健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

テレビに向かって吠えるので困っています

1歳を過ぎたころから、テレビに向かって吠えることがあり、困っています。
子供が出てきて、走ったり、たくさんの人が出てきて、騒いだり、踊ったりすると、テレビ
の前に行って、吠えまくるのです。別の部屋に連れて行くか、ハウスに入れるか、テレビを消すかしなければだめで、困ります。どうしてなのかわかりません。同じようなワンちゃんいますか?何とか、テレビに吠えないようになってほしいのですが、いい方法があったら教えてください。

  テレビを見ているときに、横からワンワンと吠えられてしまうと、せっかくの番組がゆっくり見られなくて、せわしないものですね。

 犬が吠えるのは、理由があります。その理由を探してあげることは愛犬を理解するために必要なことです。愛犬は何故吠えているのでしょうか?


犬が吠える時の一般的な理由を幾つかあげてみましょう。

 1.退屈している(から、吠えて暇つぶししてみよう)
 2.縄張りを守ろうとしている(から、吠えて侵入者を入れないようにしよう)
 3.興奮している(から、吠えて感情を表してみよう)
 4.寂しい(から、吠えて飼い主の注目を浴びよう)
 5.怖い(から、あっち行ってと吠えてみよう)

などがあります。

 どうやら、ご質問のワンちゃんは騒がしい音で吠える様子、もしかすると興奮して吠えているのかもしれませんね。吠えて欲しくない時に、愛犬が吠えないようにするには、幾つかの方法があります。
次の中から自分ができやすい方法を何種類か組み合わせて行ってみるのも良いでしょう。

1.テレビの音に慣れさせる
 愛犬が吠える番組を録画し、それを無音で再生してみます。愛犬が吠えないようであれば、一日に短時間ずつそれを再生していきます。吠えずにいたときには、再生が終わった段階で褒めたり、ご褒美をあげたり、と『テレビを静かに見ている=良いこと』、と愛犬の頭の中でつながるように工夫してみましょう。そして、徐々に音を大きくしていって様子をみていきます。愛犬が反応しそうになったときに、マズルを軽く上から押さえ、優しく声をかけたり、なでたりしながら犬の興味がテレビではなく、飼い主に向かうようにします。ただし、これは必ず吠える前に行います。吠えてから行ったのでは吠えたことに対するご褒美と愛犬は勘違いするかもしれませんよ。

2.吠えた時の対応を見直そう
 愛犬が吠えた時に、叱ったり、声をかけたり、なでてなだめようとしたりしていませんか?叱る声が更に愛犬を興奮させてしまったりすることがあります。また、声をかけたり、なだめたりするとそれが愛犬にとってのご褒美となって、吠えることが強化されてしまっているのかもしれません。吠えた時には無視をするか、家族が愛犬をテレビの前に残して離れるようにしましょう。そして、泣き止んだら愛犬の元に戻るようにしてみるのも良いでしょう。

3.驚かせてみる
 愛犬がテレビに向かって吠え始めたその瞬間に、何かで愛犬を驚かせるのも良いでしょう。一度びっくりすると、同じことをしなくなる可能性があります。  
愛犬に見られないように、大きな音のするもの(缶にコインなどをいれたもの)を愛犬の足元に投げつけたり(決して愛犬にぶつけないでください)、水鉄砲をかけたりするのも良いでしょう。ただし、誰かがそれを行っている様子を愛犬にみられると、その誰かが愛犬から嫌われることもあるので、絶対に見られないようにしましょう。

4.基本トレーニングをもう一度
 愛犬がいつの間にか、飼い主の号令を聞かなくなっているために、吠えるという行動が直らないということもあります。愛犬との基本的トレーニングを最初から行い、飼い主がしっかりと愛犬のリーダーとなるようにしましょう。お座り、マテ、フセなどを基礎から行い、できた時にしっかり褒めて上げましょう。また、アイコンタクトの練習も行っていきましょう。

5.吠えることと両立しないご褒美を上げる
 吠えることができない、工夫を行うのも良いでしょう。例えばテレビを見始めるときに、コングやキューブなどにバターやおやつを入れて愛犬に渡します。愛犬がそれに夢中になっていれば、テレビにむかって吠えることは難しくなります。そして、テレビに向かって吠え始めたら、そのコングなどを取り上げてしまいます。吠えるのを止めた時に、褒めながらコングを渡してあげると良いでしょう。

6.お互いに折り合いをつけることも大切
 テレビは愛犬にとっては、騒音として聞こえているのかもしれません。テレビの時間には、愛犬を別室で静かに遊ばせて上げるのも一つでしょう。誰かとの暮らしは互いの折り合いも必要です。

 吠えるという癖を矯正していくには、根気がいるものです。無理せず、できることを行っていくことが大切です。また、なかなか自分自身で解決できないような時には、行動治療専門の獣医師やインストラクターに助力を求めるのも良いですね。