担がかかります。特に降りる時の方が、関節への負担が大きくなります。高齢になれば関節のクッション機能が低下し骨に衝撃が伝わりやすくなるため、ジャンプや階段の昇り降りは関節を痛める原因にもなりかねません。椎間板疾患や関節疾患を持っていればなおさらです。

 症状が現れていてもいなくても、高齢ペットのためにはできるだけ段差を少なくするようにしてあげたいものですね。バリアフリーとはいいませんが、できる範囲で工夫していきましょう。

※猫では高齢になると肥満が原因で関節を痛めることがあるので、肥満傾向の場合は減量を心がけましょう。(猫は少々太っていても平気で高い所からジャンプしてしまいますから)

体を清潔に!

 高齢になると、毛の抜け代わりがだらだらと長く続いてしまったり、グルーミングを余りしなくなったりしてしまいます。体の免疫能力も低下しがちで、体が汚れていると、そこが蒸れ、病原菌が侵入し皮膚炎を起こしてしまうことがあります。

 それを予防するためにも日々ブラッシングをし、時には入浴させてあげましょう。体が大きくて、あるいは入浴嫌いだから、というのであればブラッシング後に人肌程度に冷ました蒸しタオルを使って表面の汚れを取ってあげるだけでもかなり違ってきます。

 今は犬猫用のドライシャンプーや衛生グッズが色々あるので、これらを試してみるのも良いでしょう。

食事の内容をよく考えて!

 医食同源と言われているように、食事は体の基本です。実際に病気の症状に合わせた食事(処方食)は病気の進行を遅らせたり、回復を助けたりします。

 年齢に合った、また個々の体質にも合う食事を与えるようにしましょう。ただし、高齢動物の多くは肥満傾向となりがちです。くれぐれもカロリーオーバーとならないようにご注意を。

 ペットフードは多くの会社が研究し作り出しています。手軽で、かつ栄養バランスが取れているのでお勧めですが、誰にでも、どの製品も合うという訳ではありません。

 毛並みや体調、排泄物の状態から愛犬・愛猫それぞれに適しているものを選んでいくと良いでしょう。

 手作り食も栄養バランスがとれ、体にあっているようであればチャレンジしてみるのも楽しいかもしれませんね。

 どちらにしても、与え過ぎは禁物です。肥満は万病のもとですからね。