健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

あま噛みについて

最近挑戦状を叩きつけられているのか、強く抱きしめようとすると、歯を剥き出しにして怒り、噛んできます。それでも負けずに抱いているとおとなしくなってくるのですが、その行為をして、親である事を示しなさいと、ペットショップの人に言われました。守っているのは、私なんだと言う事を分からせてあげるという事だと思うのですが。
それとは反対に、手でじゃれて遊んでいると、噛んでくるあま噛みは、させなさいと言う獣医さん・・・いったい、噛むという行為はさせて良いのでしょうか、いけないのでしょうか?

  飼い主は犬にとって親であり、またリーダーである存在ですが、普通、親犬やリーダー犬は子犬を強く抱きしめたりはしませんよね?それと同じように、飼い主さんも子犬を愛情表現ではなく、『服従させるために抱きしめる』ということはしないほうが良いでしょう。親であり、リーダーであるためには、もっと違う表現方法があります。

 まず、愛犬とコミュニケーションを良く取りましょう。これはとっても簡単なことです。犬の名前を呼び、犬があなたの顔を見るようにおもちゃやおやつなどで興味を引きながら、おもちゃやおやつを顔の前に持って行きます。1秒でもあなたをみれば、褒めたりご褒美をあげたりします。これをアイコンタクトというのですが、徐々にこの時間を長くしていくと良いでしょう。この時間を長くするためには、犬があなたをとても大好きで、信頼していないといけませんよ。犬に愛されるためには良く遊んであげる、散歩に連れて行ってあげる、また、とても基本的だけれど大切なこととして、きちんとご飯をあげるということを続ける必要があります。

 また、あなたがリーダーであると、犬に実感させるためにはあなたが犬にとって頼りになる存在であると理解させる必要があります。こう書くと難しいと思うかもしれませんが実際には日常できることばかりです。犬が安らげる場所を提供してあげる、毎日のご飯を与えるということなのです。その他に、犬にとって楽しいこと(遊ぶ・散歩に行くなど)や気持ちの良いこと(マッサージやブラッシング、愛撫など)をしてあげると更に犬との関係がより良いものとなるでしょう。犬の社会ではどんな事柄でもリーダーが先に行うものです。例えばご飯を食べる時には飼い主が先に食べ、終わってから犬にご飯を与える、散歩に行く時は玄関を飼い主が先にでる、ということも日常的に行っていくと良いでしょう。

 その他にリーダーはしっかりと命令し、その命令に犬が従うようにすることも必要です。但し、命令する事は犬が覚えていることを命令するようにしましょう。しつけに関しては現在多くの動物病院でパピ―クラスやしつけ教室があるので、こんなところに顔をだしてみるのも良いかもしれませんね。
 
 他に抱きしめる代わりに、マズルコントロールを行ってみるのも良いかもしれません。マズルコントロールとは犬の口の上に軽く手を置き数秒間そっと握ることです。あくまでも軽くそっと行って上げます。手を噛もうとしたり、怒った様子が見られる場合には、まだリーダーとして認められていないということになりますので、もっとしつけが進んで犬から尊敬されるまでマズルコントロールは待つようにしましょう。

 噛むという行動は本来あまり良くありません。飼い主を噛むということは飼い主を尊敬していないということになります。ただ、子犬の時の甘噛みは歯が抜け替わる時期で痒いということもありますね。そういう場合には噛んでも良い物を与えるようにして、手でじゃらしたりはあまりしないようしましょう。また、噛む習慣がついてしまっている時には強く噛んだ場合には低いはっきりとした声で「ダメ」、「イケナイ」もしくは「痛い」と言うようにしましょう。これによって、犬は噛む力加減を覚えるようになりますよ。そして、そっとくわえる位にできるようになったら褒めてあげましょう。

 愛犬との暮らしはまだまだ始まったばかりのご様子、試行錯誤が続くかもしれませんが、気楽に、そして気長に頑張っていってください。