健康・しつけ・くらし記事 獣医師さんのアドバイス

Q&A

留守中の吠え

はじめまして、パピヨンの雌1年5ヶ月を飼っています。とても淋しがりや、甘えん坊でかわいいのですが、家族の留守中に吠えまくりで、困っています。我が家は2世帯住宅で、1階に犬好きの祖母がいて、私たちがいない時に吠えるとすぐに見に来てくれて、それで味をしめたのか最近では出かけるとすぐに吠え始め、行くまで吠え続けるようです。外出時以外はさほど吠えないので、えっそうなの!!ってかんじでしたが外出がしにくくなり、近所の手前もあって困っています。いない時のことだけにしつけもしにくく、祖母が我慢してくれればと思うのですが、自分が犬を飼っていたときに添い寝をするくらい甘いのでそれも難しく、ほんと困っています。吠え防止グッズとかためしてみようか、とか考えてます。祖母は猫を飼っており昼間あずけるのもむずかしく、、、何かアドバイスあればお願いします。

 犬の吠えるのは、自然なこと、様々な要求を伝えているからといっても、人間と暮らしていく上では少し問題となることがありますね。
 留守番の時だけに吠えるというのは「退屈だから誰かにかまって欲しい!」という場合と、「飼い主さんと離れるのは寂しい、不安、ストレスだ~!」という場合が多いですね。
 チェリーちゃんの場合はどちらかというと前者でしょうか?でも、後者の部分も混じっているのかもしれませんね。後者の場合は『分離不安症』とも言われ、寂しがりやの犬で、飼い主の方に甘ったれ、また飼い主さんもその甘えを容認してしまっている場合に起こりがちです。
 チェリーちゃんの場合には吠えれば祖母の方が駆け寄ってきてくれるということが、「吠える」ことの強化に繋がっているようですね。これを改善していかなければ、どんどん要求が激しくなっていく可能性もあります。また、自分の要求が通れば、祖母の方を自分のリーダーではなく、仲間もしくは目下のものと見て行ってしまうことにも繋がりかねません。そのため、「チェリーちゃんの要求に応えない」ということがまず大切となってきます。
 でも、祖母の方もなかなか意識改革が難しいでしょうから、最初は吠えても行かないけれど、吠えるのが止んだら、様子を見に行って、簡単な命令(お座りやフセなど)を出し、それに従ったら遊んであげる、従わなかったら無視して階下に戻るというようにしていただくことはできないでしょうか?これによって、吠えても要求は通らないことと、命令するものが自分より上の地位にあるということがチェリーちゃんに認識されるようになります。

 また、退屈で吠えているという、寂しい気持ちを紛らわすものが無いために吠えているということも考えられます。この対処方法としてはチェリーちゃんのお好きなもの、例えばおもちゃなどを留守番の時だけに渡してあげると言う方法やチェリーちゃんがフードを好きな場合には『コング』、『バスターキューブ』といった道具に(ペピイで扱っております)フードを詰め込んで、お留守のときに与えるということで、「お留守番をすると良いものがもらえる・退屈を紛らわせる」と思うようになるかもしれませんね。

 飼い主さんべったりの甘ったれの場合には、依存性が強くなっていくことになるので、これは少し改善する必要があります。少しずつ依存を解除していく必要があるかもしれません。依存の解除は良いリーダーとなっていくことでも徐々に行っていくことが出来ます。良いリーダーとなるために、しつけ教室やしつけの本などを手にとって、チェリーちゃんにあった躾を探していくのも楽しいかもしれませんね。基本はとても簡単で、食事は飼い主さんが先、食事は飼い主さんが与えてくれるもの、安全な生活は飼い主さんが提供してくれるもの、だから命令には従っていったほうがいいよ、と犬が自分から思うようなることなのです。

 後はお留守番に慣れてもらうということが大切となってきますね。そのためには「お留守番は特別な行事ではない」と思ってもらう必要があります。「特別な行事」となるのは、家族が慌しく準備したり、お母さんがお化粧したりということから始まることが多いです。時に「お留守番をさせてしまう罪悪感」を飼い主の方が持ってしまうために、外出時についつい声をかけてしまう、ごめんなさいという感情を持ってしまい、別れ際に抱きしめたりキスしたりといったことをしてしまうことなどもあります。これでは、今から何が起こるのか、「不安で寂しい時間の始まりですよ」と伝えているようなものになります。このため、お留守番をさせるときには、静かに、それとなく出かけてしまうということがポイントです。
 また、お時間があれば、最初は短時間、玄関からでて、30秒で、とか1分で、また5分でとチェリーちゃんが吠え出す前に入ってくるということを行うのも良いですね。この時には前述のご褒美(特別なおもちゃやコングなど)を使って、飼い主さんがいなくなると良いことが起こると思わせることも大切です。
 帰宅した際にも特別なことは何も無いというように、静かに家の中にはいり、しばらくの間チェリーちゃんをかまわないということも大切です。

 どうしても、なかなか吠えることが治まらないというような場合には、しつけ教室やインストラクター、また行動治療専門の獣医師にご相談してみてください。