健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

猫ちゃんの困った行動 人間に対する攻撃性part2

「愛猫のココ困ってます!」質問&回答

Q初めまして。
私の家で飼っている「さくら」という猫のことなのですが、なでていると突然噛みついたり、引っ掻いてくるんです。子猫の頃主人が手でじゃれさせたり咬ませたりしていたので、咬み癖がついてしまったのでしょうか?
 なでている時だけでなく、たまに触ろうとしただけでも噛み付いてくるときがあります。この癖は直すことができるでしょうか?

A多くの猫はしつこく撫でられたり、触られたくない場所を触られたりすると咬むことがあります。またおっしゃるように、飼い主がその行動をさらに強めてしてしまう場合もあります。特に子猫の時期に人の手を咬む事を遊びとして教えてしまったような場合には、これを治すにはかなり根気よく取り組む必要があるでしょう。
最初は顎の下やおでこなど猫が嫌がらない部分だけを撫でるようにします。こちらから撫でる時には機嫌が良い時や、落ち着いている時に短時間のみとします(最初はほんの数秒で十分です)。撫でる時に、好物をあげたり、食事中に軽く撫でたりするのも良いでしょう。このようにして、人間は噛む対象ではなく、おいしいものをくれたり、やさしく撫でてくれたりする対象であると猫ちゃんの認識を変えていく必要があります。
ただし、これは今まで以上にさくらちゃんを触る機会を増やすという意味ではありません。そうすれば今以上に攻撃的になる機会を増やしてしまうでしょう。むしろ人間側から頻繁にアプローチするのは止めて、さくらちゃんから甘えて来た時に撫でてあげるようにする方が良いでしょう。
撫でている間に、もしさくらちゃんが噛み付いてきても、叱ったり叩いたりするとますます人間の手を攻撃の対象と考えるようになります。噛み付く前にイライラした様子でしっぽをパタパタしたり、表情が変わるなどの変化が見られるはずですから、噛まれる前に止めるようにしましょう。 撫でられる事に慣れてきてから、少しずつ撫でる機会を増やしたり、撫でる時間を伸ばすようにすると良いでしょう。
時間がかかると思いますが、根気良くやさしくいままでとは違う人間との付き合い方を教えてあげて下さいね。

最後に

休日の昼下がり、こうしてパソコンに向かって原稿を書いている間、我が家の猫たちは私の側にある椅子や床の上で思い思いの格好で眠っています。時々疲れると一匹、一匹に目をやり、気持ち良さそうな寝顔にちょっと手を伸ばして少し撫で、一息ついてはまた仕事を続けます。

猫は犬のように愛嬌たっぷりの笑顔でシッポを振りながら飼い主を見つめたり、号令に従ったりする事はありません。それでもつかず離れず気がつけば側にいて、何もしてくれるわけではないけれど、ただ眠っている猫を見ているだけで気持ちが和むものです。

次回、人に対する攻撃性のパート3は頻繁に起こるものではありませんが、最も深刻な怪我の原因になりやすい転嫁攻撃などの問題についてお話する予定です。

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