健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

猫ちゃんの困った行動 人間に対する攻撃性part2

撫でている時の攻撃性

撫でている最中に、猫ちゃんに突然噛み付かれたり、引っ掻かれたりした経験が誰にでもあると思います。これに対して応戦したりしなければしつこく攻撃する事はなく怪我をすることもあまりありません。ただし愛情を込めて撫でている最中に突然攻撃されるわけですから、飼い主にとってはなんだかショックですね。

本来猫は、あまり長いあいだ撫でられたり抱かれたりすることを好みません。短時間であれば我慢していますが、我慢の限界を越えると噛み付いたり、猫キックをしかけてきます。特に子猫のときからあまり人が触れる機会がなかった猫ではその傾向が強いようです。

また撫でられる部位によっても違いがあり、頭部や喉のあたりを触られるのは好きで、長い間撫でたり掻いたりしても平気ですが、お腹のあたりは短時間でも嫌がり、咬んだり引っ掻いたりします。

もちろん個体差があり、短時間でも抱かれたり、撫でられたりするのがイヤな子もいれば、長い時間抱かれたり、撫でられたりするのを楽しんでいる子もいます。またもともとは撫でられるのが嫌いな子でも、撫でられる事に慣れ、撫でられることが気持ち良い事であると学習すれば、やがて撫でられる事を楽しむようになる場合があります。 逆に撫でられる事が嫌いではない子であっても、無理やり抱いて撫でたり、毛玉がある場所を強くブラッシングするなどして痛い思いをしたりすると触られる事が嫌いになってしまう事もありますので、日頃から猫ちゃんの様子をよく観察するとともに、猫ちゃんにとっても快いふれあいを心がけてくださいね。

対処法

猫のボディランゲージに注目してみてください。突然攻撃してくるように見えても実はその前に必ず警告を発しています。耳を平らにしたり、しっぽをパタパタさせたり、後ろ足であなたの手を払いのけようとしたりするのは「もうたくさん!」という合図です。残念ですがそこでストップしましょう。

猫のこの合図を無視してしつこく撫でたり、攻撃されたことに腹を立てて叱ったりすれば、かえって猫が興奮してひどく攻撃してきたり、ますます触られる事を嫌がるようになってしまうだけです。しつこく撫でられるのを嫌がる事は、飼い主さんへの愛情不足というわけではなく、猫という動物の習性だと考えてください。ベタベタするわけではないけれど、つかず離れず、気がつくとあなたの近くにいる。それが彼ら流の愛情表現なのです。

それでも通常は人間との付き合いが長くなるに連れて、撫でられることにも慣れてくるようです。猫の表情をよく観察し、猫ちゃんが気持ち良く撫でられる場所や撫で方を工夫しましょう。嫌がる時にはむりに撫でず、少しずつ慣らして行くことです。

また好物をあげながら撫でるようにするのも良いでしょう。猫とうまく共存していくコツは、まず猫が我々人間と全く異なる習性を持った生き物である事を認めてあげることです。

自分の思いを押しつけるのではなく、相手の個性を尊重して、より良い関係を築いていきましょう。


「愛猫のココ困ってます!」質問&回答

Qはじめまして。6歳になる雌のチンチラ(名前:コロ)の事でご相談があります。以前私は1人暮しをしていて、その時からコロを飼っていました。性格は大変おとなしいと言うか、知らない人が来るといつも隠れているような感じでした。1年程前に結婚をしたのですが、主人を異常に怖がってしまうのです。主人が触れようとすると「フーッ」と威嚇して引っかいたりします。
一番の問題は私が留守中に主人と二人になった時、目が合うだけで威嚇し、その場でおしっこやウンチをもらしてしまう事です。 毎回の事で大変困ってしまい、今は留守にする時はゲージに入れて主人と顔を合わさないようにしておきます。
初めてそうなった時は、主人がだっこしようとすると威嚇して逃げてしまい、それを再度だっこしようとした時ウンチをしてしまったらしいのです。私も一緒の時は、おもらしはしないのですが、主人には相変わらず全く寄りつきません。このままでは主人もコロもストレスが溜まってよくないと思うので何とか仲良くさせたいのですがいい方法はないでしょうか?

Aこんにちは。ご主人はコロちゃんと仲良なろうとしてされた事なのですが、ジッと見つめることも、声をかけることも、人間側から近づくことも、もちろん無理に抱こうとする事も当分の間はやめた方が良いでしょう。人間にはそのつもりが全くなくても猫ちゃんは自分が襲われると勘違いしてしまうのです。以前に無理にだっこされた事はコロちゃんにとっておもらししてしまう程、恐い出来事だったのでしょう。時間をかけて、信頼を取り戻す必要があると思います。
コロちゃんが緊張した様子になる距離(たとえばコロちゃん自身から半径2メートルの距離など)を確認して、当分その範囲内にはご主人の方から入らないようにしてください。もしコロちゃんが自分から近づいて来た時には、さりげなく目をそらし、しらんぷりしてもらって下さい。そのことによってコロちゃんを襲うつもりはないよと伝えてあげるわけです。
そしてコロちゃんの食べ物はご主人から与えてもらうようにします。最初はフードや好物をコロちゃんのそばにそっと投げてみるか、スプーンに乗せて静かに差し出してみても良いでしょう。この時も目を見ず、声もかけないでください。さらに慣れれば、手のひらに好物を乗せてあげてみましょう。
もっと慣れてくれば静かに声をかけたり、目を合わせたり、顎や額の部分などを触っても良いでしょう。あくまでコロちゃんの様子を見ながら、怖がっているようなら無理強いはしない事です。
いつか必ず心を開いてくれる時が来るでしょう。あせらず、時間をかけて良い関係を築いてくださいね。