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ミサワホームの「犬と暮らす家づくり」に学ぶ

ミサワホームの「犬と暮らす家づくり」に学ぶ

人と犬のストレスを解消する、住まいの工夫

 人間の現代病として注目されている「ストレス」と「肥満(メタボリックシンドローム)」。しかし、これは犬にも当てはまることです。近年、ペットが起こす問題行動の多くは「室内飼育によるストレス」と言われています。そもそも犬と人は違う生き物なので、人にとって快適なことが犬にとって快適とは限りません。

愛犬のストレスチェック

 例えば、家のなかをすべて自由に行き来できることが、犬にとって快適だと思われがちですが、実は活動範囲が広がると「テリトリーを守らなければならない」という義務感が生じ、ストレスがかかりやすくなるようです。よく吠えるようになった、落ち着きがない、などの行動は、こうしたストレスが原因かもしれません。

 また、寂しがるからという理由で、毎日違う家族の寝室に連れていき、一緒に寝るという話も聞きますが、本来犬は、寝場所を1箇所に決めてあげるほうが落ちつく習性があり、頻繁に寝場所を変えないほうがストレスはかかりにくいのです。 他にも、人の快適が犬のストレスになるケースがあります。例えば、住まいの床について。掃除がしやすく、快適なのは「フローリング」という人は多いですが、犬にとっては爪がすべりやすく、足を脱臼しやすい、ストレスのかかる床だといえます。人と犬、双方がストレスなくいつまでも快適に暮らすには、何を知っておくべきなのでしょうか。

 まずは、人と犬が同じ空間の中でお互いを特別に意識することなく、くつろいだ時間が過ごせる…、そんな「住まい」とはどんな空間なのか、を考えることが大切です。  今回は、人と犬が自然体で暮らすための住まいを提案する、ミサワホームの「犬と暮らす家」から、日常生活におけるストレスを解消するための「空間づくり」の工夫など、より安心で快適に暮らすためのポイントをご紹介します。

犬と暮らす家の工夫

(1)遮音カーテンは犬の吠え声が漏れるのを抑えるのに効果的。防音天井材は特殊な加工で耳障りな音も吸収します。

(2)玄関へのアクセス動線とペットの動線がぶつからないように設計したプラン例。ムダ吠えなどの予防になります。

(3)「IHクッキングヒーター」は火を使わないので安全。ビルトインタイプの操作パネルも安全対策として有効です。

(4)食器などをまるごと隠せる収納。引き戸の開閉でペットの目からモノを隠すのに便利。使いやすさも定評があります。

入っていい場所、悪い場所のメリハリをつけると犬は安心する。

犬はもともと群れの中で暮らしていた動物なので、家族のそばにいることが安心につながります。かといって飼い主のかまいすぎが原因でストレスを感じたり、甘やかす原因になることもあります。犬といつまでも仲よく暮らすには程よい距離感を保つこと。人と犬のテリトリーをハッキリさせると犬のストレスケアになり、問題行動を減らすことにつながるのです。

 家族の日常生活や犬の自然な行動、犬嫌いのゲストのことも考え、犬が落ちつける場所、人と犬の共有スペース、犬が入れないスペースを設定し、犬に理解させましょう。そのためには、空間にメリハリを持たせることが必要です。

犬が落ちついて過ごせる居場所を確保してあげましょう。

 犬は聴覚が鋭く、人間には気にならない音でも感じ取って警戒心を持つ習性があります。そこで、犬の日常的な居場所は、外部の音が聞こえにくい玄関や道路から離れた場所、インターホンの音が聞こえにくい場所が適切です。リビングのそばなどに寝起きする空間を用意してあげると、犬は安心し、飼い主の微妙な言葉のニュアンスも聞き分け、より心が通じ合うようになります。

 ミサワホームでは、外部の音をカットする外壁やアルウッドサッシ、遮音カーテン、防音天井材(1)などで騒音をやわらげる工夫を提案しています。

犬にとって危険な場所やモノに近づかせない工夫を。

 キッチンは犬にとってとても危険な場所。刃物や火、犬が食べてはいけない食べ物があります。生ゴミにフタをせず置いておくのも要注意。生ゴミには、タマネギのように中毒を起こすもの、チキンの骨や楊枝、焼鳥の串のように刺さるものが含まれていたり、ビニール袋や輪ゴムなど飲み込むと危険なものもあります。キッチンにはできるだけ進入させないように犬用のゲートをつくるなど、わかりやすい空間づくりを行い、犬をしつけていきましょう。

 ミサワホームでは、人と犬の動線に配慮した住まいのプランニング(2)を提案するとともに、もしもの時の事故防止のため、火を使わないIHクッキングヒーター(3)や生ゴミディスポーザーがビルトインされているシステムキッチン、カップボードをまるごと隠せる収納建具(4)などを提案しています。

 他にも室内にある観葉植物に注意を。花屋さんでよく目にするアイビー、ヒヤシンス、スズラン、イヌサフラン、モンステラ、ポインセチアなどは犬にとって有毒な植物なので、できるだけ置かないように。もしも置くなら、鉢や花瓶はカウンターの上など、高い場所に置くようにしましょう。

うれしい住いの工夫「ココがポイント!」

あると便利な外部収納と庇(ひさし)

特に大型犬の場合など、玄関扉のすぐそばに犬グッズを収納する外部収納があるととても便利。犬グッズを室内に持ち込まないので、ニオイも持ち込みません。また庇(ひさし)をつくって、雨に濡れないでリードの脱着やレインコートの脱着、体拭きなどができるようにすると快適です。散歩帰りのホコリ取りのためのブラッシングや、ノミ・ダニのチェックをする時にも便利ですよ。

植物のチカラで蚊の対策!

玄関先や庭に、虫除け効果のある植物を植えてみるのはどうでしょう。蚊連草(ゼラニウムやシトロネラの交配種)やレモンバームは、蚊に対して忌避効果があります。化学物質ほど効き目はないかもしれませんが、天然のハーブなので嗅覚の鋭い犬の鼻にも安心です。朝と夕方の散歩時はちょうど蚊が多い時間帯なので、きっと味方になってくれるはずです。

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