健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

出産について

2歳のMダックスを飼っています。
只今妊娠47日になります。もうすぐ出産を迎えます。
初めての出産経験なので判らないことだらけで、うれしさあり、不安もありで何かアドバイスがありましたら些細なことでのかまいませんので教えていただけたらうれしく思います。宜しくお願いします。

  愛犬の初めての出産、もしかすると自分のお産よりもドキドキしてしまうことがあるかもしれませんね。でも、飼い主さんが慌ててしまうと、愛犬も一緒になって慌ててしまうことがあるので、落ち着いて対処していきましょう。  

犬は古来から安産の代表だったのですが、近年の犬の小型化・犬種の多様化によって安産ではない犬も増えています。特にミニチュア種では安産にならないことが大型犬種に比較して多いため、難産だった時のためにお近くの動物病院で検診を受けておきましょう。

 超音波検査で胎子が順調に育っているかどうかを確認するということもできます。
分娩予定日の1週間ほど前にレントゲン検査を行って、胎子が何頭いるのかどうかをあらかじめ確認しておくと出産時に全頭生まれたのか、まだお腹に残っているのかどうかが判断できます。

 これだけでなく、母犬の骨盤の大きさと胎子の頭の大きさを比べることができるので、安産の可能性が高いか難産の可能性が高いかも判断できます。難産の可能性が高い場合には出産予定日に主治医の先生に待機していただくようお願いすることもできますね。

 出産の1週間ほど前から毎日、1日2~3回、自宅で体温測定を行います。母犬の体温が7.2以下に下がったら、もう少しこまめに体温測定を行います。体温が低下した状態が数時間持続すると24時間以内に分娩が始まるという合図です。

 難産が予想されている場合には主治医の先生に連絡をとって体温が下がっている状態が続いていることをお伝えしておきましょう。

 自宅で出産する可能性がある場合には、出産予定日の1週間から10日前に次のもの準備しておきましょう。あらかじめ用意しておけば、母犬が慣れることができます。

1.出産用の箱(育児箱ともなります):母犬が横になって眠れる大きさ
2.新聞紙:出産箱の下に敷き、汚れたらすぐ取り替えるようにします
3.出産箱用の敷物:数枚用意し常に清潔であるようにしましょう
4.保育用の箱:レントゲン検査で複数匹の胎子が確認されている場合に用意します保育箱用のタオル、保温器具など
5.体温計:母犬の体温を毎日測るために必要です 

 また、出産当日までに次のものを用意しておきましょう。これらは出産時、また出産前に必要となります。

1.体重計(グラム単位で量れるもの):赤ちゃんの出産時体重とその後の体重を計ります
2.ノート・筆記用具:出生時体重記録、その後の成長記録用に
3.お散歩道具:出産が難航している場合に散歩に行くと生まれることがあります
4.懐中電灯:出産は早朝や夜間になることが多いので念のために準備しておきます
5.時計:陣痛間隔・分娩時間をチェックするため
6.鋏(よく切れるもの):母犬が臍帯を噛み切らない場合、代わりに臍帯を切ります
7.絹糸・木綿糸など丈夫な糸:母犬が臍帯を噛み切らない場合に臍帯を結びます
8.消毒剤:グルコン酸クロルヘキシジン・ポピヨンヨードなど、臍の尾の消毒に使います
9.潤滑剤:ワセリン・グリセリンなど、念のために用意します
10.タオル・ガーゼ
11.産湯用の洗面器とお湯

 母犬が全て自分で行ってくれる場合には、6~11までは必要ありませんが、一応準備しておくと不足の事態に備えることができます。備えあれば憂い無しです。もしも母犬が臍帯を噛み切らない場合には子犬から1~2cm離れた位置で臍帯を結んでから、胎盤側の臍帯を鋏で切り取ります。切った後には消毒剤で切り口を消毒しましょう。

 出産間近のこの時期、母犬はお腹が徐々に胎子でいっぱいになってしまうために、一回に多くの量の食事を取ることができなくなります。そのためいつでも少しずつご飯が食べられるようにしておきましょう。また、順調に体重が増えているかどうか、母犬の体自身が痩せてきていないかどうかもチェックしましょう。痩せて来ているような場合は動物病院で一度診ていただきましょう。

どうぞ頑張ってくださいね。