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Q&A

心臓べんの障害で気をつけることは?

2月4日に、避妊手術したら麻酔で心臓も呼吸も停止!
何とか蘇生に成功して、復活したのですが…そこの獣医さんは、検査もしてくれずに我が家のワンコが、麻酔が合わないの一点張り…話にもならず、昔お世話になってた獣医さんに今日、検査して頂いたのです。
結果は…生まれつき、心臓べんに障害の有る子と判明!来月、昔からのお付き合いの有った獣医さんに避妊手術をお願いしました。心臓べんの、障害…何か気を付ける事は有るのでしょうか? 獣医さんは、今日は気を付ける事は何も言ってなかったのですが…気になりまして。ご存知方の方、ご意見をお聞きしたくてカキコさせて頂きました。宜しくお願いします。

 心臓は血液を受け取り、また送り出すと言うポンプの役割をもっています。この心臓は全身から巡ってきた血液を受け取る右心房と、それを肺へ送りこむ右心室、そして、肺から送られてきた酸素の豊富な血液を受け取る左心房とそれを全身に送り出す左心室という4つの部屋に分かれていて、心房と心室の間には血液が順調に流れ、逆流してくるのを防ぐ役割を持つ弁が存在します。右心房と右心室の間にある弁を『三尖弁』、左心房と左心室の間にある弁を『僧帽弁』といいます。また、右心室から肺へ送り出された血液が逆流してこないようにするための『肺動脈弁』、左心室から全身へ送り出された血液が逆流してこないようにするための『大動脈弁』という弁もあります。このように、合計4つの弁が心臓には存在します。

 心臓の弁は血液の逆流を防ぐ役割をもっています。もしも、この弁に障害があり、血液が逆流すると、血液を送り出す役割をもつ心臓は逆流した分だけ余分な働きをしなければならず、負担がかかってしまい、心臓が大きくなってしまいます。心臓が大きくなって、余分な負担にも耐えることができるだけなら、まだ良いのですが、その負担が心臓の限界を超えてしまった場合、全身にも影響がでてしまいます。初期の症状としては、運動を嫌がる、咳をする、食欲が低下するというようなことが見られます。それが更に進行すると、傷害された弁によっても異なるのですが、腹水が溜まってしまい、全身の栄養状態が悪くなったり、内臓に障害が起こったりしまうこともあれば、胸水が溜まったり、肺水腫になってしまって呼吸困難に陥ったりという状態になってしまうことがあります。時に不整脈を起こし、急に倒れてしまうこともあります。

 ご質問の愛犬に関しては、日常の注意点としては、過剰な運動を避けること、興奮しすぎないようにしてあげること、適切な体重を保ち(太りすぎず痩せすぎず)、塩分を過剰にあげないことが大切となってきます。が、その前に、まずどこの弁の、どのような障害かを主治医に確認し、今後の治療に関してご相談することが第一と思われます。障害の種類によっては手術により矯正できるものもあれば、手術ではなく、生涯の投薬によって、心臓の負担を軽くしてあげることができるものもあります。