健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

最近、おしっこが多くなったのですが…

こんにちは。5歳のシーズー(茶太郎)と暮らしています。最近、お留守番の時や、夜中に部屋のあちこちにおしっこをしてしまいます。その量も非常に多く、困っています。
前々からおしっこの量が多く、前立腺の病気の疑いがあるのではないかと心配しています。獣医さんでは、特に心配ないとのことでしたが…。
おしっこの量もですが、トイレ以外の場所でしてしまうことも気がかりです。甘やかしてしまったのでしょうか?我が家では、茶太郎のことで家族会議まで開かれています。
どなたか、アドバイス、ご指導のほどよろしくお願い致します。


 おしっこの量が多いとき、また不適切な場所での排尿がある場合には行動学上の問題を考える前に病気がないかどうかをチェックしていく必要があります。 


●飲水量の測定を行ってみましょう●

 お水を飲む量が多ければ、それだけ排尿量も多くなってしまうので、粗相しやすくなってしまうことがあります。お水をたくさん飲むために排尿量が多くなっているかどうかを確認しましょう。犬が一日に飲む水分は体重1Kgあたり100ml.未満です。

例えば茶太郎ちゃんの体重が5Kgとすれば、一日に飲む水分は通常であれば500ml.未満です。この量よりも少ないか、それとも多いかどうかを確認しましょう。もしも、多いようであれば多飲という状態である可能性があります。多飲多尿があれば、糖尿病や副腎皮質機能亢進症といった内分泌異常や消耗性疾患などが疑われます。

●尿検査や血液検査を受けてみましょう。●

 排尿の異常がある場合に真っ先に疑われることは膀胱炎となります。膀胱炎がある時には排尿痛があったり、残尿感があったりということで、粗相を起こしやすくなります。このため、一度動物病院で尿検査を受けてみられることをお勧めいたします。

 また、腎臓が悪くなっている時にも粗相が見られることがあります。腎臓は老廃物を除去する大切な臓器ですが、その役割はそれだけでなく体に必要な水分を再吸収し濃い尿を作るということも行っています。そのため、腎臓が悪くなると水分を吸収することができず薄い尿をたくさん作ってしまうことがあります。腎臓がちゃんと働いているかどうかは尿検査や血液検査を行うことで判断することができますので、一度動物病院でこれらの検査を受けてみられると良いでしょう。 

 前立腺の病気が心配な場合には触診や前立腺の超音波検査で前立腺の異常を発見することができます。そろそろシニアの年齢になるので、上記の項目と合わせて全身的な健康診断を受けていくのも一つの方法ですね。

 体が健康な場合にはしつけを見直してみましょう 病気が原因で粗相が起こっているときに、どれだけしつけに頑張っても当たり前の事ですが、粗相は直りません。体のどこにも異常がない場合に初めて、しつけの問題を考えて行きます。

 茶太郎ちゃんの場合、お留守番時や夜間に粗相があるとのことですが、このような時には寂しさを感じ、それがストレスとなって排泄行為に及ぶという可能性が考えられます。またトイレの場所を間違えて覚えなおしてしまったというような事、トイレの躾が少し厳しすぎて飼い主の目の前では中々出来なくなったために隠れて排尿しているなどといった様々な原因も考えられます。このため、一度しっかりと行動治療の専門家の獣医師にご相談して見られることをお勧めします。