健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

2匹の仲が悪くて悩んでいます

先日11歳になったばかりのMIXの♂がいます。
4日ほど前、置き去りで保護されたMIX♀、生後約4ヶ月を引き取ることになりました。
♂と♀で当然仲良くしてくれるだろうと思っていたのですが、先住者の♂が子犬の♀を『縄張りの侵入者』として受け入れてくれず、いつも♀を見るたび、吠えるわ、うなるわで、すごく怒ります↓↓
毎回怒られるので、♀は少々怖がっているようです。
今は♀がまだ子犬なので玄関で飼っていますが、いずれ大きくなったら♂と同じ外で飼うつもりなんですが…
何とか仲良く暮らしてほしいのですが、どういう工夫をしたらいいでしょうか…?
ご飯も散歩も、まず先住者の♂からと、存在を尊重してやるように、心がけているのですが…
11歳の高齢犬の♂にとって(年より若く見える、とよく言われますが)子犬の♀はやはりストレスになってしまっているのでしょうか…??
何か良い方法はないでしょうか?よろしくお願いしますm(__)m

すでに犬を飼っているときに、新しい犬を迎える際には雄と雌というように異性の組み合わせであるほうが仲良くなる可能性は高くなりますが、絶対に仲良くなるとは言い切れないのは残念なことです。

ご質問の雄犬が新たな雌犬を受け入れるよう、様々な工夫をしていく必要がありますね。
幾つかの方法をあげてみますので、できる範囲でできるものを根気よく行ってみてください。

1.徐々に慣れさせていく&相手がいれば良いことがあると認識させましょう。
先住犬が吠え始めない距離、唸り始めない距離を探して見ましょう。その距離まで新たな犬を近づけたら、先住犬を褒めたり、あるいはご褒美におやつをあげたりして先住犬を喜ばせてあげます。この時、一家の長である人(先住犬がリーダーと認めている人)が先住犬のリードを持ち、別の人が子犬のリードを持ちます。あるいは、子犬をどこかに繋いでおいても良いでしょう。そして、先住犬を徐々に子犬に近づけていきます。一歩近づくごとに褒めたり、撫でたり、ご褒美をあげたりしましょう。

何日もかけて、この距離を縮めていき、子犬に近づいていって、吠えたり唸ったりしなければご褒美がもらえると先住犬に認識させると良いでしょう。もしも、近づきすぎて先住犬が唸ったり吠えたりしはじめるような様子(毛が逆立ちはじめたり、そわそわしたり、といった様子)がみられたらその場で立ち止まって先住犬の気をそらせてみます。そして、その日はその距離でおしまいにし、次の日少し離れた所からもう一度チャレンジしていきましょう。また、先住犬が吠えてしまったり、唸ってしまったら犬を叱ったりなだめたりせずに、ただ無視をしてそのまま家に帰るか、あるいはいつ
もの位置に犬を繋ぎ犬から飼い主の方が離れるようにします。

2.何事にも先住犬を優先しましょう。
 散歩もブラッシングも、ご飯をあげるのも先住犬が最初に、というのは基本中の基本ですが、先住犬が本当に自分が最初にされているとわかるような環境に置いているでしょうか?住まいが異なっているということは、実際の様子を先住犬が認識していない可能性もあります。ご飯を食べる時、あるいはブラッシングをする時など先住犬に見える場所(ただし、先住犬が唸らない距離で)に子犬を繋ぎ、先住犬の前のまえで順番にブラッシングとご飯をあげる様にしてみては如何でしょうか?知らず知らずのうちに飼い主が判官びいきをしてしまって、なんとなく子犬の方に甘い声を掛けてしまっているということがないか、誰か犬をかっている知人にそれとなく訪ねて、確認しておきましょう。意外なところで子犬を優先しているかもしれません。

3.リーダーはしっかりとしつけをしましょう
 リーダーはリーダーらしく、愛犬たちの統率をしていく必要があります。基本的なコマンドにきちんと先住犬は服従していますか?どんな時でも号令に従っていますか?もしそうでないのならば、初心にもどってできるコマンドから従わせ、従ったら褒めるということから始めてみましょう。リーダーがしっかりしていたら、家庭内の不和を抑えていくことができます。

4.決して叱らないで
 先住犬が子犬に吠え掛かったり、あるいは唸ったりするとついつい叱ってしまいがちですが、飼い主が声を荒げてしまうと返って犬は興奮してしまいますし、また飼い主がそれを褒めてくれている、あるいは応援してくれていると勘違いしてしまうこともあります。『ダメ』あるいは『やめ』などのコマンドを低いはっきりした声で使うのみにして、それに従ったら褒める、従わなかったら無視して犬から立ち去る、というようにしてみると良いでしょう。

5.縄張り意識が強いなら去勢も考慮しましょう。
 縄張り意識が強くて相手を受け入れていない、という可能性があるのであればもしまだ去勢していないのであれば去勢をしてしまうのも一つの方法です。11歳という高齢なので前立腺疾患などにかかることもあるので、子犬との仲にかかわらず元気で体力があるうちに手術を受けると良いかもしれません。

 上記にあげたものの内できるものからできる範囲で気長に気楽にやってみましょう。飼い主が神経質になりすぎないようにすることもとても大切ですよ。

もしくは、行動治療を専門にされている獣医師に一度相談してみて、場合によっては精神安定剤などの投与をうけつつ様子をみていくという方法もあります。

ただ、どれだけ工夫しても相性が悪くて同居が難しいという場合もあります。そんな時には犬同士が別居するようにされるか、あるいは新しい犬がまだ幼い子犬のようなので、別の里親さんを探してあげるのも良いでしょう。